フィールド・オブ・ドリームスの紹介:1989年アメリカ映画。ウイリアム・パトリック・キンセラの小説『シューレス・ジョー』を原作としたファンタジー映画の傑作です。本作は野球を通じて夢や希望、家族の絆を描き上げ、この年のアカデミー賞では作品賞、脚色賞、作曲賞にノミネート、日本でもブルーリボン賞や日本アカデミー賞で最優秀外国語作品賞を受賞するなど高い評価を得ました。
監督:フィル・アルデン・ロビンソン 出演:ケビン・コスナー(レイ・キンセラ)、エイミー・マディガン(アニー・キンセラ)、ギャビー・ホフマン(カリン・キンセラ)、レイ・リオッタ(シューレス・ジョー・ジャクソン)、ティモシー・バスフィールド(マーク)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(テレンス・マン)、バート・ランカスター(Dr.アーチボルト・ムーンライト・グラハム)、フランク・ホエーリー(若き日のアーチボルト・ムーンライト・グラハム)、ドワイヤー・ブラウン(ジョン・キンセラ)、マイケル・ミルホーン(バック・ウィーヴァー)、スティーヴ・イースティン(エディ・シーコット)、チャールズ・ホイエス(スウィード・リスバーグ)、アート・ラフルー(チック・ギャンディル)ほか
映画「フィールド・オブ・ドリームス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フィールド・オブ・ドリームス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
フィールド・オブ・ドリームスの予告編 動画
映画「フィールド・オブ・ドリームス」解説
この解説記事には映画「フィールド・オブ・ドリームス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フィールド・オブ・ドリームスのネタバレあらすじ:起
レイ・キンセラ(ケビン・コスナー)は36歳。妻のアニー(エイミー・マディガン)や娘のカリン(ギャビー・ホフマン)と共にアメリカ・アイオワ州の片田舎でトウモロコシ畑を営む貧しい農家です。
ある日、レイは農作業に勤しんでいる途中、どこからともなく「If you build it, he will come.(それを作れば、彼がやって来る)」という謎の声を聞きました。レイはそのことをアニーに話しましたが信じてもらえませんでした。その夜、レイは就寝中にも同じ謎の声を聞き、そのことを近隣の住民にも打ち明けましたが誰も信じようとしませんでした。
そんなある時、レイは農作業の最中、トウモロコシ畑に謎の幻影を見ました。レイはそれが伝説のメジャーリーガー、“シューレス”・ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)ではないかと考え、謎の声はこの畑を潰して野球場を造ればジョー・ジャクソンが現れることを表しているのではないかと考えました。
※“シューレス”・ジョー・ジャクソン(1887~1951)はクリーブランド・インディアンスやシカゴ・ホワイトソックスでプレイした外野手で、ワールドシリーズ制覇にも貢献した大打者だったが、1919年の八百長事件「ブラックソックス事件」に関わったとして球界を永久追放された。物語の時代では既に故人。
アニーはレイの話を冗談だと思って真に受けようとしませんでしたが、何ひとつ冒険することなかった父のようになりたくないレイは既に野球場を造る決意を固めていました。アニーはレイの情熱に打たれて協力することにし、レイはアニーと共に野球場造りを開始しました。
フィールド・オブ・ドリームスのネタバレあらすじ:承
周囲の住民たちはレイを変人扱いし、冷ややかな視線を浴びせました。その後、野球場は完成しましたが1年経ってもジョー・ジャクソンは現れず、野球場造りに貯金を費やしたことや畑を潰したことによる収穫の減少によってレイ一家は深刻な家計不足に悩まされていました。
さすがに待ち続けていたレイとアニーも野球場を手放そうかと諦めかけていたその時、カリンが野球場に人がいると知らせてきました。野球場にいたのは確かに死んだはずのジョー・ジャクソンその人でした。
レイはジョー・ジャクソンと一緒のグラウンドに立っていることに感激し、二人で野球を楽しみました。ジョー・ジャクソンは現役時代の思い出を語り、レイはジョー・ジャクソンを家族に紹介しようとしましたが、どうやらジョー・ジャクソンは野球場の外には出られないようでした。ジョー・ジャクソンはレイに再会を約束して姿を消していきました。
数日後、アニーの兄マーク(ティモシー・バスフィールド)がレイ一家の元を訪れ、土地を売るべきだと持ちかけてきました。その時、野球場に人影が現れ、レイが近付いてみると、グラウンドに立っていたのはジョー・ジャクソンと共にブラックソックス事件で永久追放になったホワイトソックスの8人の選手たちでした。しかし、選手たちはレイ一家以外の人には見えず、マークはからかわれているのかと腹を立てて帰っていきました。
その時、レイは野球場で「Eace his pain.(彼の苦痛を癒せ)」という謎の声を聞きました。その数日後、レイとアニーはPTA集会に出席しましたが、集会では1960年代に活躍した作家テレンス・マン(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の著書を排除しようとする動きが広まっていました。その動きに反対し、60年代への熱い想いを語るアニーの姿に、レイは言葉の意味はマンのことを指し示しているのではないかと気付きました。
フィールド・オブ・ドリームスのネタバレあらすじ:転
マンの小説には野球選手だったレイの父も登場しており、レイは“苦痛を癒す”ことは野球に夢を託していたマンと共に球場で野球を観戦することではないかと考えました。レイはボストンに在住するマンの元を訪れ、夢に出てきたボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークでマンと一緒に野球を観戦しました。
その時、レイの耳元に「Go the distance.(やり遂げろ)」という謎の声が響き、電光掲示板には“アーチボルト・”ムーンライト”・グラハム”という名前が表示されました。レイはそれが自分にしか見聞きできないと感じ、マンを連れて来る必要はなかったのではないかと考えましたが、実はマンもまた謎の声とグラハムの名を見聞きしており、レイとマンは一緒にグラハムが住むミネソタ州チゾムに向かいました。
※アーチボルト・”ムーンライト”・グラハム(1877~1965)は1905年にサンフランシスコ・ジャイアンツに外野手として入団するも、出場したのはたった1試合の守備機会のみで、打席に立つことなくメジャーを去った。その後、チゾムに移り住んだグラハムはこの地で開業医となった。史実では1965年に他界しているが、本作では1972年に他界したという設定になっている。
チゾムに到着したレイとマンはグラハムが既に故人であること、医者だったグラハムは人々から愛される存在だったことを知りました。その夜、レイは町がいつの間にかグラハムが亡くなった1972年にタイムスリップしていることに気付き、そこでグラハム(バート・ランカスター)と出会いました。グラハムはメジャーの打席に立ちたかったという想いを打ち明け、レイはアイオワの自分の野球場に行けば夢が叶うと誘いましたが、グラハムはそれを断りました。
レイは一連の出来事をマンに伝えましたが、アニーとの電話で家と土地がマークによって売りに出されようとしていることを知りました。レイはマンと共にアイオワに戻ることにしましたが、途中で若き日の姿となったグラハム(フランク・ホエーリー)が同行することになりました。
レイの家に招かれたマンは、野球場で往年の名選手たちがプレイしているのを見て驚きました。若き日のグラハムもジョー・ジャクソンに招かれてグラウンドに入り、打席に立ちました。レイはグラハムの夢が叶ったことを喜びました。
フィールド・オブ・ドリームスの結末
その翌日、レイはマークから家と土地を手放すよう迫られましたが頑なに拒否しました。その時、カリンとマンはアイオワ中の人々が心の安らぎを求めてこの球場を見にやってくると予言しました。
名選手たちの姿が見えないマークが激昂した拍子、カリンはベンチから転落して意識を失ってしまいました。アニーが救急車を呼ぼうとしたその時、グラウンドにいたグラハムが医師の姿となってカリンを手当てしました。それを見ていたマークにも名選手たちの姿が見えるようになり、マークは一転して絶対に家と土地を手放すなと助言しました。
ジョー・ジャクソンはマンも一緒にと誘いましたが、レイは自分が行く権利があると言い出しました。ジョー・ジャクソンはレイの申し出を拒み、マンはレイが残ることに何か意味があるのではないかと告げると畑の中へと消えていきました。
その時、ジョー・ジャクソンはレイに「If you build it, he will come.(それを作れば、彼がやって来る)」と告げました。気が付くと、グラウンドには若き日のレイの父・ジョン(ドワイヤー・ブラウン)の姿がありました。
レイは若き日にジョンと衝突して家を飛び出し、それからというもの一度もジョンと会うことも言葉を交わすこともありませんでした。レイは謎の声の目的が自分と父を引き合わせるためのものだったことに気付きました。
レイは帰ろうとするジョンを呼び止め、一緒にキャッチボールをしようと呼びかけました。レイとジョンが夕暮れの野球場でキャッチボールをしていると、どこからともなく野球場を目指してやってきた人々の車が長い列を連ねていました。
以上、映画「フィールド・オブ・ドリームス」のあらすじと結末でした。
「フィールド・オブ・ドリームス」感想・レビュー
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原作とはいろいろ違っていて、原作での作家は実在のサリンジャーです。「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のキャッチャーに引っ掛けたのでしょうね。そこが物語の大事なファクターだったりするのですが、映画ではすっぽり抜け落ちていて、やはり実在のシューレス・ジョー・ジャクソンとキンセラとの絡みだけになっています。実在と空想がいろいろ入り混じっているから面白い話なのに、ちょっと残念です。その点を抜きに、ノスタルジックなファンタジー映画としてだけ見れば、面白い作品だと思います。
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情けない父親しか知らない主人公がカッコいい時代の父親を知る。最後のキャッチボールは何度見ても泣いてしまう
一方間違えると妄想に憑りつかれた危ない男になってしまうところを、ケビン・コスナーが演じているので地に足のついたキャラクターに思えてきました。夫の突然の奇行に振り回されながらも、優しく見守っている妻の姿には心温まるものがありました。亡き父親への愛憎半ばする思いを振り切って、キャッチボールを通して心交わすシーンにはホロリとさせられました。