カルメン故郷に帰るの紹介:1951年日本映画。ストリッパー、リリィ・カルメンことおきんが久しぶりに故郷の北軽井沢へと帰ってきた。ストリップを芸術だと信じて止まないおきんは同僚のマヤとともに村で裸踊りの公演をしようと計画しますが…。戦後の新しい女性像とも言えるヒロインを演じた高峰秀子の名演が光ります。国産初の「総天然色映画」として公開され話題を呼びました。
監督:木下惠介 出演者:高峰秀子(おきん/リリィ・カルメン)、小林トシ子(朱実/マヤ)、笠智衆(校長先生)、佐野周二(田口春雄)、坂本武(青山正一)、井川邦子(田口光子)、佐田啓二(小川先生)、望月美恵子(青山ゆき)、見明凡太朗(丸野十造)、ほか
映画「カルメン故郷に帰る」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「カルメン故郷に帰る」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
カルメン故郷に帰るの予告編 動画
映画「カルメン故郷に帰る」解説
この解説記事には映画「カルメン故郷に帰る」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
カルメン故郷に帰るのネタバレあらすじ:起
初秋、北軽井沢浅間山の麓。大自然が広がるこの村に東京で成功した娘おきんが帰ってくることになりました。おきんの姉ゆきは大喜びで父・正一に知らせますが、正一は家出をして東京へ出て行ったおきんを許すことができず、複雑な心境です。おきんは東京で芸術関係の仕事をしているといいますが、父には愚鈍な娘がまともな仕事に就けているとはにわかに信じられませんでした。
小学校の校長先生はそんな正一に、おきんを温かく出迎えてあげてはどうかと優しく語り掛けます。そしておきんが同僚の朱実を連れて故郷に凱旋します。久々の帰郷にテンションが上がるおきん、朱実も村を気に入ったようです。二人は草原で気ままに歌い踊ります。おきんと朱実の仕事はストリッパーでしたが、おきんはストリップを芸術だと信じ、この仕事に誇りを持っていました。
カルメン故郷に帰るのネタバレあらすじ:承
しかしこの小さな村では、派手な出で立ちの二人は明らかに浮いた存在でした。おきん達は歩くだけで好奇の目にさらされます。朱実は田舎はやっぱり退屈だと言い出し、帰りたがるようになります。
そんなある日、小学校で行われる運動会におきんと朱実も出席することになりました。会も終盤となり、貧しき盲目の作曲家田口春雄のオルガン演奏で合唱をすることに。しかし演奏の最中に朱実のスカートがはだけ、出席者達は演奏そっちのけで大笑い。自分が笑いものにされていると勘違いした春雄は怒って演奏を止めてしまい、運動会は台無しになってしまいました。
東京へ帰る前になんとしても故郷で錦を飾りたいおきんは、村でストリップ公演を行うことを思いつき、村の権力者丸野十造の助けを借りることに。しかしこの丸野は借金の膨らむ春雄からオルガンを取り上げてしまうなど、金儲けのためなら手段を選ばない冷酷な男として有名でした。
カルメン故郷に帰るのネタバレあらすじ:転
公演の演目がストリップという裸踊りであることを知った校長は、正一のもとを訪ね、公演を中止させるつもりであることを伝えます。しかし正一は涙を流しながら、踊らせてあげて欲しいと懇願します。さらに、たとえ裸を晒す踊りであろうとも、おきんが芸術だと信じている以上、立派な踊りに違いないのではないかと訴えます。
正一は親子で笑いものになっても構わないという覚悟ができていました。校長は娘の顔がまともに見れそうもないという正一を、その晩家に泊めてあげることにしました。そして夜になり、おきんと朱実の公演が始まります。二人は観客の前で堂々たる踊りを披露、公演は大盛況のうちに幕を閉じました。
カルメン故郷に帰るの結末
公演で得た出演料は正一にすべて贈られました。正一はその金を校長に寄付し、一部は春雄の借金返済に当ててあげてほしいと頼みます。さらに公演を成功させ上機嫌の丸野は春雄にオルガンを返却することを承諾しました。
一方、おきんと朱実は東京へ帰るため列車に乗り込もうとしていました。ゆきを始め、沢山の村人達が蛍の光を歌いながら二人を見送ります。おきんはやっぱり帰ってきてよかったと感慨深げに呟き、見送る村人達に手を振り続けます。二人を乗せた列車はゆっくりと故郷を離れていくのでした。
以上、映画「カルメン故郷に帰る」のあらすじと結末でした。
カラーの鮮やかさに少し違和感はあるものの、作品としては面白く、高峰秀子のいやらしくないチャーミングな明るさが好印象の映画。
都市とのギャップに不信感を覚えながら、真っ向から否定できない田舎の普遍的なテーマが、今見ても古さはないと感じた。
ショーの場面の目をキョロキョロさせるデコちゃんが可笑しくてお気に入り。