ラブレスの紹介:2017年ロシア,フランス,ドイツ,ベルギー映画。一流企業で働く夫ボリスとエステサロンのマネージャーをしている妻ジェーニャ。夫婦関係はすでに冷え切っておりそれぞれにパートナーもいる。売りに出している家も売れそうな状況で協議離婚が進む中、問題は12歳の息子のアレクセイの存在だった。どっちが引き取るのか。顔を合わせるたびに激しく口論をするボリスとジェーニャ。アレクセイは2人の言い争いにただ耳を塞ぎ泣くしかできなかった。そしてある日、アレクセイは学校に出たきり姿を消す。警察やボランティア救助隊の力を借りてアレクセイの捜索は懸命に行われるが、果たしてそれはアレクセイへの愛なのか、それとも自分たちの幸せな将来のためなのか。目の前の幸せを見出せず、人間性を喪失させる現代病をサスペンスタッチで描く。
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ 出演:マルヤーナ・スピヴァク(ジェーニャ )、アレクセイ・ロズィン(ボリス)、 マトヴェイ・ノヴィコフ(アレクセイ/アリョーシャ)、 マリーナ・ヴァシーリエヴァ(マーシャ)、アンドリス・ケイシス(アントン)、アレクセイ・ファテーエフ(コーディネーター)ほか
映画「ラブレス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラブレス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ラブレスの予告編 動画
映画「ラブレス」解説
この解説記事には映画「ラブレス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラブレスのネタバレあらすじ:起
終業と共に学校から一斉に子供たちが出てきて家路につきます。アレクセイも友達と別れて1人の帰り道。落ちているリボンを拾いあげ高らかに投げるとリボンは木にひっかかり風に揺れています。一流企業で働くボリスと高級エステサロンでマネジメントを任されているジェーニャの夫婦。12歳のひとり息子アレクセイと共に緑に囲まれ美しい景色を眺めることのできるマンションに住みハイクラスの生活を送っていましたが、既に夫婦関係は冷え込み現在離婚の協議中でした。ボリスには若い恋人マーシャがおり、お腹には彼の子供が宿っています。しかしボリスが務める会社では「ヒゲ親父」と呼ばれる社長が厳格なキリスト教徒のため、クビを恐れるボリスは離婚を隠し通しています。一方ジェーニャにも年上の裕福な恋人アントンがいました。
ラブレスのネタバレあらすじ:承
ボリスもジェーニャも一刻も早く離婚を成立させ新しい暮らしをはじめたい思っています。残る問題はどちらがアレクセイを引き取り育てるか。ジェーニャは片時も携帯を離さずSNSに夢中になりながら、アレクセイを手のかからない寄宿学校に入れると話します。ボリスは引き取る気がないにも関わらず寄宿学校に入れるのは無責任だとジェーニャを非難します。そんなボリスもソーシャルワーカーから女性の方が非難されるだろうからとジェーニャに責任転嫁をしようとしますが、本意は会社で離婚を公にできないため早く新しい家族を作りたいという気持ちが見え隠れします。ふたりは顔を合わせるたびに激しい口論を繰り返します。ジェーニャはこれまでに母から愛されることなく子供時代を過ごし、また自分もアレクセイを愛せないでいることをアントンに告げていました。感情を抑えることのできないジェーニャと責任転嫁するボリス。アレクセイは自分を押し付け合っている両親の言い争いをひとり静かに泣きながら耳にしていました。
ラブレスのネタバレあらすじ:転
ある日の朝方、アントンの元から帰ってきたジェーニャはアレクセイの学校からの電話によって起こされました。アレクセイは2日も学校に来ていないとのこと。慌ててボリスへ電話をしたジェーニャですが、最後にいつ会ったかも曖昧で、すぐ戻るだろうと流そうとする夫に対して、ボリスにも自分にも腹を立てて怒鳴りながら電話を切りました。警察に相談しても真剣に取り合ってくれず、市民ボランティアの捜索救助団体ヴェラに協力を依頼することにしました。ヴェラのコーディネーターの指示のもと沢山のボランティア救助隊を動員してアレクセイの捜索が手当たり次第始まります。ジェーニャ夫婦は捜索隊とともにジェーニャの母親のもとを尋ねますが、そこにもアレクセイの姿がないばかりか、母はジェーニャを罵り、別れて中絶しろと忠告したのに聞き入れなかったと激高するのでした。帰りの車中、ジェーニャはボリスに向かって、愛していたから結婚したのではなく母親から逃げたかったと告げ、中絶すべきだったと後悔の念を口にしました。
ラブレスの結末
アレクセイのパソコンを調べたコーディネーターは、彼がクラスメイトと秘密基地を作っていたことを知ります。捜索隊と夫婦は秘密基地のある森へ向かいました。ところがそこにはアレクセイの上着があっただけでそれ以外の手がかりはありませんでした。警察と防犯カメラを調べ、捜索隊といたるところに貼り紙をしていく夫婦。それでも一向に捜索は進展せず不安は増していきます。そんな中、警察より連絡が入ります。コーディネーターに誘われて夫婦が訪れたのは死体安置所でした。身元不明の少年の遺体の確認をした瞬間、泣き崩れるジェーニャ。遺体はアレクセイではありませんでした。しかし顔だけでは判明できないほど酷い姿の遺体に自分の息子の姿を重ね、ジェーニャはボリスに当たります。ボリスも涙するのでした。時が経ち、生気を失ったような2人。ボリスは動き回る幼い我が子を無造作に抱きかかえ、ベッドに放り込みます。一方ジェーニャもまた抜け殻のようにアントンと過ごしています。TVからは国民による抗議運動を政府が高圧的に鎮圧したニュースが流れています。このニュースにシンクロするように元夫婦の希望は諦めの気持ちに変わっていくのでした。雪景色の中、木にはアレクセイが下校時に投げたリボンが揺れていました。
以上、ラブレスのあらすじと結末でした。
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