映画「BAD LANDS バッド・ランズ」解説
この解説記事には映画「BAD LANDS バッド・ランズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
BAD LANDS バッド・ランズのネタバレあらすじ：起
「持たざる者」が「持つ者」から生きるための糧を奪う街、大阪・西成。“ネリ”こと橋岡煉梨はこの街で生きるために特殊詐欺を生業としていました。ネリは所属する詐欺グループの拠点であるバー「BAD LANDS」で表の顔は貧困ビジネスを担うNPO法人「大阪ふれあい事業推進協議会」の理事長、裏の顔はグループの番頭にしてターゲットのリスト作りを担う「名簿屋」の高城政司と会っていました。
詐欺グループは名簿屋である高城のほか、ターゲットに電話をかける「掛け子」、金を受け取る「受け子」、ATMから金を引き出す「出し子」、詐欺用の道具を揃える「道具屋」、そしてケツモチを務めるヤクザなどから構成されていました。ネリは左耳が聞こえないというハンデを抱えつつ頭の回転の速さと豊富な知識を活かしており、高城も一応は一目を置いていましたが、高城にとってネリはあくまでも受け子を仕切る“三塁コーチ”でしかありませんでした。
ネリは高城の指示を受け、受け子の“教授”こと宇佐美と共に銀行から大金を引き出したターゲットの老女との接触を試みましたが、待ち合わせ場所には一般人に扮した警官たちが待ち構えており、ネリは高城に作戦中止の連絡を入れて撤退しました。
ネリや教授は高城が所有する安アパート「ふれあい荘」を寝床としていました。ネリは教授に少しばかりの報酬を渡しました。ネリはかつて高城の用心棒を務めていた元ヤクザの老人“曼荼羅”こと上松の面倒を見ていました。アルコール中毒による幻覚症状に苦しめられている曼荼羅は自分の寿命はもう長くないことを悟っていました。
BAD LANDS バッド・ランズのネタバレあらすじ：承
ネリはある日、刑務所から出所してきた血の繋がりのない義理の弟、“ジョー”こと矢代穣と再会しました。出所してからも相変わらず問題行動ばかり起こしているジョーをネリは高城に紹介し、オレオレ詐欺のターゲットを絞るための下見にジョーを同行させました。
詐欺グループの主なターゲットは富裕層の高齢者。ネリとジョーはある時は証券会社社員、またある時は老人ホーム職員を装いながら富裕層の各家庭を調べて回りました。しかし、ジョーは老老介護に悩む老人すらも食い物にしようとする高城のやり方が気に入りませんでした。ジョーはいっそのこと高城から金を奪おうとネリに持ちかけましたが、ネリは話には乗りませんでした。
ジョーはネリを誘い、東京で知り合った半グレの残間均とその兄・徹と合流すると、林田という裏社会の女が経営する違法賭博場へと向かいました。しかし、ネリは曼荼羅がふれあい荘で騒ぎを起こしたとの知らせを受けて帰り、ジョーは賭博で負けて250万円ものの借金を背負わされてしまいました。
実はジョーと残間兄弟が林田のもとを訪れたのは、ネリに内緒で殺しの仕事を請け負うためでした。ジョーと残間兄弟は100万円の報酬と引き換えに何人もの殺人犯の死刑を回避させてきたという判事の暗殺を依頼され、賭け麻雀をしている標的の居場所へと潜入しましたが、そこにはアロハシャツを着たヤクザや数人の半グレがいました。暗殺は失敗に終わり、轍は銃撃戦の末に命を落としてしまいました。
何とか逃げ延びたジョーは均を誘い、大金を貯め込んでいるであろう高城の事務所を襲撃する計画を立てました。折しも事務所にはネリがいましたが、ジョーと均はネリが席を外している間に事務所を襲撃しましたが、ネリはその場に戻ってきてしまい、均は高城に刺され、ジョーも高城に取り押さえられました。
ネリはジョーを助けるために高城をナイフで刺し殺しました。ジョーは助けを求める均を射殺しました。ネリはジョーに、今まで打ち明けていなかった衝撃の事実を明かしました。実は高城はネリの実の父親だったのです。
BAD LANDS バッド・ランズのネタバレあらすじ：転
特殊詐欺グループを追う大阪府警捜査一課特殊詐欺合同特別捜査班の日野班長と佐竹正敏刑事は高城とグループの関わりに気づき始めていましたが、高城はNPO法人理事長として警察上層部とも深い繋がりがあるため迂闊に捜査できませんでした。そこで佐竹は地道に掛け子グループの検挙を進めつつ、高城が死んだとも知らずに真相に迫ろうとしていました。
しかし、警察内部には内通者がおり、捜査情報は巨万の富を持つ東京の投資家・胡屋賢人の知るところとなっていました。胡屋は警察情報から、かつての愛人だったネリの存在に気づくこととなりました―――。
―――3年前、東京にいたネリは胡屋に愛人として囲われていました。胡屋はサディスティックな性格で、ネリに執拗なDVを加え、彼女の左耳の聴力を奪ったのです。ネリは胡屋のもとから逃げ出すと実父・高城のもとに身を寄せましたが、胡屋は全国の手下たちに命じてネリの行方を追い続けていたのです―――。
―――ネリとジョーは高城の死体を山に埋めました。かつてジョーの実父を埋めた時のように―――。
―――ネリの母は高城と別れた後、ネリが15歳の時にジョーの父と再婚しました。しかし、ジョーの父はネリをレイプし、ジョーはネリを助けるため自らの父を手にかけたのです。その後、母は自殺し、ジョーは父殺しの罪で服役していたのです―――。
ネリとジョーは高城が有していた3億円もの資産を全て奪い取る計画を実行に移しました。手始めにネリとジョーは高城のベンツを550万円で売り、続けて事務所から預金通帳や印鑑、大量の証券、建物の権利書を見つけましたが、口座の暗証番号だけは見つかりませんでした。そこでネリはかつて高城の帳簿管理をしていた曼荼羅に助けを求め、高城を殺したことまで白状しました。曼荼羅はネリのために一肌脱ぐことにし、暗証番号はネリの誕生日であることを教えました。
高城の事務所に戻ったネリを待ち構えていたのは、高城からの定期連絡が途切れたことを不審に思ったヤクザの徳山と道具屋の新井ママでした。ネリは高城が警察から逃れるため高飛びしたと嘘をつきましたが見破られてしまい、新井ママは徳山に高城の資産を奪うよう命じて立ち去りました。ネリは徳山に捕まりそうになりましたが、そこにジョーと曼荼羅が駆け付けてネリを助け、徳山は捕らえられて拷問を受けました。
ジョーはネリの人生を散々踏みにじった胡屋に脅しの電話を入れ、高城の車を売った金で林田に借金全額を返済しました。しかし、林田は高城が消息を絶ったのはネリとジョーが関係しているのではないかと疑いの目を向けるようになりました。
BAD LANDS バッド・ランズの結末
警察の捜査の手が迫るなか、ネリとジョー、曼荼羅は高城の口座から金を全て引き落として海外へ高飛びする計画を立てました。そして計画当日、ジョーはいずこへと姿を消していました。ネリと曼荼羅はやむを得ず二人で計画を実行、全額ではなかったものの何とか2億円を引き出すことに成功しました。程なくして新井ママは逮捕されました。
行方をくらましたジョーの姿は東京にありました。ジョーは胡屋を消す決意を固めており、暗号資産投資法のセミナーの準備をしていた胡屋を射殺することに成功しました。しかし、ジョーは逃亡中に警官たちに囲まれ、あえなく撃ち殺されてしまいました。ジョーの計画を知っていた曼荼羅はネリに別れを告げて逃がしました。その夜、ネリはラジオのニュースでジョーが死んだことを知りました。そして曼荼羅もとうとう寿命が尽きていました。
ネリが海外への逃亡の準備を進めていると、そこに林田が現れました。ネリはまだ残高が8000万円近く残っている高城の口座を林田に渡す代わりに、2億円を逃亡先の海外に送金してくれるよう交渉しました。林田は手数料5％で暗号通貨化して送ることで同意しました。
警察の捜査の手はいよいよネリのすぐ近くまで迫っていました。ネリはなぜか月曜日だけに現れてこの街を走り回る謎の巫女になりすまして西成を脱出、空港へと急ぎました。
以上、映画「BAD LANDS バッド・ランズ」のあらすじと結末でした。
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