ナチスの愛したフェルメールの紹介:2016年オランダ,ベルギー,ルクセンブルク映画。オランダに実在した、フェルメールの贋作家として名高い画家H・ファン・メーヘレン。自身の才能を認めようとしない批評家への復讐から贋作に手を染めた彼の「限りなく真実に近い」とされる生涯を描いた歴史ドラマ。
監督:ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ 出演:ユルン・スピッツエンベルハー(ハン・ファン・メーヘレン)、リゼ・フェリン(ヨーランカ)、ルーラント・フェルンハウト(テオ)、ほか
映画「ナチスの愛したフェルメール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナチスの愛したフェルメール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ナチスの愛したフェルメールの予告編 動画
映画「ナチスの愛したフェルメール」解説
この解説記事には映画「ナチスの愛したフェルメール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナチスの愛したフェルメールのネタバレあらすじ:起・美しい人
1920年代オランダ。画家のハン・ファン・メーヘレン(ユルン・スピッツエンベルハー)は己の才能に慢心していたが、そんな時、彼は1人の美しい女性ヨーランカ(リゼ・フェリン)に出会う。彼女は大学教授で美術評論家でもあるブレイディウスの妻だったが、その美しさに、ハンは妻子を持つ身ながら惹かれていき、ヨーランカに絵のモデルを依頼する。ハンは彼女が生活の保証のために結婚し、そこに愛はないことを知る。
2人の距離が危ういほどに近くなるが、画廊経営者のテオ(ルーラント・フェルンハウト)は、彼女の夫がハンの個展の支援者でもあることからハンに忠告する。
ナチスの愛したフェルメールのネタバレあらすじ:承・嫉妬と破滅
ハンの個展が開かれ、ヨーランカの肖像画も展示されるが、肌をあらわにしたその絵を見たブレイディウスは2人の関係を疑い、嫉妬心からハンの絵を「個性がない、駄作」と評する。それをきっかけに世間から酷評されたハンは、己の絵を破壊し、絵を描くことをやめる。ヨーランカとの仲を疑い、生計にも困るようになったハンの妻も、息子を連れて彼のもとから去る。
オランダを離れ、その日暮らしをしていたハンはヨーランカに再会し、その日初めて体を重ねる。しかし、市場で見つけた古く美しいが作者不明の絵を認めようとしないヨーランカに、ブレイディウスと同じ憤りを感じだハンは彼女から去る。
ナチスの愛したフェルメールのネタバレあらすじ:転・復讐のために
ブレイディウスらへの復讐心に駆られたたハンは、フェルメールの贋作を描くことを思い立つ。酒とコカインに溺れながらも、色使いやタッチのほか、真贋判定でも見破られない技法を試行錯誤の末に体得したハンは、市場で買った古い絵の上に「エマオの食事」を描き上げ、この絵がフェルメールだと鑑定されたその時、皆の目の前で絵を切り裂こうと画策する。
そして女王陛下の面前で「エマオの食事」が公開され、ブレイディウスがフェルメールの作品だと公言したその時、ナイフを手にハンは絵に近づくが、そこでヨーランカに再会する。ハンは絵が自分の手による贋作だと打ち明けると、彼の復讐を知ったヨーランカは夫とは別れたことを告げ、絵を傷つけることを留まらせる。
ナチスの愛したフェルメールの結末:売国奴か贋作家か
その後2人は結婚、やがて戦況は悪化していく中で、フェルメールの絵を気に入ったナチス高官ゲッペルスに、自身の手による贋作を売り続けたハンは富を手に入れるが、1945年、祖国の宝を敵国に売った売国奴として逮捕される。
反逆罪となれば死刑は免れない。ハンは裁判で売ったのは自分が描いた贋作だったことを告白する。X線撮影により下絵の存在が明らかになり、彼は一転してナチスを欺いた英雄となる。反逆罪については無罪、詐欺罪として一番軽い禁固1年が科せられるが、同時に、売った額と実際の価値との差額を返還金として科せられ、それがフェルメールとメーヘレンの差なのだ、と諭されてハンは愕然とする。
そして判決から1か月後、ハンは58歳でこの世を去る。彼の手による「エマオの食事」はボイマンス美術館に今も展示されている。
以上、映画「ナチスの愛したフェルメール」のあらすじと結末でした。
それまで美術館に飾られていた絵が、フェルメールの作品じゃないとわかった途端に粗末に扱われるのを見て芸術が一体何なのかわからなくなった。
作品自体の価値ではなくて作者で価値が決まるなんて変だと思う。贋作でも素晴らしい物はある気がする。
メーヘレンという人に興味を持ったし、専門家も騙された作品を見てみたくなった。