島々清しゃ (しまじまかいしゃ)の紹介:2017年日本映画。いつも耳当てをしている少女“うみ”は些細な音のズレも感じ取ってしまう為、祖父以外には心を閉ざしていた。しかしヴァイオリニストの北川との出会いをきっかけに音楽に興味を持った彼女は徐々に前に進みはじめ、吹奏楽部の仲間との距離、そして離れて暮らす母親との距離が近づいていく—。沖縄の離島を舞台に、少女の成長と家族の再生を描いた作品。
監督:新藤風 出演:伊東蒼(花島うみ)、安藤サクラ(北川祐子)、金城実(花島昌栄)、山田真歩(花島さんご)、渋川清彦(真栄田)、ほか
映画「島々清しゃ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「島々清しゃ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
島々清しゃ (しまじまかいしゃ)の予告編 動画
映画「島々清しゃ」解説
この解説記事には映画「島々清しゃ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
島々清しゃ (しまじまかいしゃ)のネタバレあらすじ:起
沖縄の離島にヴァイオリニストの北川がコンサートの為にやってきます。伴奏に使う小学校にあるピアノは去年みてもらったのを最後に調律されていません。その小学校には“うみ”という少女がおり、彼女はいつも耳当てをしています。うみの耳はとても敏感で「ちんだみ(調律)が狂っている」と気持ちが悪くなってしまいます。北川はうみに静かな練習場所だと浜辺へと案内してもらい、そこでヴァイオリンを弾きます。うみは北川のヴァイオリンに聞き入り「綺麗な音、波の音と同じさ」と言います。うみは沖縄民謡が上手な祖父の昌栄と住んでおり、母親のさんごは那覇にいます。さんごはうみが載った新聞記事を持っており、そこには「米軍機墜落を察知:少女の音感に調査員脱帽」と書かれていました。そして、耳が過敏なうみに耳当てを贈ったのは母親のさんごでした。
島々清しゃ (しまじまかいしゃ)のネタバレあらすじ:承
北川との出会いで音楽に興味を持ったうみは、コウタと“コウタが勝ったら「二度と吹奏楽部の練習の邪魔をしない」こと、うみが勝ったら「なんでもお前の言うことを聞く」こと”を条件に調律の対決をします。コウタが吹いたトランペットは音が低いことをうみに見破られ、コウタは対決に負けます。うみは「うちが吹奏楽部に入る」ことを希望しますが「うみに、ちんだみが狂ってるなんて言われたくない」と皆が反対し、うみは「コウタはうそつきさ」と去っていくのでした。
うみは昌栄に、母親が帰ってこないのはうみが「母ちゃんの歌きたない」と言ったからで、自分の耳のことを「宝物じゃない悪い耳」だとこぼします。
北川の音楽鑑賞教室の日、小学校の体育館には島の人々が集まっています。演奏が始まると、うみが「ピアノのちんだみがおかしいさ」と叫び、体育館を出されてしまいます。
昌栄も娘のさんごには思うところがあり、三線が昌栄のようにできると思ったができなかったこと、厳しく一人で珊瑚を育てたがうみの父親もだれかもわからないこと、そして珊瑚が帰らないのは自分のせいだと北川に言います。
そのさんごは那覇で踊りの教室に通っており、音感がないと先生に言われますが「踊りができないと島に戻れない」と教室に残ります。
うみは口ずさんだ歌のちんだみが狂っていると「母ちゃんと同じなのに」と自分の耳当てを叩きます。
島々清しゃ (しまじまかいしゃ)のネタバレあらすじ:転
コウタはうみとの約束を守れなかったことを北川に相談し、北川は「まずは楽器を練習させてあげれば」とアドバイスを送りますが、真栄田に「いずれ島を離れる人間が無責任なことをするな」と言われます。
うみは吹奏楽部の部員からフルートの頭の部分を渡されそこだけで音が出せるように、と言われます。うみは「みんなと綺麗な音をだせたら悪い耳じゃなくなるかもしれない。そうしたら母親が帰ってくるはず」と一人で音をだす練習を続けます。すると、うみの頑張りをみた吹奏楽部の子供達も一緒に練習するようになり、遂にうみは新入部員として吹奏楽部に迎え入れられるのでした。
北川は管楽器と打楽器のトレーナーとして、真栄田を紹介されます。今は島に戻って漁師をしていますが、真栄田は以前音楽をやっていました。そして真栄田の吹くサックスの音はうみも平気で聞ける程に綺麗なものでした。前田はトレーナーをする条件として北川に演奏対決を申し込み、一緒に演奏した結果、真栄田が子供達の指導を引き受けてくれるのでした。
吹奏楽部では「ちんだみが狂ってる」と言い出したうみにコウタが「もっと人の音を聞こう」とその場をおさめます。その言葉に従って、うみはもっと人の音を聞くために耳当てを少しずらしてみるのでした。
北川は子供達に曲を探して欲しいと言われ、ヴァイオリンにも合わせやすい「島々清しゃ」を選びます。真栄田は「音楽をやめたことは自分で決めたことだけど、島に帰った当初は胸をはることはできなかった。子供達をみていると自分はアーティストであり後悔はないと言える」と北川に語ります。そして昌栄の三線と子供達の吹奏楽で演奏会を開き、そこで「島々清しゃ」を披露することにします。
うみは昌栄と毎日のように一緒に練習をしていました。しかし、母親のさんごにも「見せたいものがあるから帰ってこい」と伝え、リハーサルも終え、あとは本番を待つばかりとなった頃、昌栄が眠るように息をひきとるのでした。
島々清しゃ (しまじまかいしゃ)の結末
昌栄の死によって演奏会は中止となりました。島に戻ってきたさんごは昌栄の墓の前で「うちもよ、おとうに見せたいものがあったさ」と目出度い時に踊る踊りを披露します。場にそぐわないと皆に止められますが「これしかできない。娘も孫もおかしいし、やっとゆっくり休める」と珊瑚は踊り続けるのでした。
うみは葬式には行かず「練習は一日も休むなと言われた。波の音はおじぃの音で、おじぃの音に合わせないと母親にきかせられない」と海で練習をしていました。
夜になり、眠ったうみにさんごは「那覇には連れていけない。この子は街の音でおかしくなる。ずっとちんだみ狂いっぱなしさ」と語りかけます。うみはそれを聞いており、珊瑚が去った後に一人で涙するのでした。抜け殻のようになったさんごと通じ合えないまま、うみは学校に通います。そしてコウタから北川が黙って帰ろうとしていることを聞きます。吹奏楽部の生徒達は授業を抜けだし、船に乗ろうとする北川の元に集まります。「演奏会もなくなって、みんなになんて言っていいのか分からずに帰ろうとした」と北川はいい、最後に皆で演奏しようと港で演奏することにします。
さんごは港近くの売店におりその様子を目にしていました。「おじぃが見せたかったものがはじまる」と売店の人が言い、さんごは後ろから見守ることにします。演奏前のうみがさんごを見つけ、「ちょっとあずかってくれんか。母ちゃんこれつけて寝ればいいさ。静かだからよく眠れる。うちはもう大丈夫だからよ。」と耳当てを外してさんごに渡します。
「大丈夫なのか」と仲間達に言われたうみは「うちの笛はちんだみ狂ってるから、耳塞いでたらいつまでも合わんさ」と返します。
そして演奏がはじまります。子供達の吹奏楽、北川のヴァイオリン、太鼓、三線、歌、が港に響き、珊瑚も涙を流しながら口ずさみます。演奏が終わると、うみは振り返ってさんごに笑いかけ、そして手を繋いで母娘で家路につくのでした。
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