ル・アーヴルの靴みがきの紹介:2011年フィンランド,フランス,ドイツ映画。北フランスの小さな港町ル・アーヴルの裏通りを舞台にした、心温まる映画です。「心をみがけば、奇跡はおこる。」というキャッチコピーで、ヨーロッパの移民問題を、庶民の人情と善意とが手繰り寄せる奇跡を、優しくまたユーモラスに紡いだ社会派ヒューマン・ドラマの傑作です。第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、FIPRESCI賞を受賞しました。
監督:アキ・カウリスマキ 出演:アンドレ・ウィルム(マルセル・マルクス)、カティ・オウティネン(アルレッティ)、ジャン=ピエール・ダルッサン(モネ警視)、ブロンダン・ミゲル(イドリッサ)、エリナ・サロ(クレール)、ほか
映画「ル・アーヴルの靴みがき」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ル・アーヴルの靴みがき」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ル・アーヴルの靴みがきの予告編 動画
映画「ル・アーヴルの靴みがき」解説
この解説記事には映画「ル・アーヴルの靴みがき」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ル・アーヴルの靴みがきのネタバレあらすじ:起:プロローグ:靴磨き屋・マルセル
舞台は北フランスの小さな港町ル・アーヴルの裏通りで、かつてはパリで元芸術家だったマルセル・マルクスは靴磨きをして、生計を立てていました。ある日、アタッシュケースを持った一人の男が現れました。その男は何やら辺りを気にしながら、マルセルに靴磨きをしてもらいました。それが終わると、その男はどこかへ立ち去りました。するとその途端、銃声と女の悲鳴が響いて来ました。「かわいそうに」と呟くマルセルの弟子に、マルセルは「逃げよう。巻き込まれる前に。今夜は金が動きだす。店を出すぞ」と言い、一旦、マルセルは場所を変えました。しかしそれは靴屋の前、マルセルは靴屋に追い払われました。転々と場所を変え仕事をしたマルセルは、夜、妻アルレッティと愛犬ライカが待つ我が家へと帰りました。優しく迎えるアルレッティに、マルセルは今日の稼ぎを渡しました。彼女はそれをせっせと貯めていました。妻からお金を貰いバーで一杯、ひかっけ、マルセルは妻の手料理を食べ、床につきました。アルレッティはお腹に違和感を覚え、何も食べずに床につきました。
ル・アーヴルの靴みがきのネタバレあらすじ:承:突然の出来事
翌日、港のコンテナで密航者たちが見つかりました。すると一人の黒人の少年が突然、逃げ出しました。武装した警官はその少年を撃とうとしましたが、駆けつけた地元警察のモネ警視はそれを制しました。そのニュースはマルセルの耳にも入ってきました。次の日、マルセルが港で昼食を摂ろうとしていると、黒人の一人の少年が隠れていました。マルセルはその少年にサンドイッチを分け与えようとしましたが、そこへモネ警視たちが現れ、仕方なくマルセルはその場を去りました。その頃、ヨーロッパでは移民問題で、市民たちの意見は真っ二つに割れ、暴動等が起こっていました。不法移民者たちは逮捕され、釈放はされますが、行き場のない生活を余儀なくされていました。マルセルはこの問題を、知人の移民者チャングに問いました。チャングは「答えにくいな」と答えてきました。チャングはベトナムからの移民者で、12年前に偽造パスポートで入国、8年もかけてIDを買い、ここル・アーヴルで家族と共に幸せに暮らしていました。彼は「ちゃんとした名前がなくてはダメだ」と言いました。マルセルはそれを聞き、こっそりと売店であの黒人少年のため、食糧を買い、彼が隠れていた場所に置いて帰りました。マルセルが帰宅すると、妻・アルレッティが座り込んでいました。様態が悪く動けなくなったアルレッティを、マルセルは病院へ運びました。アルレッティは検査入院することになりました。翌日、マルセルが黒人少年のところに行くと、そこには彼はいませんでした。マルセルが家に帰ると、物置小屋であの黒人少年が愛犬ライカに見守られ寝ていました。彼はマルセルが与えたお金を返しに来たのでした。その少年はイドリッサという名で、祖父と共にロンドンを目指していました。しかし、彼はそこへの行き方も知らず、そこでの生き方も定まっていませんでした。マルセルは少年を家に匿う事にしました。マルセルは少年に家から出るなと告げ、妻の病院へと向かいました。妻・アルレッティはベッケル医師に病名は、マルセルに告げないでと頼んでいました。マルセルは妻から退院はもう少し先になると聞き、妻は療養し完治させてから帰ってくると信じ、安心して家に帰りました。
ル・アーヴルの靴みがきのネタバレあらすじ:転:約束
マルセルは少年を密かに家に匿いました。マルセルは近所の住んでいたイヴェットに、それを打ち明けました。そんな頃、密告者が現れ、モネ警視に密告、モネ警視はマルセルをマークし始めました。一方、マルセルと親交の深いイヴェットや近所の人たちは、そんなマルセルと少年のために、何かと食べ物などを都合して、援助してくれました。マルセルは生きるために必要な職を持たない少年に、靴磨きを教えました。そしてマルセルは、生き別れたイドリッサの祖父の行方を捜しました。少年の祖父は逮捕され、カレー市の収容施設に送られていました。マルセルは自腹で祖父のもとに向かいました。マルセルはまるで刑務所のような難民センターで、イドリッサの祖父とようやく出会うことができました。祖父は孫のイドリッサを、ロンドンで母親が働いている中国人の洗濯屋に送り届けてやってほしいと、マルセルに懇願しました。マルセルはそれを約束しました。イドリッサは街頭でマルセルから教えてもらった技で、一人靴磨きを始めました。そこに密告者が現れ、イドリッサは彼に警察に連れて行かれそうになりました。しかし、そこにチャングが現れ、間一髪のところでイドリッサは逃げ出せました。そんな頃、マルセルは妻のもとへ見舞いに行きました。妻は痩せ掘っていました。妻はマルセルに「2週間、来ないで。心を乱されるから」と言い、約束させられました。その言葉を聞き、マルセルは不安に駆られました。一方、黒人少年を追うモネ警視は、知事から呼び出しをくらい、一刻も早くその少年を見つけ出せと圧力をかけられていました。モネ警視はマルセルを本格的にマークし、調査し出しました。しかし、近所の人たちはマルセルを庇い、匿いました。妻・アルレッティの病状は治療の効果なく、悪化の一途を辿っていました。そんな中、マルセルは知り合いの漁師に頼み、イドリッサをロンドンへ密航させる手筈を整えていました。しかし、それは危ない橋であり、莫大な賄賂が必要でした。マルセルは近所の知り合いに相談し、慈善コンサートを開くことにしました。マルセルはその慈善コンサートを開くため、奔走しました。近所の人たちの助けを得て、画して慈善コンサートは開かれ、盛況のうちに終わりました。しかし奇しくも、その日はマルセルが妻の見舞いに行く日でした。マルセルはイドリッサに妻から頼まれた物を託し、彼に妻の見舞いに行かせました。妻・アルレッティはイドリッサの訪問に驚きましたが、彼の話を聞き、夫・マルセルの心を察しました。アルレッティはイドリッサと握手をして、別れました。
ル・アーヴルの靴みがきの結末:エピローグ:奇跡
マルセルは慈善コンサートのお蔭で、必要なお金を工面することに成功しました。そこへ突然、モネ警視が訪ねて来ました。古い友人としてモネ警視は、マルセルにそれとなく家宅捜査が入ることを告げました。モネ警視が出ていくと、間もなく警察が家宅捜査にやってきました。マルセルはモネ警視や八百屋のジャン=ピエール、チャングら近所の人たちのお蔭で、イドリッサを無事、ロンドンへ密航させることに成功しました。そしてマルセルは、妻・アルレッティのお見舞いに行きました。しかし、そのベッドには妻はいませんでした。マルセルは主治医にもとへ行きました。そこには死んでしまったと思った妻・アルレッティがドレスを着て立っていました。奇跡が起こったのでした。「治ったわ。完全に病気が消えたの。家に帰りましょう」と妻は言い、マルセルは妻と共に家に帰りました。家の桜の花が美しく咲き誇っていました。
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