苦い銭の紹介:2016年フランス,香港映画。多数の衣類加工工場が集まる中国浙江省湖州市織里。そこにある小さな縫製工場で「苦い銭」を求めて長時間労働に耐える出稼ぎ労働者たちを2014年から2016年にかけて撮影。『無言歌』、『収容病棟』等のワン・ビン監督のカメラの存在を消したかのようなスタイルで捉えられた「世界の工場」を支える人たちの日常。第73回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門でドキュメンタリー映画なのに脚本賞を受賞。
監督:ワン・ビン 出演:シャオミン[小敏]、ユェンチェン[元珍]、シャオスン[小孫]、リンリン[凌凌]、アルツ[二子]、ラオイエ[老葉]、ホアン・レイ[黄磊]、ファン・ビン[方兵]、他
映画「苦い銭」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「苦い銭」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
苦い銭の予告編 動画
映画「苦い銭」解説
この解説記事には映画「苦い銭」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
苦い銭のネタバレあらすじ:故郷を離れる少女
雲南省の少女シャオミンとその家族。シャオミンは、先に出稼ぎを始め今帰省しているユェンチェンについて出稼ぎに行こうとしていた。シャオミンはまだ15歳だが、働くのは小さな工場だから年齢はちゃんと調べないだろうと言う。弟は後で自分も出稼ぎに出るという。ユェンチェンはシャオミンの母のために責任をもってシャオミンを世話するつもりだった。
二人はバスと列車を乗り継ぐ。ユェンチェンの従弟の少年シャオスンもいっしょに出稼ぎに行く。夜行列車は満席で床に座っている人もいる。やがて三人は浙江省湖州市に着いた。
苦い銭のネタバレあらすじ:出稼ぎ夫婦の喧嘩
シャオミンたちが働く縫製工場の同僚のリンリン。商品の梱包を手伝う彼女は夫に家から追い出されていた。でも金がなくて困っている。安徽省出身の彼女と夫のアルツは街の中に小さな店をもっている。その店にリンリンは行くが、夫は彼女を許さず暴力をふるう。故郷の子供にみやげを買って帰るお金をくれと言っても金を出さない。何が彼を怒らせているのか具体的なことは何もわからないが、彼は離婚すると主張する。店でマージャンをしていた客たちも激しい夫婦喧嘩を見て帰る。マージャンをしていた一人はシャオミンたちの工場で働く中年男のラオイエだが、彼が親切に仲裁を買って出ても無駄だった。どうやらアルツは、事故で不自由になった彼の手への配慮がリンリンに足りないと考えているようだ。
苦い銭のネタバレあらすじ:長時間労働
シャオスンは工場での仕事になじめず、たった一週間で去っていく。一日12時間を超える長時間労働が彼には合わなかった。
ミシンを踏む出稼ぎ労働者たち。子供服が次々と仕上がっていく。しかし、一日中働き続けてもなかなかお金はたまらない。マルチ商法の講習会が労働者たちの話題になる。警察に取り締まられる危険性はあるけれど大金を手にできるかもしれない。
苦い銭のネタバレあらすじ:社長
ラオイエと工場の寮で同室のホアン・レイが同僚たちに、社長が給料を出さないことについてしつこく文句を言う。彼は工場を辞めるつもりだが、金がないという。工場に戻ってきた社長は明らかに酔っぱらっているホアン・レイをたしなめる。給料を出し、やる気なら工場で雇い続けると言うが、ギャンブルはやめるように言う。
ファン・ビンも同じ縫製工場で働いているが社長に解雇される。工場にどんどん仕事は来るが、仕事の遅いファン・ビンは足手まといとみなされた。1日150元稼げる人間がほしい。ファン・ビンは70元しか稼げない。彼は別の大きな工場の仕事がすぐに見つかったが、大きな工場で働くことに不安をもっている。二日間働いてだめなら故郷に帰ると言って工場を去り、オート三輪で次の職場へと送られていく。
苦い銭の結末:夜の梱包作業
ある夜、袋詰めされた製品を大きな白い袋に梱包する作業が外で行われる。映画の前半で派手な夫婦喧嘩をしていたリンリンとアルツもそれに参加していた。梱包作業をしながら人々は、大工場と競争しなければならない個人経営の工場の経営の苦しさを話す。
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