ミスター・ノーボディの紹介:1974年イタリア,フランス,西ドイツ,アメリカ映画。老ガンマンと彼にまとわりつく奇妙な若者の交流を描くマカロニ・ウェスタン。伝説のガンマン、ボーレガードはヨーロッパへ渡り静かに余生を送ろうと考えていた。そんな彼の前に不思議な若者が現れる。「無名の男(ノーボディ)」と名乗ったその若者は、ボーレガードの名を歴史に残したいと熱望。そのためにワイルドバンチ150人との対決を提案する。陽気な音楽が似合うコメディ作品だが、マカロニ・ウェスタンの終焉を予感させるもの寂しさが漂っている。原案はマカロニ・ウェスタンの巨匠セルジオ・レオーネ。
監督:トニーノ・ヴァレリ 出演者:ヘンリー・フォンダ(ジャック・ボーレガード)、テレンス・ヒル(ノーボディ)、レオ・ゴードン(レッド)、ジェフリー・ルイス(ワイルドバンチのリーダー)、ジャン・マルタン(サリヴァン)ほか
映画「ミスター・ノーボディ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミスター・ノーボディ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ミスター・ノーボディ」解説
この解説記事には映画「ミスター・ノーボディ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミスター・ノーボディのネタバレあらすじ:伝説の男
舞台は1899年アメリカ。早撃ちの名人ジャック・ボーレガードが町の電報局にやって来ました。彼はヨーロッパ行きの船を予約しようとしましたが、予約金が必要と知り保留します。生ける伝説と謳われる凄腕ガンマンのボーレガードも高齢となり、更に名を上げようと狙ってくる襲撃者を撃退する毎日に嫌気が差していました。そのため西部から引退してヨーロッパに渡り、静かに余生を過ごそうと考えていたのです。彼は床屋へ入りましたが、そこにも理容師に扮したならず者が待ち構えていました。すぐに見抜いたボーレガードは外で様子を窺っていた仲間ごとならず者を射殺します。町を出て知人レッドを訪ねと、彼は何者かの襲撃を受け既に虫の息でした。ボーレガードが弟ネバダの居所を尋ねると、「アコマで身を隠してる」と言い残し絶命します。一方、鉱山主サリヴァンはボーレガードの動きを警戒していました。彼は悪党集団ワイルドバンチと手を組み、違法な金塊を売りさばいています。ワイルドバンチのリーダーは、もっと慎重に動かなければボーレガードに嗅ぎつけられると警告しました。
ミスター・ノーボディのネタバレあらすじ:無名の男
ボーレガードを付け狙っていたならず者は、1人の若者を騙してカゴに入れた爆弾を持たせます。そして酒場にいるボーレガードのところへ送り込みました。若者はボーレガードに「あんたの引退は有終の美を飾るべきだ」と言います。彼はボーレガードに強い憧れを抱いており、その戦歴を称賛します。カゴを外に放り投げた若者は、幼い頃からの夢を語り始めました。荒野で150人の悪党を相手に、たった1人で対峙するボーレガードの姿。その光景をずっと思い描いていたというのです。歴史に名を残せと迫る若者に「お前は誰だ?」と尋ねると、「無名の男(ノーボディ)」と答えました。ボーレガードはノーボディを無視して先住民の村アコマに向かいます。しかし先回りしていたノーボディからネバダの死を告げられたボーレガードは、早撃ち対決を持ちかけました。実はノーボディも凄腕のガンマンでしたが、彼は何故か銃を抜きません。
ミスター・ノーボディのネタバレあらすじ:サリヴァンの企み
歓楽街の酒場にやって来たノーボディは、見事な銃の腕前を披露します。それがサリヴァンの目に留まり、ボーレガードの始末を依頼されました。遅れて街にやって来たボーレガード、通りで迎えるノーボディ。そこへワイルドバンチがやって来たので対決は実現しませんでした。彼らはダイナマイトをサドルバッグに入れ去って行きます。ボーレガードはサリヴァンに山を売ったという老人を訪ね、話を聞きました。彼はレッドとネバダに騙され、ろくに分け前も貰っていないと憤慨します。ネバダを殺害したのはサリヴァン達だと気付いたボーレガード。サリヴァンを殺害すればワイルドバンチとの戦いは避けられません。ノーボディはこの展開を狙っていました。しかしサリヴァンを訪ねたボーレガードは、金を奪っただけで危害は加えませんでした。ボーレガードはネバダを卑劣な男と考えていて、命懸けの敵討ちをする気は毛頭無かったのです。しかし執念の男ノーボディは諦めません。
ミスター・ノーボディのネタバレあらすじ:待ち望んだ光景
ノーボディは金塊を乗せた貨物列車を奪い、ワイルドバンチをおびき寄せます。線路沿いに移動していたボーレガードは、接近するワイルドバンチとノーボディを見てついに対決の意志を固めました。ノーボディは少し離れた位置で列車を止め、興奮を隠しきれない様子で見つめています。ボーレガードはワイルドバンチの派手な鞍を目印に発砲。サドルバッグに入っていたダイナマイトが大爆発を起こし、ワイルドバンチは土煙の中吹っ飛んでいきます。ノーボディはついに叶った夢に満足し、列車を動かしてボーレガードを乗せ走り去りました。見事歴史に名を残す戦いに勝利したボーレガード。あとは引退するだけです。「引退の方法は?」と尋ねると、ノーボディは笑顔で「死ぬこと」と答えるのでした。
ミスター・ノーボディの結末:時代の終わり
ボーレガードとノーボディは、ニューオーリンズの通りで早撃ち対決に臨みます。大勢の見物人が集まる中、緊張の対決を制したのはノーボディでした。敗れたボーレガードは力なく倒れます。それから3日後。ボーレガードの後継者になったことでノーボディは有名になり、各方面から命を狙われることになりました。「無名の男」に戻るには最早死ぬしかありません。しかし、ノーボディなら「私の時代の幻想を持ち続けてくれるだろう」とボーレガードは手紙に綴りました。実はボーレガードは生きてヨーロッパ行きの船に乗っていました。あの対決はボーレガードを綺麗に引退させるための芝居だったのです。ボーレガードは別れと礼をしたため、最後に「上着を着ていない理容師は偽物だぞ」とアドバイスしました。――床屋に入ったノーボディは、上着を着ていない理容師に髭を剃って貰います。そしてカミソリが首を狙う直前、ノーボディは指を銃の形にして偽理容師の尻に押し付けました。陽気な音楽が流れ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画ミスター・ノーボディのあらすじと結末でした。
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