スプライスの紹介:2008年カナダ,フランス映画。科学者カップルのクライヴとエルサは、新種の生物と人間のDNAの結合実験を行い、実際に誕生させてしまいます。しかし、明らかに人間とは違う身体能力を持つ「H-50」に苦悩していくようになり・・・。監督は「Cube」のヴィンチェンゾ・ナタリ。
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ 出演者:エイドリアン・ブロディ(クライヴ)、サラ・ポーリー(エルサ・カスト)、デルフィーヌ・シャネアック(ドレン)、デヴィッド・ヒューレット(ウィリアム・バーロー)、ブランドン・マクギボン(ギャビン)ほか
映画「スプライス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スプライス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スプライスの予告編 動画
映画「スプライス」解説
この解説記事には映画「スプライス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スプライスのネタバレあらすじ:起・秘密の実験
ある日、研究所で「フレッド」が誕生します。フレッドはDNA結合実験の末に誕生した、新種の生物です。私生活でもパートナーである科学者のクライヴとエルサは、顔も手足もなくウネウネと這うフレッドを見て、我が子の誕生のように喜びます。オスの「フレッド」とメスの「ジンジャー」を対面させると、2匹は求愛行動のような「刷り込み」を始めます。クライヴとエルサは、ニューステッド製薬の社長とバーローの前でプレゼンを行い、フレッドの誕生以降、さらに結合技術を進化させて知的生命への利用に成功したと発表します。人間のDNAと結合させれば、アルツハイマーやガンなどの多くの疾患を治すことができ、まさに人類が求めていた医療への発展に繫がることになります。しかし、二人のプレゼンを聞いた社長は、結合施設を閉鎖して研究所を再編するようにと指示し、バーローも「実現不可能だろ。倫理観を見失ってる」と苦笑します。新種の生物と人間のDNAを結合させる研究はリスクが大きく、無謀過ぎました。せっかくの世紀の大発明なのに否定されてしまい、納得できない二人はこっそりと研究を続行し、新生物と人間のDNAの結合に成功します。結合に成功したことに喜びを感じる二人ですが、許可が下りていない以上、DNAを凍結保存しておくしかありません。ところが、エルサがクライヴの制止を聞かずに、DNAを人工発育の機械にセットしてしまいます。「胚の生成を確認したら、そこで中止する」と言うエルサ。クライヴは最初は反対したものの、「大勢が不治の病で苦しんでる。救う鍵があるのにそれを捨てるの?」と言われて考え直し、機械のENTERボタンを押してしまいます。フレッドとジンジャーの研究チームには、クライヴの弟ギャビンもいましたが、エルサとの研究のことは秘密にします。アパートで将来のことを話し合う二人。クライヴは子供がほしいと思っていますが、母親から虐待されて育ったエルサは乗り気ではありません。
スプライスのネタバレあらすじ:承・ドレン
人工発育中の「H-50」の発育スピードは尋常じゃない速さで進み、突然、数か月も早い状態で破水が起きます。エルサが人工胎内に手を入れると、何かに手を強く刺されてしまいます。クライヴがエルサを助けるために人工胎内を破ると、鋭い針が付いた尻尾を持ったミュータントのようなH-50が現れます。クライヴがH-50を捕獲し、手を刺されて痙攣を起こしているエルサに注射を打って助けます。次の日、クライヴはやはり倫理的にもH-50を処分するしかないと考え、二人で防護服とマスクを着けてH-50に向かいますが、まるで中から何かが抜け出したように空っぽになっていました。部屋の中で発見しますが、ウサギのような目を持ったそれは、進化した三本指の足で活発に逃げ回っています。クライヴが処分するために部屋にガスを送ろうとしますが、エルサがマスクを外して阻止してしまいます。クライヴが「最初からここまでやる予定じゃなかった」とH-50を解剖しようとしますが、エルサは反対します。H-50は成長と老化のスピードが速く、1分が1日分ほどであることが判明し、どっちにしろそれほど長生きはしないことから、誕生から死まで研究を続けることにします。H-50は、1ヶ月後には幼稚園児ほどの大きさに成長し、エルサに笑顔を見せるようになります。言葉は話せず、心があるかも不明でしたが、言葉の意味の関連づけは理解出来るようでした。エルサはH-50をドレンと名付けます。クライヴは、ドレンにワンピースを着せて本当の娘のように可愛がるエルサを見て、戸惑うようになります。ある日、ギャビンにドレンのことを知られてしまいます。クライヴはドレンのことを打ち明け、「イカれた話だが協力してほしい」と頼みますが、「バレた時のことを考えたか?エルサの言いなりか?」と責められます。ドレンは更に成長し、ティーンエイジャーほどの背丈になります。ニューステッド製薬の株主総会でフレッドとジンジャーが華々しく紹介され、クライヴとエルサは生みの親として壇上に上がります。ところが、フレッドとジンジャーが攻撃的になってズタズタに殺し合いを始めてしまい、場内は阿鼻叫喚となります。死骸を調べると、メスのジンジャーがオスに変化していたことが判明します。
スプライスのネタバレあらすじ:転・農場
研究所でドレンを隠すのは困難になってきたため、エルサの実家の農場で匿うことにします。ドレンを農場の納屋に隠して監視カメラを取り付け、研究室での仕事を続ける二人。二人がいない間、孤独に過ごしていたドレンは、納屋に入って来た猫を友達にします。外に出たがって暴れるドレンをエルサがきつく叱ります。「私に反抗した。手に負えない」と怒るエルサ。ドレンが窓を蹴破って屋根に上がってしまったため、二人で追いかけます。ドレンは足を滑らせて落下しそうになり、その拍子に背中と腕から翼が現れます。ドレンは、夜空に向かって高く飛び立とうとしますが、クライヴが「行くな。お前が必要なんだ。愛してる」と言うと、翼を体内にしまい、クライヴに抱きつきます。エルサは、すっかり女性らしい雰囲気になったドレンにメイクをしてあげます。ドレンは、クライブに対して恋のような感情を持ち始め、クライヴの似顔絵を何枚も描いて引き出しにしまっていました。エルサは、ドレンの猫を見つけて取り上げます。クライヴは泣いているドレンを元気付けようと、レコードをかけてダンスをします。ドレンも大喜びしながら一緒に踊り始めますが、クライヴはドレンの妖艶さの中に愛する人の面影を感じて愕然とします。慌ててダンスを止めて、エルサに所へ行って問い詰めます。エルサはこっそり自分のDNAを使い、新生物と結合させていたのでした。「科学のためだと言えるのか?」と激怒するクライヴ。エルサはドレンに「愛してるわ。あなたは私の一部なの」と言い、猫を返しますが、ドレンは尻尾の針で猫を刺し殺してしまいます。ドレンはエルサも針で襲おうとしてから、納屋から逃げようとしますが、後ろからエルサに殴られて気を失います。エルサはドレンをテーブルに拘束して裸にし、尻尾ごと切除してしまいます。帰宅したクライヴは、尻尾を切られて怯えているドレンの姿を見て驚きます。エルサは「仕方ないの。私も襲われそうになった」と言い、切除したドレンの尻尾を持って研究所へ向かいます。フレッドとジンジャーの進化型であるドレンの生きた組織とタンパク質を合成する実験を行い、成功させます。次の日、クライヴが納屋に行くとドレンが裸で立っており、翼を広げながらキスをしてきます。「いけないよ」と諭すように止めたものの、クライヴもドレンへの気持ちを抑えることが出来ず、体を重ねて愛し合います。帰宅したエルサがその様子を見てしまい、ショックを受けて農場から出て行ってしまいます。
スプライスの結末:決着
クライブはエルサに「頭がおかしいわ。やってはいけないことがあるはず」と責められて口論になります。その後、エルサがドレンの誘導体とタンパク質の合成に成功し、そのレベルはジンジャーの10倍だと打ち明けます。疲れ切ったクライヴは「これで救われる・・・実験は終わりだ。僕たちで決着を」と言い、二人で納屋に向かいます。ドレンはなぜか衰弱していたためベッドに寝かせますが、やがて動かなくなります。納屋の裏に埋葬し、ドレンの荷物を片付けて燃やします。ドレンが描いたエルサの似顔絵が出てきて、涙を流すエルサ。すると、ニューステッド製薬のバーローがギャビンを連れてやって来ます。新種の生物と人間のDNAを結合したことがバレており、ドレンは会社のものだ、早く出せと迫って来ます。エルサが「もう死んだわ・・・」と言った瞬間、埋葬したはずのドレンが飛んで来て、一瞬でバーローを殺害してしまいます。生き返ったドレンはオスに変化している上に、モンスターのように凶暴になっていました。ドレンはギャビンも殺害し、エルサを追いかけます。エルサは必死に逃げますが捕まってしまい、オス化したドレンに押し倒されて襲われてしまいます。クライヴがそっと忍び寄ってドレンの背中に棒を突き刺しますが、ドレンは体から棒を引き抜き、クライヴを殺そうと追ってきます。エルサが大きな石でドレンの頭を殴りつけますが、とどめの一撃を加える際にドレンと目が合って躊躇してしまいます。ドレンはその一瞬の隙に尻尾の針でクライヴを殺害し、エルサに石で殴られて息絶えます。後日、エルサはニューステッド製薬に行き、社長と契約を交わします。社長は「次のステージに進む決意に感謝してる。特に個人的リスクを考えるとね。会社の提示額には満足がいくはず。口外しないこと。永遠に」と告げ、エルサのお腹に視線を向けます。エルサはオス化したドレンの子供を身ごもっていました。社長は「断っても誰も非難しない。中絶して立ち去ってもいい」と言いますが、エルサは「失うものはない」と出産をする決意をするのでした。
以上、映画スプライスのあらすじと結末でした。
「スプライス」感想・レビュー
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母親からの虐待のトラウマを引きずる女性科学者とその恋人の男性科学者が、知性ある新種の生物を造り上げ育てるのですが、最後は悲しい結末に胸が苦しくなります。
人が死ぬのは最後だけなので、ホラーというよりは、より各登場人物の心情に共感できる映画です。
後半に出てくるドレンの羽の造形がとても美しく、人間とは異なる彼女の姿が、ストーリーや心情的には悲しさを感じるのですが、演出的にとても興味深いです。 -
んー。クライブとエルサ両方イライラします。特にエルサの自己満がイライラする。
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シンプルにバイオホラー映画が楽しめなくなったのもこの主人公らの背景と葛藤がたびたび出てきて物語にストップかけるのが多くなってきたからなぁ
恋愛要素とか家族とかを持ち込むと途端にイライラマッハのすれ違いだのあの頃をもう一度みたいな展開入るからマジでつまらん
そういう要素を入れない日本やロシアにバイオパニック映画作って欲しいけどなぁ -
誕生したモンスターがきっしょいのは褒められるけど
女性科学者が頭おかしすぎて理解できん
あんなんきしょすぎて普通殺すだろ
H-50の姿は人間のようなミュータントのような感じで、急激に成長していくところが少し怖かったです。尻尾で猫を攻撃して尻尾の針を切除されても、女性のようなフェロモンで男性を誘惑したり、男に進化したり、H-50はやはり人間ではなく怖い生き物だと思い知らされました。