めぐり逢わせのお弁当の紹介:2013年インド,フランス,ドイツ映画。夫に届くはずのお弁当が、見知らぬ誰かに届いていると気づいたイラ。しかしお弁当箱に忍ばせた手紙がやがて彼女を変えていく。
監督:リテーシュ・バトラ 出演:イルファン・カーン(サージャン)、ニムラト・カウル(イラ)、ナワーズッディーン・シッディーキー(シャイク)、ほか
映画「めぐり逢わせのお弁当」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「めぐり逢わせのお弁当」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
めぐり逢わせのお弁当の予告編 動画
映画「めぐり逢わせのお弁当」解説
この解説記事には映画「めぐり逢わせのお弁当」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
めぐり逢わせのお弁当のネタバレあらすじ:起・間違って届いたお弁当
ムンバイに住むイラは一人娘を育てながら、おいしいお弁当が冷えた夫婦関係をとりもってくれると信じて、夫の職場への弁当宅配サービスを使っていた。ある日、自宅に戻って来たお弁当箱が綺麗に平らげられていたことを不思議に思って、夫に訪ねると、彼は入れていないカリフラワーの事を褒め、イラは自分の作ったお弁当が夫ではない誰かの元へ届いている事に気がついた。
イラの作ったお弁当は、早期退職を間近に控え、新人シャイクに引継ぎを頼まれたサージャン所に届いていた。妻を亡くし、夜はベランダで一人煙草を飲むのが習慣の物静かなサージャンには、明朗なシャイクは水の合わない人物だった。
めぐり逢わせのお弁当のネタバレあらすじ:承・お弁当箱の中の手紙
間違いに気づいたイラは、お弁当箱の中に間違って届いてしまった事と、全部平らげてくれたことへのお礼の手紙を書いて入れた。それを見たサージャンは一言今日はしょっぱかったとだけ返した。イラに何かとアドバイスをしている上階に住むおばさんは、お礼をサージャンが言ってくるまで手紙を続けようと言って、スパイスの入った籠を彼女に渡した。翌日の手紙には、塩加減はよかったけれど、スパイスが効き過ぎだと書かれていた。
やがて二人は互いにお弁当箱を介して手紙のやり取りをするようになった。イラは夫が仕事ばかりで家でも携帯電話をずっと見ている事をこぼした。するとサージャンはもう一人子供をもうけてはと提案したが、イラの夫はまったく応じなかった。
めぐり逢わせのお弁当のネタバレあらすじ:転・手紙だから言えること
サージャンは引継ぎの仕事を教えてくれと言うシャイクに、書類を一つ任せた。シャイクは孤児で、ようやくチャンスと掴んだ青年で、家にいる妻のために、帰りの列車の中で書類をまな板代わりに野菜を切りながら、サージャンを自分たちの家に来てくれるように誘った。
一方イラは、夫が浮気していることを打ちあけ、それを直接尋ねることはできないけれど、ただ幸福の国とされるブータンに行きたいと書いた。それにサージャンが君とブータンに行けたらいいのにと返すと、名前も知らないのに?とイラは返した。サージャンは自分の名前を教えるために、少し古いインドのヒット曲を彼女に教え、イラは彼がサージャンという名前だと言うことを知った。そして私たちは会うべきだと、カフェと日時を指定した手紙をお弁当箱に入れた。
サージャンのオフィスでは、シャイクに頼んだ書類が間違いだらけで上司がおかんむり、サージャンはシャイクは自分のやった計算にシャイクのサインを頼んだだけだと嘘をついて彼をかばった。そして彼の自宅に招かれて行くと、彼は妻と暮らしてはいたけれど、妻の父親が孤児のシャイクとの結婚に反対していて、駆け落ち同然の状態、父親の祝福をきちんと受けた結婚をしたいと望む彼女のためにまだ正式に挙式はしておらず、今の職に就いてやっと父親に認められて式を挙げられそうで、その時は天涯孤独の自分の後見人として出席してほしいと頼んだ。後にサージャンは彼の結婚式に出席した。
めぐり逢わせのお弁当の結末:すれ違う想いと、イラの決断
イラがカフェでサージャンを待っていても、会う事はなかった。翌日、空の弁当箱を受け取ったサージャンは、本当はカフェにいて、イラをずっと見ていた事、彼女が若く美しい女性で、自分が老いを感じてしまった事を打ち明けた。
父が他界し自分をいよいよどん底のイラは、弁当配達に自分の頼んだお弁当箱が間違った所に届いていると言って、実際どこに届けているのかついて行った、そこにはもうサージャンのデスクはなくシェイクが働いていた。
イラは自分の持つ宝飾品を売りお金を作って、娘を送り出した後ブータンへ向かうという手紙をサージャンの転居先に出した。
以上映画「めぐり逢わせのお弁当」のあらすじと結末でした。
めぐり逢わせのお弁当のレビュー・考察:手紙での静かな語らい
メールや携帯電話ではなく、手紙のやり取りをすると言う事について作中でも言及されるが、ノートの切れ端に書かれた手紙とは言え、手書きの手紙というのはどこかロマンチックに映る。それが、ほぼ完璧に作られたお弁当の宅配サービスの奇跡のような誤配から始まったのならなおさらだろう。夫のために腕に寄りをかけていたイラが、サージャンを想いながらお弁当を作る姿はどこか楽しそうにも見える。もっぱら、家の中の事や、子供の世話、自分の両親の世話に明け暮れる彼女がカフェに出かけ、やがてブータンへ行く覚悟に至るのは、手紙のやり取りあってこその賜物に思える。
インドでは実際にこの映画のように、妻が作ったお弁当を業者が夫に届けるというお仕事があるとか。届ける相手を間違えるということは滅多にないそうですが、そんなお仕事を絡めたお話です。題名が「めぐり逢わせのお弁当」なので、主役のお二人は結ばれてほしかったですが、そうではなかったのは逆に物語的ではなく現実的だったのかな。インド映画ですが、踊るシーンが一切ないのが、斬新です。