機動警察パトレイバー THE MOVIEの紹介:1989年日本映画。近未来の東京、多足歩行作業機レイバーが突然暴走する事故が多発していた。それは新型OSであるHOSが急速に普及するのと共に広がって行くのだが、その開発者は自ら命を断っていた。特車2課第2小隊は、東京壊滅を防ぐ為に神ごとき天才プログラマーが仕組んだ犯罪に挑む。大人気マルチメディア作品の映画化第一弾。
監督:押井守 声優:富永みーな(泉野明)、古川登志夫(篠原遊馬)、大林隆介(後藤喜一)、榊原良子(南雲しのぶ)、池田通洋(太田功)、二又一成(進士幹泰)、郷里大輔(山崎ひろみ)、井上瑤(香貫花クランシー)、千葉繁(シバシゲオ)、阪脩(榊清太郎)、小川真司(福島課長)、西村知道(松井刑事)
映画「機動警察パトレイバー THE MOVIE」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「機動警察パトレイバー THE MOVIE」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
機動警察パトレイバー THE MOVIEの予告編 動画
映画「機動警察パトレイバー THE MOVIE」解説
この解説記事には映画「機動警察パトレイバー THE MOVIE」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
機動警察パトレイバー THE MOVIEのネタバレあらすじ:起
技術者が一人高所作業場の端に立ちます。彼は指先に止まらせていた烏を放ち、その口には薄ら笑いが張り付かせ、海に身を投げました。
自衛隊演習地は、俄かに騒がしくなりました。空挺部隊が展開し、レイバーも降下を開始します。彼等の目標は、真紅に塗られた試作レイバーでした。森の中を疾走するそれを自衛隊は攻撃します。試作レイバーもまた応戦しますが、最後には集中砲火を浴び完全な鉄屑となって状況は終了しました。隊員達はその搭乗員の安否を確認しようとコクピットのハッチを開きます。しかしそこは無人で、人が居た気配すらありませんでした。
特車2課第2小隊隊員篠原遊馬と泉野明の乗るヘリは、東京湾開発プロジェクト、バビロンの作業現場の中枢である木更津第1人工島通称方舟に向かっていました。その方舟では、第1小隊に配備予定である新型レイバー、零式の試験を隊長の南雲が行っていました。零式は、新OS、HOSを標準装備したレイバーで、HOSは篠原重工が発表した従来より高性能のOSで急速に普及中でした。南雲を迎えに来たという口実で見物に来た遊馬は、彼女が零式の試験を行っている理由を聞きます。それはアメリカに研修中の整備班主任シバシゲオ、通称シゲの依頼で、しかも2課の手で徹底してくれという事でした。
特車2課に戻った南雲は、零式の配備が延期になった事を課長から通達されます。その理由を課長は、自衛隊で試験中だったHOS搭載の試作レイバーが暴走したの為だとオフレコで話します。第2小隊の面々は、第1小隊が研修が延期になったと聞かされ待機任務が続く事を嘆きます。最近レイバーの暴走が多発、第2小隊は休み無く出動していました。彼等がそう話し合っている間にも出動要請が舞い込んで来ました。
再開発地区では1台のレイバーが暴走していました。第2小隊は配備機の98式2機を持ってそれを一度は取り押さえ搭乗員を救出します。ですが、完全停止した筈のレイバーは無人で再起動します。業を煮やした大田巡査は操る2号機の射撃で蜂の巣にしました。2課に戻った遊馬はそれを隊長達に報告し、先程の事件も乗員の証言では暴走だったと付け加えます。第2小隊隊長後藤は、暴走はありえない事になっているので適当に報告書を書けと言います。それを聞いた遊馬は、突然続く暴走事件について調べ始めました。炊き付けた後藤は、捜査課の刑事やシゲと密に連絡を取り何かを探っていました。
機動警察パトレイバー THE MOVIEのネタバレあらすじ:承
遊馬は解析の結果、暴走機全てにHOSが搭載されている事を指摘します。後藤もそれには気付いており、HOSの欠陥よりは個人的犯罪の可能性もあると開発者帆場暎一について調べていました。しかしその詳細は、全てのデータが消された事により不明で、しかも本人は、方舟で投身自殺していました。後藤は遊馬に調査続行を命じますが、98式にHOSが搭載されている事から、口外無用としました。
整備班班長榊が篠原重工八王子工場長の実山を尋ねます。彼はHOSの安全性を問い、実山はそれを保障しました。が、この訪問に同行した遊馬は、社長子息権限で様々なデータをコピーした後HOSのマスターコピーを見付け起動、戯れにパスワードを帆場の名前からEHOBAと打ち込んで見た所、謎のメッセージとプログラムが起動、工場のコンピューターを暴走をさせてしまいました。篠原と榊は工場を慌てて後にし、HOSに何かが仕込まれている事を確信します。
刑事の松井と片岡は、再開発で無人になった地区を幾つも巡っていました。それは唯一残っていた帆場の転居情報を辿る旅のようなものでした。
遊馬は後藤に暴走発生区域が幾つかに偏っている事を突き止め報告します。98式の事もあり、彼は休みなく調査を続行しようとしますが、それを見兼ねたかのように後藤は休憩して来いと追い出します。追い出された遊馬は、ひょんな事から野明が遊馬達がHOSに懸念を抱いているのを知って居る事に気付きます。彼は彼女を外に連れ出しその事を問い質すと、遊馬の報告を立ち聞きしていた事を話します。アルフォンスと愛称を付けた乗機1号機の暴走を心配する野明に、遊馬は時間をくれと頼みます。野明はふと堤防の犬が風切音か何かの超音波に反応しているを見ます。それを一緒に見た遊馬は何事か閃き、野明を置いて一人実山を尋ねます。遊馬は実山に、先程見た光景からレイバーを暴走させる超音波の周波数を聞き出します。会社側でもそこまでは調べがついていて、遊馬はレイバーを悪役にするなと実山にその事の公表を迫ります。
翌日2課に戻った遊馬は課長から謹慎を命じられました。その理由は、遊馬が昨夜行った様々な素行不良の積み重ねでした。彼はそれに反発するように篠原の件を問います。課長は遊馬に、篠原重工からHOSの無償アップデートが行われるが、その内情は伏せられる事を話します。遊馬は自分だけ処分対象かと課長に食って掛かりますが、課長から親子喧嘩に警察を使うなと一蹴されてしまいました。
処分に納得のいかない遊馬ですが、後藤は事件が終わったと考えていませんでした。その為に野明に素行不良をチクらせ、謹慎という形で遊馬に専従させると言い出します。そこにシゲが帰国したという朗報が入ります。遊馬と野明はシゲにOSの書き換えを頼みますが、シゲはHOSの信頼性を怪しみ、更新ぜずに誤魔化したと告げます。後藤にもその事は報告済みだったとも言われ、父親に対しムキになる性格を利用された犠牲者は怨嗟を上げました。
機動警察パトレイバー THE MOVIEのネタバレあらすじ:転
再開発地区を巡っていた松井達は、帆場という表札の家に辿り着きます。そこも無人でしたが、大量の鳥篭が残されていました。そしてその壁には、旧約聖書のバベルの塔に関する一遍が残されていました。報告を受けた後藤は、帆場の生家を突き止めた松井達を賞賛します。しかし彼は、辿る事で見た移り行く街並に感傷を得た事を呟きます。
後藤は南雲と帆場に関して話し合います。彼はMITに在籍していた時代はその名前と才能から旧約聖書で神を現すエホバと呼ばれていました。後藤は、この犯罪は聖書を暗号にし、それを防げる者はいないと考えながら帆場は身を投げたと笑みを浮かべます。
遊馬は、シゲの下宿で被害範囲の予測シミュレートを行っていました。しかし、HOSの全てが解析出来て居ない今、その結果は小規模なものでした。そこに野明が差し入れを持ってやって来ます。野明は、火に掛かったケトルが鳴り始めたので止めに行きます。その時、遊馬はガラスが共鳴している見て閃きます。遊馬はシミュレーションに共鳴効果を加え再計算を始めます。それでもまだ足りない要素を加える為に方舟のデータも投入します。その結果被害は、東京を覆い尽くしました。しかしそれには大型台風の並みの風が必要でしたが、ニュースでは1両日中にそれに見合う台風の接近を報道していました。
後藤はその結果を本庁の幹部会議に報告します。幹部達は、解析を机上の空論とし取り上げようとしません。後藤はオフレコの情報等を持ち上げ、幹部達に対応を迫ります。幹部達はおざなりの対応を提案しましたが、後藤は台風の仕出かした事ならばと誘惑し、天災ならばと了承を取り付けました。後藤は第2小隊に、方舟破壊の作戦を決行させました。
作戦は災害時の緊急パージシステムを利用する事になりました。後藤はあらゆるコネを使い武器を集め、アメリカから元部下の香貫花を呼び戻し、作戦に当たらせます。
準備の終わった第2小隊は、嵐の渦巻く夜の海に乗り出し方舟へ向かいました。
機動警察パトレイバー THE MOVIEの結末
方舟に上陸した第2小隊は、警備用ロボットを戦争さながらに破壊しながら中央制御室へ向かい占拠します。彼等はパージを開始しますが、最上階の補助制御室に人の存在を確認します。その人物のIDは帆場でした。罠の可能性が高い中、遊馬は野明に補助制御室に向かう事を指示します。更にパージも同時に行うという事でした。その頃、HOSにウィルスが仕込まれていた事が判明します。それは方舟の制御室コンピューターも感染しているという事でした。その方舟では、駐機されていたレイバーが暴走を開始していました。その群れの中に太田機が突入、そして香貫花はHOSを封じて零式を持ち出します。野明は、暴走するレイバーを潜り抜け補助制御室に迫っていました。野明は薄暗く静まり返った制御室に入ります。しかしそこには人陰はなく、部屋は鳥で埋め尽くされていました。そして帆場の反応は、烏の足に付けられたIDタグから発信されたものでした。遊馬は野明からその事を報告されます。その時、コンピューターがウィルスで暴走し作業続行が不可能になります。遊馬はコンピューターを介さないパージ方法を考え、直接結合部爆破を行う方法を思い出します。その点火位置は、補助制御室の真下でした。思う存分暴れる大田ですが暴走レイバーに囲まれます。そこに零式が現れ、レイバーをなぎ倒して行きます。しかし暫くするとその零式が奇妙な行動を取ります。
野明はパージを実行、1号機で退避します。それを指示した遊馬達の中央制御室に、暴走した零式が突入して来ました。その直後、全パージが実行され方舟は倒壊します。
夜が明け、倒壊に巻き込まれ気絶していた野明は目を覚まします。第2小隊の面々に向かって呼び掛ける彼女の目の前に零式が姿を現しました。まだ暴走中の零式は1号機に襲い掛かります。中にまだ香貫花が居る事を知らされた野明は、1号機のワイヤーで絡め取り動きを止め、生身で零式に取り付き、外部から止めようとします。彼女はウィルスが活動している制御部にショットガンを向け、弾が切れるまで撃ち続けます。そして完全に制御部が破壊された零式は動きを止めました。第2小隊の面々は事件終了に歓喜します。そこに後藤達の乗ったヘリが迎えに来ました。
人間の動きを助けるためにつくられたレイバーによる犯罪が増加し、それに対抗するため、警察もレイバー部隊を作り、優秀な第一小隊とは対照的に個性的な第二小隊の日常を描いたテレビ作品の劇場版です。
多発するレイバーの暴走が新たに搭載したOSによるものであり、ある周波数以上で暴走が始まる、東京湾上の大きな構造物(方舟)が共鳴し、首都圏全体が危ないと部下が突き止めた。しかし上の人たちは及び腰、昼行灯な(実はカミソリと異名を持つ)後藤隊長が、台風がやったことならと、すべてをかぶる形で方舟の解体のため隊員を荒れる海に送り出したが、方舟のガードロボットとの戦い、予想以上にコンピュータの暴走が早く始まり、味方の新型レイバーまで暴走をはじめてしまうが、1号機の泉野明が手動で解体のスイッチを押し、新型レイバーも制御装置を破壊することで暴走を止めて、台風一過。
ごく普通な感じの女の子がガンダムほどではないもっと親近感のあるロボットを操作して、バックアップが機械オタクなメーカーのボンボンで、掛け合い漫才をするようなやり取りが楽しく、シリアスなはずなのに軽く見えたりするのが楽しいです。
1989年の作品ですが、30年後の今でも起こりえるような物語です。