ビューティフル・ボーイの紹介:2018年アメリカ映画。優等生でスポーツ万能、そんな才能豊かなニック。常に家族からの愛情に包まれた"いい息子・いい兄"だったが、つい手を出してしまったドラッグにより次第に堕ちていくこととなる。罪悪感と恐怖感に襲われるニックを、大きな愛と献身的なサポートで包む父デヴィッド。痛ましくも美しい父の愛と絶望の中に見えてくる確かな希望のひかりを描く。タイトルはジョン・レノンとオノ・ヨーコの最後のアルバムの収録曲『ビューティフル・ボーイ』から。なお、ジョン・レノンの生前最期のロングインタビューを行ったのは、当時音楽ライターだったデヴィッドだった。
監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン 出演:スティーヴ・カレル(デヴィッド・シェフ)、ティモシー・シャラメ(ニック・シェフ)、モーラ・ティアニー(カレン・バーバー)、エイミー・ライアン(ヴィッキー・シェフ)、ケイトリン・デヴァー(ローレン)ほか
映画「ビューティフル・ボーイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ビューティフル・ボーイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ビューティフルボーイの予告編 動画
映画「ビューティフル・ボーイ」解説
この解説記事には映画「ビューティフル・ボーイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ビューティフルボーイのネタバレあらすじ:起
フリーの音楽ライターであるデヴィッド・シェフ(スティーヴ・カレル)はひどく疲れた様子でカウンセラーのもとを訪れていました。「息子はあらゆるドラッグをやり、クリスタル・メス依存になった。助ける方法はあるのか」、と。
それより1年前。デヴィッドは2日間帰ってこない息子ニック(ティモシー・シャラメ)の部屋に入り、呆然としていました。翌朝、マリン総合病院にニックが事故で運ばれていないか電話をするも見つかりません。LAで暮らす前妻ヴィッキー(エイミー・ライアン)にも電話をしますが、いないだけでなく責められ口論となってしまいます。今は画家のカレンと再婚し彼女との間にジャスパー、デイジーという子宝にも恵まれたデヴィッドでしたが、常にニックが心配の種となっていました。そんな中ようやくニックが家に戻ってきましたが、ドラッグにより感情を抑えられない状況。この事態を深刻に捉えたデヴィッドは更生施設に4週間入れることにしました。
数日後、デヴィッドのもとへ施設から連絡が入ります。ニックが自由時間に外へ出かけたまま戻ってきていないとのこと。「再発は回復への過程」と無責任に言う施設側に激怒し、車を走らせニックを探すデヴィッド。大雨の中、ボロボロな姿でニックを発見しました。
家に戻ると、家族に嘘をつきドラッグに手を出した息子ニックに対し、デヴィッドは静かに語りかけます。「お前の素晴らしさをもう一度見つけなくてはいけない」と。
ビューティフルボーイのネタバレあらすじ:承
デヴィッドの記憶の中で、以前のニックの姿が蘇ります。6つの大学に受かり、成績も優秀。水球選手でスポーツ万能。一緒にサーフィンをしたり、ニルヴァーナの曲を楽しんだり。遊び半分で大麻をしたこともありましたが、どれも美しい思い出ばかりでした。
ある日、デヴィッドはカフェでニックを待っていました。そこはニックが幼い頃からよく訪れていたカフェで、デヴィッドは幼き息子を懐かしく思っていると、ハイな状態になったニックが入ってきました。デヴィッドは久しぶりの再会でじっくり話したいと思っていましたが、会話は噛み合わず心を通じあわせることができませんでした。それどころか「5日間ドラッグをやめ、シラフな状態」と言うニックからお金を無心される始末。思わず「お前は誰なんだ?」と言うデヴィッドに腹を立てたニックは去って行きました。
ビューティフルボーイのネタバレあらすじ:転
それからしばらく経ったある日、NYベルビュー病院から連絡がきました。ニックがドラッグの過剰摂取で運ばれたとのこと。それを聞いたデヴィッドは急いで駆け付けましたが、ニックは病院から逃げ出していました。ようやく見つけニックをホテルで落ち着かせると、また幼き頃のニックを思い出します。寝かしつけるためによく口ずさんでいたジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」。今目の前で、自分との戦いにすっかり疲れてしまっているニックにそっと歌ってあげるのでした。
その後ニックは母親ヴィッキーの支援のもとでLAの更生施設に行き、1年2ヶ月もの間クリーンな状態を保つことができました。順調に更生を続けニックは久しぶりにサンフランシスコの家族へ会いに行きます。庭で弟や妹と水遊びをしたり、家族で海に行ったり、幸せに満ち溢れた素晴らしい時間を過ごすことができました。
ビューティフルボーイの結末
しかし幸せな時間は長く続くことはありませんでした。帰り道、大学時代の同級生ローレンと偶然出会ったことが引き金となり再びドラッグに手を伸ばしてしまいます。恋人ができたことで破滅の速度を早めた2人は、シェフ一家に盗みを働くために侵入。ちょうど帰宅したデヴィッドとカレンに見つかり慌てて逃げ出します。
その日の夜、ついにローレンが過剰摂取で心肺停止に陥ってしまいました。ニックの必死の蘇生で命は助かりましたが、緊急救命室へと運ばれていったローレン。ニックの心は限界でした。電話を取り出しデヴィッドに連絡すると「どうか嫌わないで」と懇願するニック。頼むから施設ではなく家に帰らせてという息子の言葉に「お前を救ってやりたいが、私にはできない。頑張って人生をやり直せ」とデヴィッドは愛情ゆえに突き放したのです。壁に飾ってあったニックの写真を外し棚へしまいこむと、こらえきれなくなった感情を一気に放出させ1人涙するデヴィッドでした。
しばらくして、公衆トイレで倒れていたニックは再び病院へと運ばれました。病院で回復を待つヴィッキーの前に現れたのは、一度は見放したデヴィッドでした。ここまでドラッグを摂取して命があるのが不思議なほどだと医者に言われるほど、薬によって蝕まれていたニックの体。しかしこれをきっかけに、周りの強力な支援と家族の愛により8年もの間ドラッグを断ち続けているニック。彼の再生への過程は現在も続いています。
以上、ビューティフル・ボーイのあらすじと結末でした。
この映画にどうしても出たくてオーディションを受け、100%自分を捧げたと言うシャラメの演技は素晴らしいものでした。アメリカの抱える薬物摂取の低年齢化やクリスタルメスがこれ程身近にあるという現実。過剰摂取で命を落とすティーンエイジャー。最後まで息子を信じる父と家族。予想していたよりハードな内容でした。原作を読んで観ることをお勧めします。