ドライ・クリーニングの紹介:1997年フランス,スペイン映画。平凡な夫婦が蠱惑的な美青年に溺れていく様を描いたドラマ。田舎の街で小さなクリーニング店を開くニコルとジャン=マリーの夫婦は、ある夜ドラァグクイーンの美青年ロイックと知り合った。家族に捨てられ孤独な境遇の彼を家に招き入れると、ニコルはロイックの若く美しい魅力に溺れてしまう。更にジャン=マリーも惹かれてしまい、危険な関係は3人を悲劇へと導くのだった。
監督:アンヌ・フォンテーヌ 出演者:ミュウ=ミュウ(ニコル)、シャルル・ベルリング(ジャン=マリー)、スタニスラス・メラール(ロイック)、マチルデ(マリリン)、ナヌ・マイスター(イベット)ほか
映画「ドライ・クリーニング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ドライ・クリーニング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ドライ・クリーニングの予告編 動画
映画「ドライ・クリーニング」解説
この解説記事には映画「ドライ・クリーニング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ドライクリーニングのネタバレあらすじ:美しい姉弟
舞台はフランスのスイス国境付近の街、ベルフォール。小さなクリーニング店を経営するニコルとジャン=マリーの夫婦は、ある夜クラブで「夜の女王たち」と呼ばれる姉弟のショーを楽しんでいました。夫婦は特に弟ロイックの美しさに目を奪われます。
翌日、夫婦のクリーニング店にロイックがドレスを持ってやって来ました。化粧を落とした彼にはまた別の色気が漂っており、ニコルは思わず胸をときめかせます。ニコル達はロイック目当てにクラブへ向かい、その時、姉マリリンを紹介されました。彼ら姉弟に親はなく、2人で支え合いながらヨーロッパをドサ回りしているそうです。日々の生活に追われ何年も旅行を諦めていたニコルにとって、彼らはとても自由に見えました。
クラブを出た4人はホテルになだれ込み、ニコルはロイックと、ジャン=マリーはマリリンとベッドに入ります。しかしジャン=マリーは自分の倫理観に従い、乗り気だったニコルを叱り、何もせずに部屋を出ました。するとロイックが金を要求してきます。つまり姉弟は売春のつもりだったようで、ジャン=マリーは忌々しげに小切手を切りました。
ドライクリーニングのネタバレあらすじ:再会
ニコルは毎日の生活に虚しさを感じ始めていました。夫は仕事の虫で日々生活に追われ、借金まで抱えている現実。そんな彼女の疲弊を案じたジャン=マリーは、週末スイスのバーゼルへ行こうと提案しました。ロイック達もスイスに移ると言っていたので、もしかすると会えるかも知れないと考えたのです。ニコルはその提案をとても喜びました。
週末、バーゼルの観光を楽しんだニコルとジャン=マリーは、夜になって盛況しているクラブに行ってみます。そして「夜の女王たち」と再会しました。ところがロイックは終始苛立った様子で、ニコル達が再会の挨拶をしても素っ気ない態度です。どうやらマリリンが恋人を作ったらしく、それが気に入らないようでした。
翌日、マリリンは恋人とイビサでバーを開くと告げ、「夜の女王たち」は解散すると言い出します。置いて行かれたロイックは酷いショックを受け落ち込みました。ニコル達は彼を励まし、後ろ髪を引かれる思いでベルフォールに戻ります。
するとしばらく経って、クリーニング店にロイックが訪ねて来ました。全ての契約を切られてしまったので、この街で職を探すつもりだと説明するロイック。ジャン=マリーは彼を引き止め、しばらく家に置いてやることにしました。一緒に暮らすジャン=マリーの母と、夫婦の一人息子ピエールも交えて賑やかな食卓を囲みます。ジャン=マリーは素性の知れない男を泊めて大丈夫だろうかと不安を抱きますが、ニコルはロイックを信じていると言い切りました。
ロイックをクリーニング店で雇ってみると、彼は腕が良く覚えも早かったため、夫婦はとても感心します。ピエールもすぐにロイックに懐きました。しかし母だけは懐疑的な目を向けています。
ドライクリーニングのネタバレあらすじ:ロイックの誘惑
色褪せた毎日を送っていたニコルの人生は、ロイックの登場で一気に華やかになりました。ニコルはついにロイックと肉体関係を持ってしまい、ジャン=マリーもそれに勘付きます。しかし何も言いませんでした。ニコルは故郷リールから嫁いできてずっと、小さな街特有のよそ者扱いを受けてきました。何とかベルフォールに馴染もうとした時期もありましたが、無理だったとロイックに明かします。ニコルはロイックに溺れそうで怖いと呟きました。
そんな折、母がロイックの荷物を勝手に漁り、銃を発見してしまいます。彼女が大騒ぎしたため、ジャン=マリーは仕方なくロイックに出て行って貰うことにしました。ロイックは銃の処分をジャン=マリーに頼み、傷ついた様子で家を出ていきます。ニコルは深く落ち込み、ジャン=マリーもロイックを案じていました。
少し考えたジャン=マリーは、ロイックを連れ戻すべく、彼が宿泊しているホテルへ向かいます。ロイックは迎えに来たジャン=マリーを見て、「君のせいで――勃ったよ」と笑い出しました。ジャン=マリーは嫌悪感を顕にして激怒し、荒々しく部屋を出ていきます。しかし結局ロイックは店に戻って来ました。
ドライクリーニングのネタバレあらすじ:耽溺と苦悩
近所ではロイックに関して、悪い噂が広がっています。しかもその後もロイックはジャン=マリーを性的に誘惑しました。ジャン=マリーはその度に激怒しますが、彼を家から追い出すことはありませんでした。
そんなある夜、ついにジャン=マリーはニコルとロイックの浮気現場を目撃してしまいます。そこでジャン=マリーは、ニコルに2週間の休暇を取ってカナダ旅行に行こうと誘いました。ピエールは合宿に、母は老人クラブに預けて2人きりで行こうと。その間店は閉め、ロイックにはもう辞めて貰うつもりだと話しました。
するとニコルは「彼は私たちの生活の一部なのよ」と猛反発。ロイックに出会う前にはもう戻れないと強く拒否しました。ジャン=マリーが構わずロイックに解雇を伝えると、ニコルは激怒して喚き散らします。そして旅行ではなく、ロイックと共に行くと叫びました。
ドライクリーニングの結末:危険な愛の果て
ピエールと母が出発した日の夜、3人は気まずい空気の中家で押し黙っていました。ジャン=マリーは仕事を片付けるため階下へ降りていきます。ニコルは家を出て行くと決め、荷造りを始めました。ロイックは静かにジャン=マリーに近付き、強引に体を押し付けます。ジャン=マリーは強く拒むことも出来ず、半ば無理やりロイックに抱かれてしまいました。ロイックは「愛してると言えよ!」と叫びます。
ジャン=マリーは思わずアイロンを背後のロイックに投げつけ、彼を殺害してしまいました。ショック状態で部屋に現れたジャン=マリーを見たニコルは、何があったか察して階下へ向かいました。そしてロイックの遺体を発見します。ニコルは罪を隠蔽するため、遺体を隠し血の痕を徹底的に拭き取って回りました。その後。夫婦はひたすら無言で外を歩き続け、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ドライ・クリーニング」のあらすじと結末でした。
小さいときに見て結末に驚き、今でも覚えていて印象に残っています。遺体処理法が、なぜ地下室にあれがあるのかよくわかりませんでした。