女の歴史の紹介:1963年日本映画。昭和初期から戦後にいたるまで、一人の女性が歩んだ苦難の半生を淡々と描いた作品。成瀬巳喜男監督と高峰秀子のゴールデンコンビによる佳作で、脚本は笠原良三のオリジナル。ラストシーンは成瀬巳喜男監督のかつての名作「稲妻」を思わせる。
監督:成瀬巳喜男 出演:高峰秀子(清水信子)、宝田明(清水幸一)、賀原夏子(清水君子)、清水元(清水正次郎)、山崎努(清水功平)、仲代達矢(秋本隆)、ほか
映画「女の歴史」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「女の歴史」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「女の歴史」解説
この解説記事には映画「女の歴史」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
女の歴史のネタバレあらすじ:起
東京の自由が丘。清水信子は美容院を経営しながら、死んだ夫の母親・君子、それに一人息子の功平とともに暮らしています。功平は大学を卒業後、大手の自動車メーカーに就職。営業担当で接待のために帰りはいつも遅くなり、信子を心配させますが、息子の方では仕事と遊びで毎日が充実している様子です。やがて接待で利用していたキャバレーに勤める富永みどりと親しくなった功平は、彼女との結婚を母親の信子に相談します。しかし、水商売を嫌う信子はそんな結婚など絶対に許しません。仕方なく功平は家を出ていき、勝手にみどりと同棲を始めます。強情を張っている信子に対し、義母の君子は「許してやりなよ」と諭すのですが、信子は「何のために大学まで出させたのか」と言い、聞く耳を持ちません。
女の歴史のネタバレあらすじ:承
やがて信子のもとに電話がかかってきます。自家用車で営業に出ていた功平が事故にあったというのです。結局功平はその怪我が元で死亡。信子は悲しみの淵に沈みます。居間にボンヤリと座った信子は自分の半生を振り返ることに――。深川木場に生まれた信子は昭和十二年、同じ町内の材木問屋の長男・幸一と見合い結婚。見合いと言っても幸一の方が信子を見初め、強引に結婚話まで持ち込んだのです。幸一の父親が商売に失敗、浅草の芸者と心中するという不幸はありましたが、もともと家業を嫌ってサラリーマンとなっていた幸一にはほとんど関係がなく、夫婦仲は円満。やがて信子は武漢三鎮の陥落があった日、息子の功平を産みます。
女の歴史のネタバレあらすじ:転
日中戦争はさらにアメリカとの開戦を招くことになり、物資の不足が目立ってきました。軍需産業に勤めていた幸一にも赤紙が来て、戦地へ。信子は夫の無事を祈りながら君子、功平とともに栃木県に疎開しますが、そこに無情にも幸一の戦死の知らせが届きます。戦争が終わり、信子たちの生活もこれまで以上に不如意に。そんな時に何かと助けてくれたのが幸一の無二の親友である秋本隆でした。彼に頼りながらヤミ米を売ることで何とか生活する信子たち。お互いに好意を抱きあった信子と秋本はある夜キスまで交わしましたが、結局結ばれることはなく、やがて危ない商売に手を出していた秋本は信子の前からいなくなってしまいます。
女の歴史の結末
そしてヤミ米商売の女性からパーマの技術を教えられた信子は東京へ。美容院を開いて立派に功平を大学にやったものの、こうしてまた不幸が訪れたのでした。ボンヤリと過去を振り返っていた信子のところへ一人の女性が訪ねてきます。それは功平と同棲していたみどりでした。最初は彼女を拒否した信子ですが、彼女が功平の子供を妊娠していると知り、徐々に気持ちが変わってきます。そしてみどりは美容室を手伝うようになり、子供を出産。こうして三世代に渡る女性が、赤ちゃんの世話をしながら、ひとつ屋根に暮らしていくことになったのです。
この映画の感想を投稿する