山羊座のもとにの紹介:1949年イギリス映画。イギリスの流刑地だった19世紀のオーストラリアを舞台としたメロドラマ。『ガス燈』でイングリッド・バーグマンと共演したジョゼフ・コットンが再び彼女の相手役となる。『巌窟の野獣』以来のイギリスでの撮影となった本作はヒッチコックの自他共に認める失敗作という評価が一般的だが、『赤い靴』等のカメラマンであるジャック・カーディフのテクニカラー撮影等見どころはたっぷり。
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演者:イングリッド・バーグマン(ヘンリエッタ・フラスキー)、ジョゼフ・コットン(サム・フラスキー)、マイケル・ワイルディング(チャールズ・アデア)、マーガレット・レイトン(ミリー)、セシル・パーカー(総督)その他
映画「山羊座のもとに」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「山羊座のもとに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「山羊座のもとに」解説
この解説記事には映画「山羊座のもとに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
山羊座のもとにのネタバレあらすじ:起・植民地での再会
1831年、チャールズ・アデアはオーストラリアで一旗あげようと、新総督に着任する又従兄弟のリチャードにくっついてシドニーに来た。銀行頭取の部屋で、大地主のサム・フラスキーと知り合う。ただ、チャールズは頭取に、この国では人の過去を詮索するなと忠告される。
オートストラリアは流刑地であり、サムもまた、かつて殺人の罪でこの国に送りこまれたのだった。サムはチャールズがアイルランド人(当時アイルランドはイギリスの一部)であると知って興味をもったようだ。商談をもちかけ、彼をその晩のディナーに招く。
他の招待客の妻が皆仮病で欠席のディナーが始まろうというときに、フラスキー夫人が二階から降りてくる。チャールズは驚く。彼女はチャールズの姉の子供時代の友人、ヘンリエッタに他ならなかった。ヘンリエッタも幼かったチャールズのことを思い出して話がはずみかけるが、アルコール依存症で既にしらふではない様子の彼女は、すぐ自室に戻る。
他の客が帰り、サムとチャールズだけになる。アイルランドのヘンリエッタの家の厩舎担当の召使いだったサムは、自分が教えたヘンリエッタの乗馬の見事さを語る。二人は愛しあうようになったが、ヘンリエッタの兄が殺される事件が起こり、7年間の流刑になったサムをヘンリエッタが追ってきた。彼女のために財産を築いたサムだったが、心に問題を抱える妻に何をすべきかわからず困っている。
山羊座のもとにのネタバレあらすじ:承・家の女主人
総督は又従兄弟がフラスキーと付き合うことに反対する。かまわずチャールズはフラスキー邸に引っ越し、ヘンリエッタの話し相手になる。全てに自信喪失していたヘンリエッタは、次第に輝きを取り戻していく。
家政婦のミリーが夫妻に全面的に信頼され、ヘンリエッタの面倒を見て、保釈された囚人である女中たちを監督し、ヘンリエッタの主婦の地位を奪っていることをチャールズは不審に思う。ミリーもチャールズがヘンリエッタに影響力を持ちだしたことが不満で、フラスキー家の仕事を辞めると言い出す。
山羊座のもとにのネタバレあらすじ:転・舞踏会の夜
ミリーが去った朝、チャールズは総督邸で開かれる舞踏会への、フラスキー夫妻宛ての招待状を取り出す。自分たちの名が総督の招待客リストにあるはずがないと、二人はしり込みするが、サムに代わってチャールズがヘンリエッタと共に出席することにする。
二人が舞踏会に出かけた後、ミリーが屋敷に荷物を取りに現れ、サムに、チャールズとヘンリエッタはお似合いだ、寝室で二人きりだったと話して、サムの嫉妬をかきたてる。舞踏会で総督は、招待状を偽造して潜り込んだチャールズに怒るが、美しいヘンリエッタを見て怒りを忘れてダンスを申し込む。
ヘンリエッタは上流社会に受け入れられるかと思われたが、ミリーにそそのかされたサムが乗り込んできて、全てはぶち壊しに。失望して帰宅したヘンリエッタだが、サムを捨ててアイルランドに帰ろうと言うチャールズに、自分とサムの絆を物語る。
ヘンリエッタの兄が、身分の低いサムと駆け落ちした妹に怒って、彼女を射殺しようとしてサムがかばい、夫を護るためにヘンリエッタは兄を射殺したが、サムが罪を被ったのだった。遅れて帰宅したサムはチャールズを追い出すが、乗馬の苦手な彼は、サムのお気に入りの馬を骨折させてしまう。サムが馬を安楽死させた拳銃を手にもってチャールズともみ合いになり、拳銃から飛び出した弾丸でチャールズは重傷を負う。
山羊座のもとにの結末:追い詰められる夫婦
ヘンリエッタはチャールズの病室の外で面会許可を待ち続ける。フラスキー邸では結局ミリーがまた働き始める。総督はヘンリエッタに、チャールズが死ねばサムは絞首刑だと言う。サムは再犯だと言う総督に、ヘンリエッタは兄を殺したのが自分であることを告白する。だが、だとしたらヘンリエッタはアイルランドに送還されて裁判を受けなければならない。
ヘンリエッタは元の病気がどんどんひどくなり、妄想を見るようになる。サムはオーストラリアにある資産を売り払って、裁判を受けるヘンリエッタに付いてアイルランドに帰る決意を固めるが、それはサムを愛するミリーにとって想定外だった。これまでもヘンリエッタに酒を飲ませ続けてきた彼女は、ヘンリエッタに睡眠薬を過剰摂取させようとしているのを気づかれる。サムは激怒してミリーは去るより他なかった。
その晩、フラスキー邸に来た法務長官はサムに、兄を殺したというヘンリエッタの告白に同意するか、チャールズへの殺人未遂で再び囚人となるかの選択を迫る。
妻の告白への同意を拒否したサムは、翌日逮捕されるが、回復したチャールズが総督たちの前で、自分で自分の肩を撃ってしまったと説明したことにより、サムは解放される。不品行によりアイルランドに送り帰されるチャールズを、港で、彼のおかげで再出発できたフラスキー夫妻が見送るのだった。
以上、映画「山羊座のもとに」のあらすじと結末でした。
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