映画「仁義なき戦い 代理戦争」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
仁義なき戦い 代理戦争の紹介：1973年日本映画。広島で実際に起きた、地元暴力団組織の内紛に、神戸の2大巨大暴力団組織が背後から支援した代理戦争を描いた実録ものです。巨大組織の後ろ盾に、裏切りと寝返りを繰り返す様を赤裸々に再現しています。『仁義なき戦い』シリーズ3作目です。
監督：深作欣二 出演者：菅原文太（広能昌三）、渡瀬恒彦（倉元猛）、金子信雄（山守義雄）、田中邦衛（槙原政吉）、内田朝雄（長老大久保）、小林旭（武田明）、成田三樹夫（松永弘）、山城新伍（江田省一）、加藤武（打本昇）、室田日出男（早川英男）、丹波哲郎（明石辰男）、遠藤辰雄（相原重雄）、山本麟一（宮地輝男）、梅宮辰夫（岩井信一）ほか
この解説記事には映画「仁義なき戦い 代理戦争」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
昭和35年、広能と打本、杉原が歩いている時、杉原が射殺されました。杉原は広島最大の暴力団村岡組の幹部で、村岡組組長入院中の中、早速幹部会が開かれました。兄弟分である打本に敵討ちを若頭の松永や幹部の武田を迫りますが、打本は決断せず尻込みしたため幹部連中は、村岡の跡目に打本はダメだと言いました。更に杉原の葬儀に杉原を殺った対立組織が参列しても何も出来ない打本に兄弟分の広能までもがあきれて見捨てました。そんな広能は長老の大久保に呼び出されました。広能は仮釈放中で身元引受人が必要という事で、山守に頼んでいると大久保が言いました。長老の話を素直に聞いた広能は山守組に復帰しました。仮釈放された広能に会いに、神戸の明石組幹部の岩井がやってきました。広能と岩井が仲がいい事を知り、打本は再び広能になびき始めました。そのころ広能組が仕切っていたプロレスラーを刺した若者の倉元が恩師と母親に連れられてきました。恩師も母親も倉元の面倒を見てくれと頼み、広能は組に住まわせました。
打本のたっての願いで、広能は打本を連れ神戸の明石組を訪問しました。そこで打本の親戚付き合いのお願いをしました。早速、杯事が決まり、打本は幹部の相原と兄弟分になりました。村岡組長が引退を決めました。松永と武田が相談し、組長を山守にすることで、村岡組と山守組を統一することになりました。襲名披露の後の二次会で山守が打本をバカ扱いし、明石組幹部の前で大恥をかかせました。打本は山守組系に襲撃をしました。このことで山守は打本と戦争だと言うが、自分の組員の事は自分でやれと言って広能と松永は手を引き、牧原にやらせろと言いました。山守は打本組の早川を取りこもうとしますが失敗しました。この騒動に広能、松永、武田、江田は打本に兄弟分の杯を返しました。このままでは殺されると思った打本は神戸の明石組に逃げ込みました。その後打本の指を持って早川が詫びにきて、山守で自分を面倒見てくれといいました。しかし広能は筋が通らんと言って追い返しました。広能は明石組の相原から牧原や江田も明石と親戚になりたがっていると聞き、誰も信用できないと思い始めました。
山守は入院中の武田に若頭を要請し、3代目の跡目も約束しました。武田はこの要請を受け、若頭になり、幹部会で発表しました。そして武田は、神戸の明石組と対抗する神和会との親戚付き合いをすると発表しました。広能は明石組から打本との杯を元に戻してくれと言われていると報告しました。そして反対する武田と松永に、それなら明石組に出向いてくれと頼みました。広能が目障りな牧原は子分に広能を襲わせました。失敗に終わるものの、今度は倉元が牧原を襲撃しますが失敗しました。そのころ打本は明石組長の舎弟になり、晴れて明石組直系となりました。一方山守は神和会と五分の兄弟になりました。広能、武田、江田、松永が明石組の相原、宮地、岩井に会いました。盃を戻すことは出来ないと武田は言いましたが、広能、江田、松永が裏切り、更に長老の大久保まで席について頼むと言われ、打本との杯は戻りました。広島に帰り怒った武田は広能の破門状を各方面に回しました。
今度は広能の案で、打本から武田、江田、松永への絶縁状を送られました。武田は早川に電話をし、山守へ入りたかったら、大きな土産を持って来いと言われ、早川組総出で打本組を襲撃しました。これにより、山守組と打本会の全面戦争へと進み、裏で巨大組織の明石組、神和会が支援するという代理戦争となりました。広能は山守を潰すため、準備していると、牧原が映画館にいるいう情報が入りました。一度失敗した倉元が銃を持って向かいました。この姿を見た西條は、牧原に連絡しました。西條は広能の子分でありながら牧原に金をもらい情報を流してしました。映画館に着いた牧原は迎え撃ちに遭い射殺されました。倉元の葬儀が行われました。しかしここにも牧原らの集団が襲ってきました。倉元の骨箱を壊され、遺骨が散乱しました。広能はまだ冷えていない遺骨を握りしめ、悔しさをにじませました。
各組織の相関関係や人間関係が次から次へと変化していき、何回か見ないとなかなか分らない。それでもこのシリーズの中では一番の出来の作品と思う。
シンゴジラを思わせるディスカッション劇。シリーズ中、異色な程あの売り物のリアルなバイオレンス場面が希薄。もはやポリティカルフィクションの趣。神戸の大組織の影に誰もが怯え戦々恐々としてばかりいる。ヤクザ映画というより業界映画というか。新人組員に見せる為の社員教育ビデオ。笠原脚本が冴え渡り深作演出に目眩する究極の一本。