宇宙からの脱出の紹介:1969年アメリカ映画。人類の夢と希望を託し打ち上げられた宇宙船の故障で、宇宙に取り残された3人の宇宙飛行士たちの救出作戦の緊迫した様子や宇宙計画の非情な現実を描いています。ちなみに日本での公開直後、偶然にもアポロ13号(後に映画化)の事故が発生しています。監督は「大脱走」などで知られるJ・スタージェス。G・ペック、G・ハックマンなど、豪華はキャスティングです。第42回アカデミー特殊視覚効果賞を受賞。
監督:ジョン・スタージェス 出演者:グレゴリー・ペック(チャールズ・キース)、リチャード・クレンナ(ジム・プルイット)、デヴィッド・ジャンセン(テッド・ドゥハティ)、ジーン・ハックマン(バズ・ロイド)、ジェームズ・フランシスカス(クレイトン・ストーン)ほか
映画「宇宙からの脱出」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「宇宙からの脱出」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「宇宙からの脱出」解説
この解説記事には映画「宇宙からの脱出」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
宇宙からの脱出のネタバレあらすじ:起・取り残された宇宙飛行士たち
ヒューストンにあるNASAの基地から、プルイット船長、ロイド、ストーンの宇宙飛行士3名を乗せた宇宙船「アイアンマン」が打ち上げられます。アイアンマンから宇宙ステーションに乗り込んだ彼らは、宇宙船と乗組員のテスト、計画中の惑星間飛行に備えて、7ヵ月に及ぶ長期滞在の任務に就いています。5か月後。3人の宇宙飛行士の疲労は限界に達しており、NASAは彼らを地球に帰還させることを決定します。しかし、何らかの原因で機械に不具合が起こり、アイアンマンが帰還困難となります。ヒューストンは救出のための緊急会議を開きます。
宇宙からの脱出のネタバレあらすじ:承・無謀な挑戦
地上管制センターの責任者キースは、成功率の低い救助艇での救助案を却下します。しかし、乗組員の救助を望む国民の意向を汲み取った大統領令により、救出作戦が決行されることとなります。アイアンマン内に残された酸素量が36時間に対し、救助艇を4人乗りに改造し打ち上げ状態にするまでに急いでも40時間かかります。さらに、ハリケーンが打ち上げ時刻ごろにヒューストンを通過という最悪な予報となっています。NASAは乗組員たちの妻を呼び寄せ交信させるが、ロイドが興奮状態に陥ります。
宇宙からの脱出のネタバレあらすじ:転・ハリケーンの目
予報通りハリケーンの通過で、キースは救助艇の打ち上げを中止します。死を覚悟した乗組員たちは、地上スタッフたちに宇宙計画の続行を遺言として告げます。マスコミは宇宙計画自体の是非を問い騒ぎ始めます。無力感に苛まれるキースは、スタッフから打ち上げ場所にハリケーンの目が通過することを知らされます。目の中なら暴風雨も一時的に止むのでは、と考えたキースは救助艇打ち上げの決定を下します。
宇宙からの脱出の結末:命がけの救出
乗組員たちは救助艇の打ち上げ成功を知りますが、酸素がもたないため何とかしたいプルイットは、アイアンマンの修理をしようと船外に出てしまいます。しかし宇宙服が破れ、プルイットは宇宙の闇に飲み込まれていきます。ストーンとロイドの2名となったアイアンマンの元に、ソ連が救出のために派遣した宇宙船が接近します。ヒューストンからの救助艇も到着し、ストーンとロイドの救出は成功します。そして、救助艇は彼らの帰還を待つ地球へと向かいます。
以上、映画 宇宙からの脱出のあらすじと結末でした。
アメリカの宇宙ロケット・アイアンマン1号は、5カ月の宇宙滞在を終え、地球に帰還しようとしていた。
しかし、地上に向けてのロケットの噴射が起こらず、地球に帰還できなくなりました。
地上基地の責任者キース(グレゴリー・ペック)は、救助船を発射するには準備時間がなく、費用の面からも救助の断念を考えたが、世論が許さないという大統領の判断で、救助船を打ち上げることになるのだった。
このジョン・スタージェス監督の「宇宙からの脱出」は、意外と派手な場面は少ない。
宇宙で孤立している(この映画の原題は「MAROONED」で「孤立」とか「取り残されて」という意味)アイアンマンの3人の宇宙飛行士は、座ったままで、画的に動きがない。
しかし、考えて見れば、宇宙を舞台にすると、映画的には盛り上げりが欠けてしまいます。
何しろ、宇宙は広大だから、時間の流れ方もゆっくりで、地上からの制御がほとんどで、現場で出来ることは少なくなります。
従って、現場で修理をしようとする、といった画は作りにくくなる。
実際、「外に出て修理してみる」と船長は訴えるが、「飛行士に直せるレベルではない」と、即、却下。
画的に派手さがない分、ジリジリとしたサスペンスで、観ている方も、もどかしさが募ります。
この辺りは、下手をすると面白くならないのだが、これをサスペンスに出来るのは、やはりジョン・スタージェス監督の演出の力であり、グレゴリー・ペックやジーン・ハックマンの演技の力なのだと思います。
だから、映画は割と会議のシーンが長かったりするのだが、いよいよ救助船の出発となるが、巨大ハリケーンのために中止。
しかし、ハリケーンの目に入った瞬間に発射成功。
そして、ここからが見せ場になるんですね。
もう救助船が向かったんだし、大丈夫だと観る者に思わせておいて、実は酸素残量が無く、「3人なら間に合わないが、2人なら間に合う」という計算結果が出る。
グレゴリー・ペックは、周りにスタッフがいない別室に行き、そこから話しかける。
「3人なら持たないが、2人なら間に合う。あとは3人で相談してくれ」と言い放つ。
物事をはっきり言わないで、以心伝心でわからせようとするなんて、日本人だけかと思っていたら、アメリカ人もそういう状況があるんですね。
勉強になります。
3人で話し合うも、もちろん結論は出ず、ジーン・ハックマンの操縦士は、錯乱状態にさえなる。
結局、リチャード・クレンナの船長が、「修理を試みる」と言い残して船外に出る。(もちろん船長の真意は、帰るつもりはない)
ここが泣かせどころなんですね。
そして、いよいよ救助船の到着。この救助船は、ほぼ何のトラブルもなく到着する。
だが、ここで突然、ソ連の宇宙船が登場する。
ソ連には救助を依頼したが、無理と判断した、というセリフがあったにも関わらず、この登場はあまりにも唐突すぎる。
ようやく到着した、アメリカの救助船から出たデビッド・ジャンセンが、船外用小型ロケットで、宇宙を漂い始めたジーン・ハックマンを救助。
そして、ソ連の飛行士と共に、もう1名の飛行士に酸素を送って、そこで「救出完了!」の知らせで地球は大喜び。
「さあ無事地球に帰還できるか?」という山が起こるかと思ったら、唐突に「THE END」。
これには正直、驚きましたね。
何しろ準備不足で、ぶっつけ本番で打ち上げたロケットだから、「うまく行かない!」となって、そこはデビッド・ジャンセンが、手動操縦でうまく着陸かと思ったのに。
また普通、グレゴリー・ペックが、何か教訓的なセリフを言うのかと思ったらそれもなし。
なんだかB級映画みたいなエンディングでした。
考えて見れば、デビッド・ジャンセンは、あくまでTVドラマの「逃亡者」等でのテレビスターだし、ジーン・ハックマンは、「フレンチ・コネクション」でブレークする前で、まだスターにはなりきっていない時期。
となると、やっぱりスターは、グレゴリー・ペック一人になる。
しかし、それにしても、グレゴリー・ペックが出演しているだけで、何か作品の格とか重量感が違ってくるなと、改めて感じましたね。
スターの放つオーラというか、存在感には凄いものがありますね。