夢千代日記の紹介:1985年日本映画。吉永小百合主演で人気を博した連続テレビドラマを映画化した作品。山間の温泉地を舞台に白血病を患う原爆被爆者の芸者夢千代と指名手配中の男との悲恋がドラマチックに描かれていきます。浦山桐郎監督の遺作となった作品です。
監督:浦山桐郎 出演者:吉永小百合(夢千代(永井左千子)、名取裕子(兎)、樹木希林(菊奴)、田中好子(紅)、小川眞由美(春川桃之介)、北大路欣也(宗方勝)ほか
映画「夢千代日記」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夢千代日記」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夢千代日記の予告編 動画
映画「夢千代日記」解説
この解説記事には映画「夢千代日記」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夢千代日記のネタバレあらすじ:起
季節は冬。兵庫県の山間にある湯村温泉で置屋を営む女将夢千代は原爆被爆者であり、白血病を患っています。夢千代は神戸の病院で余命半年と宣告されますが、命尽きるまで芸者を続けたいと考えていました。病院から湯村へ帰る汽車の中で夢千代は女が手を拝みながら鉄橋を飛び降りていく瞬間を目撃してしまいます。後ろの席に座っていた旅芸人の宗方もその様子を見ていましたが、夢千代に話しかけられると厄介事には首を突っ込みたくないとでもいうように姿を消してしまいます。
鉄橋の下から女の死体が発見されると、女が不倫相手の子供を身籠っていたことから相手の男に殺人の嫌疑がかけられます。夢千代は男の嫌疑を晴らしたい一心で温泉劇場で公演をしている宗方に会いにいきます。しかし宗方は女が落ちていくところを目撃などしていないと嘘を言い、夢千代を避けるそぶりを見せるのでした。
夢千代日記のネタバレあらすじ:承
置屋には年増の芸者菊奴を筆頭に美人芸者の兎、若い芸者の紅や小夢などが一緒に暮らしています。湯村温泉を訪れていた著名な画家山科東窓は小夢を見染め、彼女を絵のモデルにしたいと申し出ます。さらに兎は懇意にしている客木浦の子供を身籠っていますが、生まれる子供は木浦夫妻に引き渡すことが決まっているとあっけらかんと夢千代に告白します。
その後、事件を追う刑事藤森から不倫相手の男が自白したという知らせが入りますが、夢千代は女性は自殺したのではないかという疑念を払拭することができません。そして再び宗方のもとを訪ねていきますが、体調が悪化し、倒れ込んでしまいます。宗方は夢千代をおぶって置屋まで送り届けてあげるのでした。
夢千代日記のネタバレあらすじ:転
春がやってきても夢千代の体調はすぐれず、なかなか起き上がれない日々が続いていました。宗方のことが気にかかっていた夢千代は家を訪ね、事件について詮索しすぎたことを謝ります。宗方は夢千代の優しさに触れ、次第に彼女に心を許し始めます。一方不倫相手が一転して自白を撤回したことから、藤森はもう一人の目撃者である宗方に会いに行きます。宗方は女が手を合わせて落ちて行ったと証言します。
その後逃げるように荷物をまとめて劇場を飛び出すと、夢千代に別れを告げにやってきます。そして宗方は警察に追われる身であることから事件に関わりたくなかったことを打ち明けた上で、無実の罪を着せされた男を助けてあげて欲しいと頼みます。翌朝芸者紅は沖ノ島行きのフェリーに乗り込む宗方を目撃します。夢千代は藤森から宗方が15年前に父親を殺害した罪で指名手配されていることを知らされます。藤森は宗方が夢千代に好意を寄せていることから、必ずなんらかの手段を使って連絡をしてくるはずだと踏んでいました。紅からフェリー乗り場で宗方を見かけたと聞いた夢千代は病を押して一人沖ノ島へと向かいます。
夢千代日記の結末
沖ノ島に到着した夢千代は宗方を見つけ出し、二人は再会します。宗方は高熱で立ち上がれない夢千代をしっかりと抱き寄せました。そして沖ノ島が父の生まれた島であること、島を出た父が長野で牧場を営んでいたことを語り始めます。若い時分トランペットに夢中だった宗方は都会に出ることを夢見ていましたが、息子に牧場を継がせたい父から反対され、二人の間には喧嘩が絶えませんでした。
そんなある日トランペットを取り上げられたことから父を突き飛ばしてしまい、それが原因で父は死亡してしまったのでした。父親殺しの嫌疑をかけられた宗方は自首せずに時効まで逃げきる道を選択しました。そして事件の時効成立まであとひと月半というところまで来たのでした。夢千代が真実を話してくれてありがとうと囁くと、宗方は長い間人目を避けて生きてきた苦悩を吐露します。互いへの愛を再確認した二人はその夜結ばれますが、夢千代の病状は悪化の一途を辿っていきます。藤森は逮捕を覚悟の上で瀕死の夢千代を湯村へ連れて帰ります。病床の夢千代は癒えることのない原爆への恐怖に怯えながらも、最後は菊奴達に見守られながら静かに息を引き取りました。逮捕された宗方は夢千代への思いを胸に湯村を後にするのでした。
以上、映画「夢千代日記」のあらすじと結末でした。
宗方が長い間人目を避けて生きてきた苦悩を吐露する場面が、何とも言えず、辛いですよね。すごく良いシーンでした。