三文役者の紹介:2000年日本映画。日本を代表する名バイプレーヤー、殿山泰司の破天荒な役者人生を描いた人間ドラマ。二人の女性に愛され、映画に命を捧げた一人の男の不器用な生き様を、盟友の新藤兼人監督がユーモアとペーソスを込めて描いた作品です。
監督:新藤兼人 出演者:竹中直人(タイちゃん)、荻野目慶子(キミエ)、吉田日出子(アサ子)、乙羽信子(オカジ)、桂南光(キミエの父)
映画「三文役者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「三文役者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
三文役者の予告編 動画
映画「三文役者」解説
この解説記事には映画「三文役者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
三文役者のネタバレあらすじ:起
京都の喫茶店。映画俳優の殿山泰司、愛称タイちゃんがウェイトレスのキミエに自分の身の上話を聞かせています。なんとかキミエの気を引きたいタイちゃんは、継母に育てられたことや16歳にして女郎館で童貞を失ったことなどを赤裸々に語り出します。キミエを馴染みの料亭に連れてきたタイちゃんは、彼女を口説き落とすことに成功します。そしてキミエの父に挨拶することになったのでした。36歳のタイちゃんに対してキミエはまだ17歳。父は二人の歳の差を心配しますが、娘を傷物にされた以上は結婚を許してもいいと言います。すでに内縁の妻を持つタイちゃんでしたが、妻とはきちんと話をつけることを約束するのでした。
三文役者のネタバレあらすじ:承
鎌倉にやってきたタイちゃんは、妻のアサ子が営む小料理屋に顔を出します。そしてアサ子に別れを切りますが、長い間苦楽を共にしてきた妻にしてみれば身を引くことなど到底考えられません。アサ子からこっぴどくお説教されたタイちゃんは、それ以上何も言うことができなくなってしまうのでした。アサ子とは話がつかなかったものの、タイちゃんは持ち前の愛嬌を発揮してキミエの父から許しをもらうことに成功、二人は晴れて東京で一緒に暮らし始めます。四年が経ちましたが、優柔不断なタイちゃんは相変わらずキミエとアサ子の間をいったり来たりしています。タイちゃんはアサ子から正式な嫁として入籍し、叔母の子を養子に貰うことにしたと告げられます。嫉妬に狂うキミエはアサ子に対抗するため、タイちゃんをいっそう束縛しようとするのでした。
三文役者のネタバレあらすじ:転
そんな中、重度の肝硬変を患っているタイちゃんが倒れてしまいます。瀬戸内海の島で行われる映画の撮影にどうしても参加したいタイちゃんは、医師の警告も聞かずに弱った身体で島へ旅立ちます。この時行われたロケの撮影隊はわずか13人。主演女優の乙羽信子、愛称オカジとともに厳しい撮影を乗り越え、新藤兼人監督の名作映画「裸の島」は完成します。「裸の島」は世界的に成功を収め、タイちゃんの病も回復していきます。二人はキミエの兄の子を養子にもらいます。その後も新藤監督作品の長期ロケ合宿に次々と参加するタイちゃんでしたが、大酒を飲んで問題を起こしてはキミエにキツく叱れてしまうのでした。キミエはタイちゃんの女癖の悪さにも苦しめられますが、喧嘩しては仲直りし、二人は一緒に歳を重ねていくのでした。
三文役者の結末
古希を迎えたタイちゃんでしたが、仕事の依頼も減ってしまい、近所への体裁のため仕事と偽っては街をぶらつく日々が続いていました。やがてタイちゃんの身体は肝臓がんに犯されてしまいます。タイちゃんの余命がわずか半年であることをキミエは隠し通す決心をします。すると不思議なことに映画の出演依頼が次々と舞い込んでくるようになります。タイちゃんは病気で膨れてきたお腹を抱えながら、なんとか撮影をこなしていきます。タイちゃんが最後に演じたのは、息子の帰りを待つ母に戦死を知らせる兵事係の役でした。死期が迫るタイちゃんをキミエは献身的に看病し、アサ子もまた病が治るよう祈り続けます。キミエは病床のタイちゃんに結婚指輪をはめてもらうと、ようやく本当の夫婦になれた気がするのでした。そしてキミエの歌う河内音頭を聴きながら、タイちゃんは静かにこの世を去っていくのでした。
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