ちいさな独裁者の紹介:2017年ドイツ,フランス,ポーランド映画。1945年4月のドイツ。敗色濃厚の戦線では戦いに疲弊した兵士たちの相次ぐ脱走により強奪などの軍規違反が頻発していた。脱走兵のヘロルトは極寒の無人地帯で、偶然ひと揃いの軍服を手に入れる。一兵卒だった彼は瞬く間にヒトラーを想像させるほどの支配者へとのし上がっていく。実在する人物、ヴィリー・ヘロルドの寓話のような真実の物語。ヘロルドを通じて、権力の魔力的パワーとそれにしがみつく人間の醜さや愚かさを生々しく描く。
監督:ロベルト・シュヴェンケ 出演:マックス・フーバッヒャー(ヘロルト)、ミラン・ペシェル(フライターク)、フレデリック・ラウ(キピンスキー)、ベルント・ヘルシャー(シュッテ)、ワルデマー・コプス(ハンゼン)、アレクサンダー・フェーリング(ユンカー)、ブリッタ・ハンメルシュタイン(ゲルダ・シュッテ)ほか
映画「ちいさな独裁者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ちいさな独裁者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ちいさな独裁者の予告編 動画
映画「ちいさな独裁者」解説
この解説記事には映画「ちいさな独裁者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ちいさな独裁者のネタバレあらすじ:起
1945年4月、終戦の数週間前のこと。連合軍とソ連軍の攻勢により、敗戦ムードが漂うドイツでは脱走兵が後を絶たず略奪などの軍規違反が相次いでいました。ヴィリー・ヘロルトも部隊を
脱走した一兵卒。命からがら逃げ、飢えと寒さに苦しみながら無人地帯をさまよっていると、ぬかるみにはまった1台の軍用車両と車内に置かれたままのナチス将校の軍服を発見します。寒さをしのぐために身にまとうと、遠くから1人の上等兵がやってきました。兵士はフライタークと名乗ると立派な軍服姿のヘロルトに敬礼し、お供させてほしいと名乗り出ます。大尉に成り済ましたヘロルトは、真面目そうなフライタークを運転手として従えることにします。まず空腹を満たすために2人が向かったのは町の食堂でした。ヘロルトは「軍隊の後方で起こっている横暴を調べている」と架空の任務をでっち上げ食べ物を用意させると、店主をはじめとする店の客全員に強奪されたものを保証すると嘘吹き調書を取りはじめました。
ちいさな独裁者のネタバレあらすじ:承
続いて立ち寄ったとある農家。すでに粗暴な兵士キピンスキーとゴロツキ兵士仲間が占領しており、好き勝手にどんちゃん騒ぎを行なっていました。ヘロルトは彼らの軍隊手帳に"特殊部隊H"と新しい配属先を記し、親衛隊を結成させると、なおも部下を増やし移動を続けるのでした。途中、脱走兵を取り締まる憲兵隊に遭遇します。この先には強化された検問がいくつもあることを知ったヘロルトは、ヒトラー総統直々の任務を遂行しているとまたもや嘘をつき、かつて脱走し追われていたユンカー大尉に対しても、本物の大尉さながらの堂々たる態度で切り抜けました。
ちいさな独裁者のネタバレあらすじ:転
ヘロルト親衛隊が次にたどり着いたのは粗末な収容所でした。ここには軍規違反をしたドイツ兵が収容されていました。警備隊長シュッテは囚人たちで溢れている状況に苛立ちを見せ、ヘロルトを味方につけると、ハンゼン所長の反対を押し切ってゲシュタポから全権委任を取り付ける手引きをしました。ヘロルトは法による正当性を無視し、囚人たち自らが堀った巨大な穴に押し込め、機関銃で大量殺害をするというとてつもなく残虐な方法で処刑を行っていきました。このやり方に不信をいだくフライタークまで加担させられます。たった1日で90人もの囚人を処刑したヘロルトは派手に打ち上げの宴会まで開きました。権力に酔いしれお酒をたしなむヘロルト。その横暴はどんどん過激になっていき、あちこちに死体が散乱するほど収容所は荒廃していきます。しかし連合国による襲撃に遭い収容所は跡形もなく吹っ飛ばされます。それでも強運の持ち主であるヘロルトは命を落とすことはありませんでした。
ちいさな独裁者の結末
ヘロルトは残った部下と共に小さな町へと移動をしました。ここでも殺戮を繰り返します。白旗を揚げた者までを殺害し、スパイ容疑を掛けられた者は公開処刑をし、通行料として金品を奪うなどやりたい放題でした。しかし、そんなヘロルトもついにドイツ野戦憲兵に捕まります。法廷では死刑を科したい検事とは反対に、彼の大尉に引けを取らない統率力を評価し前線に送るのはどうかと話す弁護士。表情すら変えずに耳を傾けるヘロルトでしたが、その日の夜、窓から逃げ出し脱走しました。向かった先はおびただしいほどの白骨死体が折り重なる森。しかしその後、運も尽きたのかヘロルトは連合軍に捕まりイギリスの地にて処刑されたのでした。
以上、ちいさな独裁者のあらすじと結末でした。
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