屋根裏のラジャーの紹介:2023年日本映画。スタジオポノックが『メアリと魔女の花』(2017年)以来6年ぶりに贈るの長編アニメーション映画です。イギリスの詩人で作家のA・F・ハロルド著『ぼくが消えないうちに』を原作に、少女の想像によって生まれた“イマジナリフレンド”である主人公の少年が、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を繰り広げる様を描いたファンタジーアドベンチャーです。
監督:百瀬義行 声優:寺田心(ラジャー)、鈴木梨央(アマンダ)、安藤サクラ(リジー)、仲里依紗(エミリ)、杉咲花(オーロラ)、山田孝之(ジンザン)、高畑淳子(ダウンビートおばあちゃん)、寺尾聰(冷蔵庫)、イッセー尾形(ミスター・バンティング)、かぬか光明(小雪ちゃん)、一龍斎貞友(骨っこガリガリ)、大谷育江(ドロン)、平澤宏々路(ジュリア)、川原瑛都(ジョン)ほか
映画「屋根裏のラジャー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「屋根裏のラジャー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「屋根裏のラジャー」解説
この解説記事には映画「屋根裏のラジャー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
屋根裏のラジャーのネタバレあらすじ:起
少年ラジャーは少女アマンダが想像した世界で生まれた“想像上の友達(イマジナリフレンド)”です。生まれてから3ヶ月と3週間と3日になるというラジャーはアマンダ以外の人間には姿が見えず、アマンダはラジャーと想像の世界で一緒に遊んでいました。アマンダとラジャーは「どんな事があっても消えないこと」「守ること」「絶対に泣かないこと」を誓いあっていました。
アマンダは父を亡くしており、シャッフルアップ書店を営む母・リジーはこの日限りで書店を畳んで再就職活動をすることにしていました。リジーはこれから面接に向かうため、店員のゴールディにアマンダの面倒を見るよう頼みました。
アマンダは屋根裏部屋に行き、雨で濡れた傘をクローゼットの中に入れ、ラジカセを鳴らすといつものようにラジャーと想像の世界に入り込みました。アマンダとラジャーはソリ(箱)に乗り、牛(牛のぬいぐるみ)にソリを引いてもらって雪原での冒険を楽しみました。アマンダとラジャーの冒険はリジーがラジカセを止めたことで終わりを告げました。
リジーの店に派手な格好をしたミスター・バンティングと名乗る謎の男が黒髪で黒服の少女を連れてやってきました。バンディングは今日の世界や子供たちについて調べていると称し、少女はこの家にアマンダとラジャーがいることをバンティングに伝えました。バンティングは少女と共にその場を去りましたが、リジーには少女の姿は見えませんでした。
リジーは田舎で暮らすアマンダの祖母ダウンビートおばあちゃんに電話し、アマンダが“見えない友達”と遊んでいることを伝えました。ダウンビートおばあちゃんはリジーも幼い頃にイマジナリフレンドの“冷蔵庫”という犬と遊んでいたことを思い出しました。
その夜。リジーが面接に行っている間、アマンダはゴールディと留守番をしていたところに先ほど店に現れた黒髪の少女が現れ、ラジャーを連れ去ろうとしました。アマンダが悲鳴を上げると少女は姿を消し、ラジャーも無事でした。
アマンダは帰宅してきたリジーに少女の話をしましたが、信じてもらえませんでした。ゴールディは帰路につき、アマンダは亡き父だったら信じてくれたのにと嘆きました。ラジャーはアマンダを慰め、屋根の上にいると、隣の屋根に自分と同じイマジナリであるおもちゃのロボット・ドロンがいるのを見つけました。イマジナリは想像主が想像することをやめた時に消滅してしまうものであり、ドロンは自分は持ち主に忘れられたことを嘆きながら消滅していきました。
屋根裏のラジャーのネタバレあらすじ:承
リジーはアマンダを連れてスーパーに買い物に出かけ、ラジャーも同行しました。翌日はダウンビートおばあちゃんの家に行くことになっていました。リジーが駐車券を貰う列に並んでいる間、駐車場にいたアマンダとラジャーの前にバンティングと黒髪の少女が現れ、ラジャーを捕らえて捕食しようとしました。アマンダはラジャーを連れて逃げ出しましたが、アマンダは飛び出した道路で車に撥ねられて意識不明の重体となってしまいました。
アマンダは救急車で搬送され、ラジャーの体はドロンが消滅した時のように体が透けてきました。そこに右眼が赤、左眼が青のオッドアイの怪しげな猫・シンザンが現れ、ラジャーが何者か知っているとしたうえで、このまま消えるか自分についてくるか選択を求めました。ラジャーはシンザンについていくことにし、シンザンはラジャーにアマンダのことは忘れて新たな人生を歩むよう告げると人間とたくさんのイマジナリがいる図書館へと連れていきました。
ラジャーの姿は人間には気づかれませんでしたが、ピンクのカバのイマジナリ・小雪ちゃんや人間の少女姿のイマジナリ・エミリ、骸骨姿のイマジナリ・骨っこガリガリと知り合いました。エミリはここにいるイマジナリはみな消える前にシンザンが連れてきた者たちであり、この図書館は沢山の想像があるのでイマジナリは消えないとラジャーに教えました。
やがて図書館から人間たちが帰り、図書館は町の広場へと変貌しました。イマジナリのリーダー格であるエミリはラジャーにも“仕事”をしてもらうと告げましたが、ラジャーはアマンダを探しに行くと伝えました。その際、ラジャーがアマンダを探しに行くこと、バンティングのせいでアマンダが事故に遭ったことを伝えると、エミリはバンティングが大人になってもイマジナリと一緒にいたいので他のイマジナリを食べて生きていることを教えました。ラジャーは図書館から出ようとしましたが、エミリはイマジナリは図書館から出ると消えると忠告しました。
屋根裏のラジャーのネタバレあらすじ:転
イマジナリたちがエミリから与えられる仕事とは、エミリが提示した子供たちの写真からイマジマリたちがそれぞれ子供を選び、1日だけその子供の友達となることでした。子供の写真はこの図書館に戻るためには絶対に必要なものでした。
ラジャーはアマンダと同じ学校に通う少年ジョンならばアマンダの手がかりを知っているのではないかと考え、ジョンの元に向かいました。ラジャーはジョンと遊んでいたところ、そこに骨っこガリガリも加わり、骨っこガリガリを気に入ったジョンは彼を新たな友達として迎え入れることにしました。
ところが、バンティングの魔の手は骨っこガリガリにまでも及ぼうとしていました。
エミリはイマジナリがバンティングに食べられると、その友達の人間は心に穴が開いて死んでしまうと告げました。エミリが小雪ちゃんと共に引き上げた後、ラジャーの存在に気づいたバンティングが襲い掛かってきました。ラジャーは間一髪で駆け付けたエミリと小雪ちゃんに助けられました。
ラジャーはシャッフルアップ書店に辿り着きました。そこではリジーとダウンビートおばあちゃんがアマンダが事故に遭ったことを悔やんでいました。リジーはアマンダの部屋で「ラジャーは開けてはいけません」と書かれた箱を見つけ、開けてみると中にはアマンダと生前の父の写真が入っていました。クローゼットの中に入っていた父の形見の傘にはアマンダの字で「パパを忘れないこと。ママを守ること。絶対に泣かないこと」と書かれていました。リジーは思わず涙ぐみました。
ラジャーのもとにバンティングと黒髪の少女が現れ、食べようと襲い掛かってきました。ラジャーはエミリに連れられて逃げ、シンザンと合流しましたが、ここはバンティングが創り出した世界でした。ラジャーはシンザンの強力を得てバンティングの世界から脱出することに成功しましたが、エミリはバンティングの攻撃を受けて消滅してしまいました。
図書館でエミリの死を悼むラジャーの前に年老いた犬が現れました。この老犬こそがかつてリジーのイマジナリフレンドだった“冷蔵庫”であり、ラジャーは思い切ってアマンダが入院している病院に行く決心をしました。
屋根裏のラジャーの結末
ラジャーはアマンダの同級生のジュリアが病院に関する手がかりを持っていると考え、シンザンと共にジュリアのもとへ向かいました。ジュリアは自身のイマジナリである少女オーロラのバレエの練習をしていました。ラジャーはジュリアにアマンダの病院に行きたいと言い出しましたが、ジュリアは理解できず、両親に呼び出されて外に出ていきました。
ラジャーはジュリアの車を追い、たまたま通りがかった救急車の後を追って病院に辿り着きました。時を同じくしてバンティングも病院に着いており、ラジャーは先回りしてアマンダの病室に入り、自分のせいでこうなってしまったことを改めて謝罪しました。
その時、バンティングと黒髪の少女がアマンダの病室に入ってきました。バンティングはラジャーを食べようとしましたが、目を覚ましたアマンダがラジャーの存在に気づきました。病室の中には水があふれ、アマンダとラジャーはベッドを潜水艦やボートに変えて逃げ出しましたが、バンティングもしつこく追いかけてきました。
アマンダとラジャーは巨大化した黒髪の少女に捕まってしまいました。その時、病室に戻ってきたリジーはベッドの上で苦しむアマンダを見つけました。ラジャーはアマンダに、リジーに“冷蔵庫”のことを話してくれれば信じてくれると教え、アマンダはリジーに“冷蔵庫”を呼ぶよう頼みました。リジーはアマンダが巨大な毒ヘビに巻きつかれており、ラジャーがバンティングに飲み込まれそうになっているところを目の当たりにしました。
その頃、図書館では“冷蔵庫”がリジーの写真を見つけ、病室に駆け付けて毒ヘビを攻撃しました。ラジャーは「僕はアマンダと生きていくんだ」と言い、代わりに黒髪の少女がバンティングに飲み込まれました。バンティングはそのまま消滅しました。
アマンダは現実世界でも意識を取り戻しました。アマンダとリジーはラジャーと“冷蔵庫”に感謝し、ラジャーは図書館のみんなのおかげだと感謝しました。ラジャーは「君は大人になっていく。僕はいつでも君の中にいる」とアマンダに伝え、アマンダはラジャーとの最後の冒険に出かけていきました。
以上、映画「屋根裏のラジャー」のあらすじと結末でした。
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