南風(なんぷう)の紹介:2014年日本,台湾映画。恋と仕事に行き詰った女性編集者が取材のため訪れた台湾でモデルになることを夢見る少女や日本人を父に持つ青年と出会い、心の交流を重ねていくサイクリングロードムービー。台湾の美しい景色をバックに若者達の国境を越えた友情を描いていきます。
監督:萩生田宏治 出演者:黒川芽以(風間藍子)、テレサ・チー(トントン)、郭智博(ゴウ)、コウ・ガ(ユウ)、ザック・ヤン、佐々木大介、ほか
映画「南風(なんぷう)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「南風(なんぷう)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
南風(なんぷう)の予告編 動画
映画「南風(なんぷう)」解説
この解説記事には映画「南風(なんぷう)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
南風(なんぷう)のネタバレあらすじ:起
サイクリングと旅をテーマにした記事を書くことになった雑誌編集者の風間藍子は取材のため台湾へとやってきました。担当していたファッション誌の編集の仕事を降ろされたり、付き合っていた彼氏に振られたりとこのところ災難続きだった藍子は、この旅で心機一転を図りたいと考えています。藍子はまず台北に住む知人でフリーライターの由貴にガイドを頼もうとしますが、妊娠中であることを理由に断られてしまいます。
藍子はとりあえず足となる自転車を借るためある自転車店を訪ねます。自転車店ではトントンという16歳の少女と隣人の少年が店番をしていました。藍子はトントンが元彼を奪い去った女にそっくりであることに驚き、嫌悪感をにじませます。一方、いつか日本でモデルになりたいと夢を持つトントンは藍子が日本人であると知り、俄然興味を持ち始めます。
藍子が日月潭という地に向かうことを知ったトントンは年齢を21歳と偽ってガイドを務めたいと言い出します。トントンが受けようと思っていたモデルオーディションがちょうど日月潭で開かれるからでした。そんな事情を全く知らない藍子は渋々彼女をガイドとして同伴させることを決断します。トントンは保護者である叔父に知らせずに藍子との二人旅に出発します。
南風(なんぷう)のネタバレあらすじ:承
最終目的地の日月潭は台湾中部にある美しい湖で、藍子はそこでイベントを開くサイクリストの植村豪に取材をする予定になっています。藍子とトントンは台北から日月潭に向かうため海岸沿いにサイクリングを始めていきますが、言葉の壁があるうえ、知り合ったばかりでコミュニケーションがなかなかうまく取れません。藍子はトントンが生意気だと言い、トントンは藍子をおばさん扱い、二人は衝突しながらもなんとか旅を続けていきます。
そんなある日藍子とトントンはある町で同じく自転車で旅をする大学生のユウと出会います。藍子の自転車が故障し、困っていたところをユウが助けてくれたことがきっかけとなり、三人は一緒に日月潭まで旅をすることになりました。ユウに恋をしたトントンは何かと彼にアピールしはじめますが、ユウは藍子のことが気になり始めます。漁港で食事をし、近くで一泊することになった三人でしたが、そこにトントンを追いかけてきた隣人の少年が現れます。隣人は叔父さんが心配しているから台北に帰ろうとトントンを連れ戻そうとしますが、トントンは拒絶します。
その夜、藍子とユウは一緒に飲みに出かけます。藍子はユウが日本語を分からないことをいいことに自分を捨てた元カレや仕事の愚痴をぶちまけます。ユウは黙って藍子の話に耳を傾け、二人の距離は次第に縮まっていきます。
南風(なんぷう)のネタバレあらすじ:転
三人は龍騰断橋という観光地にたどり着きます。ここは日本統治時代に作られた鉄道用アーチ橋で、数回の地震により断裂したままの形を残していることで有名な橋跡です。ユウがトントンにこの橋跡の歴史を語って聞かせようとすると、トントンは日本が好きだから知っていると返答します。
トントンが1999年に起きた台湾地震では日本が最初の救援国であったこと、2011年に起きた東日本大震災では日本に一番多く寄付したのが台湾であったことを誇らしげに語りはじめると、ユウは台湾と日本の関係は家族のようだと表現します。さらに相手を好きだからこそ嫌気が差す時もあると意味深なことを呟きますが、トントンにはユウの真意が分かりません。
そのまま旅を続ける三人を待ちうけていた男性が現れます。ユウに親しげに話しかけてきたこの男性が植村ゴウであると知って驚く藍子でしたが、ゴウはユウとは従兄同士であることを明かします。ユウは藍子がゴウにインタビューすると知って、事前にゴウと連絡を取り合っていたのでした。こうしてゴウも加わり、四人での旅が再開、そしてまもなく最終目的地の日月潭に到着します。
ゴウは自分が果たせなかったプロサイクリストの夢をユウに託したいと考えていますが、ユウは進路を決めかねています。藍子は日月潭の文武廟に刻まれたという風調雨順という言葉の意味をゴウに教えてもらいます。それは風の調べに乗って逆らわず、雨の時は休むというという台湾の格言でした。藍子は日本で振られた一方トントンはユウに付き合ってほしいと告白しますが、見事に振られてしまいます。
南風(なんぷう)の結末
トントンの家族が彼女を追って日月潭にやってきました。台北でもトントンの家出が騒動となっており、彼女に騙されていたことを知った藍子は自分を利用したのかとトントンを責め立てます。隣人の少年はトントンはまだ子供でわがままだが、悪気はなかったのだと藍子に謝ります。
藍子が少年は何と言っていたのかとユウに尋ねると、ユウは流暢な日本語で少年の言葉を通訳してみせ、藍子を驚かせます。ユウは日本語を話せるのを黙っていたことを謝り、自分の父親が実は日本人であることを告白するのでした。
ユウから自分の旅に戻ることを告げられた藍子は複雑な気持ちを抱えたまま夜を明かします。翌朝ユウに別れの挨拶をする藍子でしたが、いつかどこかで会えることを願うユウは「じゃ、またね」を意味する「再見」という言葉を残し、旅立っていきました。
一方トントンは家族とともに台北に戻る電車の中にいました。ふと窓の外を覗けば、トントンに別れを告げようと自転車で必死に電車を追いかける藍子の姿がありました。藍子はトントンに向かって夢を諦めないでと精一杯エールを送り続けるのでした。
それから一年後、有名モデルとなったトントンが愛媛県にやってきます。自転車競技の記者となった藍子から台湾と日本の交流イベント「しまなみサイクリング」を取材すると聞き、イベントを見に来たのです。一年ぶりの再会を喜ぶ藍子とトントン、出場者の中にはプロサイクリストとしての道を歩み出したユウの姿もありました。
スタートの合図が鳴り、ユウは沢山の出場者とともに颯爽としまなみ海道を走り出しました。藍子はトントンに一年前のことを謝りますが、トントンは藍子のおかげでモデルの夢を掴むことができたのだと感謝の気持ちを伝えます。二人は自転車に乗って、しまなみ海道を一緒に走りだします。
以上、映画「南風(なんぷう)」のあらすじと結末でした。
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