アダムズ・アップルの紹介:2005年デンマーク,ドイツ映画。常に極端なポジティブ・シンキングを貫き、ことあるごとに他人に議論をふっかけ「失敬な!」が口癖の変わり者の牧師イヴァン。更生プログラムの一環としてすでに教会に住んでいる2人の前科者に加え、自らを悪党と名乗るアダムが新しく加わる。尋常ならざる秘密を抱え、周囲を唖然とさせてしまう奇行を連発させるイヴァンの驚くべき運命。ひょうひょうとした妙演と、血まみれな怪演で、不条理なユーモアが渦巻く映像世界へ観る者を引き込んでいく。デンマークのアカデミー賞にあたるロバート賞で作品賞、脚本賞、特殊効果/照明賞を受賞した作品
監督:アナス・トマス・イェンセン 出演:マッツ・ミケルセン(イヴァン)、ウルリッヒ・トムセン(アダム)、パプリカ・スティーン(サラ)、ニコラス・ブロ(グナー)、アリ・カジム(カリド)、オーレ・テストルプ(コルベア医師)、ニコライ・リー・コース(ホルガ)ほか
映画「アダムズ・アップル」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アダムズ・アップル」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アダムズアップルの予告編 動画
映画「アダムズ・アップル」解説
この解説記事には映画「アダムズ・アップル」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アダムズアップルのネタバレあらすじ:起
仮釈放されたスキンヘッドの男アダム(ウルリッヒ・トムセン)は、更生プログラムの一環として田舎の教会へやってきました。迎え入れたのは牧師のイヴァン(マッツ・ミケルセン)。快く挨拶をするもののアダムは完全に無視。ガチガチのネオナチ思想に染まったアダムは、神も人の情けも信じない男でした。
教会に着くと早速イヴァンはアダムが取り組むべき目標について問いました。アダムは面倒くさそうに「庭のリンゴでデカいアップルケーキを焼く」と、その場しのぎの答えを返します。イヴァンはこれに喜び、アダムにリンゴの収穫から責任を持ってやるよう命じました。
アダムズアップルのネタバレあらすじ:承
ところがイヴァンは気付き始めます。この教会はなんだか少しおかしいと。
教会に住み着いている二人の前科者、中東系移民のカリド(アリ・カジム)と、メタボ男のグナー(ニコラス・ブロ)は、更生するどころか暴力とアルコールや盗みなどにまみれています。二人とも全く更生しているようには見えません。
ある日のこと、教会にサラ(パプリカ・スティーン)という身ごもった女性が訪ねてきました。医師から、生まれてくる子供が障害を抱える可能性が高いと言われたため、出産をためらっているとのこと。それに対しイヴァンは、自分の子供も同じ状況だったが今となっては元気に走り回っていると、自らの経験談を聞かせました。サラはイヴァンの話を聞いて安堵の様子を浮かべました。
しかし、後日、連れてきたイヴァンの息子クリストファーは説明とは全く違いました。脳性麻痺で車いすから動くことも話すこともできずにいたのでした。クリストファーを見たサラは激高し「よくもあんな嘘がつけたわね」とイヴァンをなじり、泣き叫びました。アダムは黙ったままこれを見つめているのでした。
アダムズアップルのネタバレあらすじ:転
後日、アダムはコルベア医師(オーレ・テストルプ)から衝撃的な事実を聞きます。イヴァンは過去の悲劇的な人生により、不都合な現実を目の当たりにすると脳の腫瘍が破裂し、耳から血が出てくるとのこと。そのため、ネガティブなことに目を背け妄信的に神を愛するようになったのだと。
そんな秘密を知ったアダムは、執拗にイヴァンの自己欺瞞を暴こうとします。これにより、疑問を持ち始めたイヴァンは耳から血を流して気絶。目覚めたときには腫瘍は体を蝕み始め、余命わずかと宣告されてしまいます。この事態を知ったアダムは、みるみる落ちていくイヴァンを気の毒に思い、アップルケーキ作りをすることを決意します。
ところが、時同じくしてアダムのアップルケーキ作りをまるで妨害するかのように、庭のリンゴはカラスや害虫により荒らされてしまいます。極め付きには嵐が起き、雷が落ちリンゴの木は焼かれてしまったのです。悪魔の仕業か、神が人間に与えた試練なのか。次第にアダムもこの偶然に自問するようになりました。
アダムズアップルの結末
後日、アダムの手下だったホルガが大勢の仲間を連れて教会にやってきました。組織に戻らないアダムが気に入らない一味は発砲。この弾がイヴァンを直撃し脳を貫通、その場は血の海となり倒れてしまいました。病院に運ばれましたがほぼ助からないとコルベア医師は言います。
これを聞いたアダムは、なんとしてもアップルケーキを作ってイヴァンに食べさせてあげたいと思いました。そして残ったわずかなりんごで小さなアップルケーキを作りました。
しかし病院へ行くと、ベッドにイヴァンの姿はありませんでした。間に合わなかったかと肩を落としたその時、コルベア医師がやってきて「奇跡が起こった」と言うのです。
あれだけの衝撃にもかかわらずイヴァンは息を吹き返し、それどころか被弾したことで腫瘍も吹き飛んでしまったのです。イヴァンは庭にいました。アダムはアップルケーキを差し出すと、イヴァンも黙って受け取ります。まるで幸せをかみしめるかのように味わう二人でした。
時は経ち、また新たな悪党が更生プログラムで教会を訪れます。迎え入れたのはイヴァンとアダム。これまでにまったく笑わなかったアダムにも、笑みがこぼれていました。
以上、映画「アダムズ・アップル」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する