この自由な世界での紹介:2007年イギリス,イタリア,ドイツ,スペイン映画。職業紹介所を立ち上げたアンジーは仕事を軌道に乗せようと懸命に働きますが、利益を追及するあまりやがて道を踏み外していきます。英国が抱える労働問題や移民問題に深く斬りこんだケン・ローチ監督による社会派ドラマ。第64回ヴェネツィア国際映画祭にて脚本賞となる金オッゼラ賞を受賞した作品です。
監督:ケン・ローチ 出演者:カーストン・ウェアリング(アンジー)、ジュリエット・エリス(ローズ)、レズワフ・ジュリック(カロル)、ジョー・シフリート(ジェイミー)、コリン・コフリン(ジェフ)、レイモンド・マーンズ(アンディ)、ほか
映画「この自由な世界で」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「この自由な世界で」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
この自由な世界での予告編 動画
映画「この自由な世界で」解説
この解説記事には映画「この自由な世界で」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
この自由な世界でのネタバレあらすじ:起
人材派遣会社に勤める33歳のアンジーは同僚達からセクハラ行為を受けた挙げ句、ある日突然会社をクビになってしまいます。心配したルームメイトのローズは今の職場を紹介しようかと言いますが、アンジーは断ります。アンジーは馴染みのバーの裏にある空き地を使って職業紹介所を開くことを思い付きます。会社の立ち上げを手伝って欲しいと頼まれたローズはリスクが高すぎると心配しますが、アンジーは持ち前のフットワークの良さを生かして、様々な企業に会社を売り込み始めます。社名はアンジー&ローズ職業紹介所に決まり、やがてシャツ会社から仕事の依頼が舞い込んできます。失業者で溢れる東欧地区ではすぐにでも働きたいという外国人求職者がすぐに集まりました。労働許可書を持たない不法移民マフムードから仕事をくれないかと頼まれるアンジーですが、条件を満たさない者に仕事を与えることはできないと断固拒絶します。
この自由な世界でのネタバレあらすじ:承
アンジーにはジェイミーという11歳になる息子がいますが、父母に息子の世話を任せています。ある日ジェイミーは学校で同級生の顎の骨を折るという事件を起こし、学校を停学になってしまいます。母はジェイミーと一緒に暮らすことはできないのかと訴えますが、アンジーは新しい仕事で手一杯であり、二人はつい言い争いをしてしまうのでした。父から今のジェイミーは支えが必要だと諭されたアンジーはジェイミーの様子を見に行きます。ジェイミーは同級生からアンジーのことを馬鹿にされ、つい暴力をふるってしまったことを告白します。アンジーから会社の資金繰りに窮していると聞いたシャツ会社の社長トニーは、サラダ会社を経営する友人を紹介しようかと話し始めます。しかし正規の移民より勤勉に働くという理由でその友人が不法移民ばかりを雇い入れていると聞き、アンジーは不法移民への仕事の斡旋は犯罪になるからと断ります。しかしトニーから上手くやればバレることはないと唆されたアンジーは徐々に躊躇しはじめます。さらに大口の工場の仕事を獲得したローズは安く借り上げたアパートに大勢の労働者を収容して利益を出そうと考え始めます。アンジーもパブの裏にカフェを作り、不正に儲けた金はカフェの売り上げにしてしまえばいいと言い出します。
この自由な世界でのネタバレあらすじ:転
アンジーとローズは毎日沢山の日雇い労働者を工場に送り込みますが、賃金が安すぎると不満を訴える労働者も増えてきます。アンジーは社会保険料を差し引いているのだと説明しますが、実際には国に税金など納めていません。アンジーは毎朝仕事の集合場所に現れるマフムードの熱意に負け、彼の話を聞くことにします。イランから亡命してきたマフムードは妻と幼い娘二人を抱え悲惨な暮らしをしていました。一児の母として見過ごすことができなかったアンジーはマフムード一家にトレーラーハウスを用意してあげた上に仕事を見つけてあげると約束してしまいます。そして偽造パスポートを発行し、マフムードと彼の仲間達を工場で働かせ始めます。アンジーの父はジェイミーを連れアンジーの働く姿を見に来ますが、労働者達を物同然のように扱うアンジーの態度を見て深く失望します。父は金儲けに走るアンジーを強烈に批判しますが、アンジーは会社を成功させることしか考えていません。そんな中仕事を請け負っていた建設現場で多額の給与未払いが発生します。現場責任者のデレクから事業に失敗し、給与が支払えないことを宣告されたアンジーは労働者達に事情を話しますが、一か月近く給与を先延ばしにされていた労働者達の怒りは頂点に達します。労働者達から恨みを買ったアンジーは道で激しく暴行されてしまいます。さらにアンジーとローズの住むアパートまで襲撃され、ローズも怪我を負ってしまうのでした。
この自由な世界での結末
アンジーとローズはは新しいオフィスを借りて再スタートを切ろうとしますが、アンジーは不法移民を安い賃金で使い、会社の利益を上げることに固執し続けます。そこへ新しく大口の倉庫の仕事が舞い込んできます。労働者達の寝泊まり用に倉庫近くのトレーラーを借りようとしますが、トレーラーは不法移民達の住居と化しており空きがありません。アンジーは労働者達の寝床を確保するためだけに、不法移民を立ち退かせるよう入国管理局に通報してしまいます。アンジーはそこにマフムード一家が暮らしていることさせすっかり忘れていたのでした。アンジーの非道なやり方に落胆したローズは仕事を辞め、彼女の元を去っていきます。ある日アンジーのアパートに久しぶりにジェイミーが泊まりに来ます。宅配ピザを注文し、二人で映画を見ているとチャイムが鳴りました。アンジーはピザが到着したのだと思い、ジェイミーに玄関まで取りに行かせますが、ジェイミーはいつまでたっても戻ってきません。そこに黒いマスクを被った三人組の男が部屋に侵入し、アンジーは椅子に縛り上げられます。彼らはアンジーが派遣した食品工場で危険な仕事をさせられ障害を負った労働者の家族や給料を踏み倒された労働者の仲間でした。彼らは部屋から金を根こそぎ持ち去ると、警察に通報すればジェイミーの命はないと警告して帰っていきます。ジェイミーは男達から解放され、アンジーは胸をなでおろします。アンジーは一人で職業紹介所を続けます。今日も大勢の不法移民者達が仕事を求めて彼女を訪ねてくるのでした。
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