マチネの終わりにの紹介:2019年日本映画。芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を映画化した、クラシック音楽と大人のラブストーリーを融合させたヒューマンドラマです。福山雅治演じる自分の音楽を見失いかけた天才クラシックギタリストと石田ゆり子演じるジャーナリストの6年間の愛と葛藤の遍歴を描きます。日本を代表するクラシックギタリストの福田進一の全面監修のもと、福山雅治のミュージシャン人生で初挑戦となるクラシックギターの演奏シーンも見どころです。
監督:西谷弘 出演者:福山雅治(蒔野聡史)、石田ゆり子(小峰洋子)、伊勢谷友介(リチャード新藤)、桜井ユキ(三谷早苗)、木南晴夏(中村奏)、風吹ジュン(小峰信子)、板谷由夏(是永慶子)、古谷一行(祖父江誠一)ほか
映画「マチネの終わりに」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マチネの終わりに」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マチネの終わりにの予告編 動画
映画「マチネの終わりに」解説
この解説記事には映画「マチネの終わりに」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マチネの終わりにのネタバレあらすじ:起
2013年。
祖母の葬儀のため帰国したパリ在住のジャーナリスト小峰洋子(石田ゆり子)は、友人であるレコード会社社員の是永慶子(板谷由夏)に誘われ、是永が担当している世界的な天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山雅治)のツアーファイナル公演を観に行きました。蒔野はこの日も満員の観客を唸らせる演奏を聴かせましたが、実はこの時、自分の音楽を見失いつつあった蒔野は自分の演奏に全く満足しておらず、終演後の楽屋で一人荒れていました。それでも蒔野は是永から紹介された洋子を一目で気に入り、打ち上げの場に招きました。
20年に及ぶキャリアを誇る蒔野がギターを始めるきっかけとなったのは、映画『幸福の硬貨』の劇中音楽の影響ですが、洋子の義父(洋子の母の再婚相手)が『幸福の硬貨』のメガホンを執った大物映画監督イェルコ・ソリッチであり、更には洋子が実は20年前にニューヨークで開かれた蒔野のデビューコンサートを観ていたことから、蒔野と洋子はすっかり意気投合しました。
蒔野はマネージャーの三谷早苗(桜井ユキ)も交えて洋子と酒を飲み、洋子は自分には既に婚約者がいること、祖母の死因が自分が幼少期のままごと遊びで使っていた故郷・長崎の実家の庭にある大きな石に誤って頭をぶつけたことを打ち明け、蒔野は「人は変えられるのは未来だけだと思っているけど、未来は過去を変えている。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える」と洋子を励ましました。
マチネの終わりにのネタバレあらすじ:承
2014年2月。
すっかりスランプに陥ってしまっていた蒔野は、決定していたコンサートツアーやアルバム制作をキャンセルしたいと是永に申し出ました。その頃、パリに戻った洋子は市内で発生した爆弾テロの取材をしていましたが、勤務する通信社もテロの標的となり、洋子は親しかった同僚を失った挙句に、エレベーター内に取り残されてしまいました。死を覚悟した洋子は、スマホにフランス語で「未来が過去を変える。犠牲に遭わなかった者がテロのない未来を作らなければならない」と動画メッセージを残しました。洋子の身を案ずる蒔野は何度も彼女にメールを送りましたが返事はありませんでした。
3月。
蒔野はギターの師匠であるベテランギタリストの祖父江誠一(古谷一行)のコンサートに行き、彼から6月にマドリッドで開かれるコンサートイベントの出演話を持ち掛けられました。その後、蒔野はSkypeで久しぶりに洋子と通信しますが、テロのフラッシュバックに悩まされていた洋子は、工事現場の音にも怯えるほどでした。洋子は婚約者であるニューヨーク在住の日系人経済学者のリチャード新藤(伊勢谷友介)から贈られた婚約指輪をつけており、彼から一緒にニューヨークで暮らそうと持ち掛けられていました。それでも洋子への想いが捨てきれない蒔野は、マドリッド公演の合間に彼女とパリで会う約束をしました。
3ヶ月後。
蒔野は洋子とパリで再会を果たし、レストランで昼食を採ることにしました。蒔野の「もし洋子さんが死んだなら僕も死ぬ」との言葉に心が揺らいだ洋子は考える時間がほしいと言い出し、リチャードに別れを切り出しました。蒔野はマドリッド公演に洋子を招待しましたが、結局彼女が会場に姿を現すことはなく、若手ギタリスト(ティボー・ガルシア)の台頭にも揺さぶられた蒔野は途中で演奏を止めてしまいました。
その頃、洋子は取材中にテロに巻き込まれて負傷した同僚カメラマンの面倒を見ていました。洋子のアパートを訪れた蒔野は二人のために手料理を振舞い、二人だけのためにギターを弾きました。この時の演奏は最近のどの公演よりも好調だった蒔野は洋子と初めてキスを交わし、洋子は心機一転日本でやり直すことを伝えました。
マチネの終わりにのネタバレあらすじ:転
洋子が帰国する日、蒔野は彼女と空港近くのパスターミナルで待ち合わせすることになっていました。ところが、祖父江が脳出血で倒れたとの知らせが入り、蒔野は急遽タクシーで病院へと向かいました。しかし、蒔野はタクシーにスマホを置き忘れてしまい、早苗がタクシー会社に受け取りに行きましたが、かねてから蒔野に仕事関係以上の想いを抱いていた早苗は彼のスマホを覗き見し、洋子とのやり取りに嫉妬心を覚えてしまいました。
雷雨が降る中、早苗は蒔野に成りすまして洋子に「もう会えません。あなたと出会ったことで自分の音楽を見失ってしまった」と偽のメールを送った後に、故意にスマホを水没させて壊し、修理が終わるまでとして自分の仕事用の携帯電話を蒔野に貸しました。早苗は洋子の連絡先を知りたがる蒔野に嘘の電話番号を教え、早苗の策略に嵌ってしまった洋子はそのまま長崎へ帰省してしまいました。
翌日。幸いにも一命を取り留めた祖父江は、蒔野にギターを続けるよう諭し、自分は一線を引く考えを示しましたが、祖父江の娘・奏(木南晴夏)はまだまだギタリストとして活動したいという父の本心を見抜いていました。スマホを買い替えた蒔野は洋子に連絡しましたが通じず(早苗が偽メールを送ったことにも気づいていない)、空港で洋子の帰りを待つも彼女が現れることはありませんでした。
その頃、洋子は長崎で母・信子(風吹ジュン)と水入らずの時間を過ごしていました。洋子からイェルコと短期間で離婚した理由を問われた信子は、イェルコは自分の映画が政治的思想を孕んでいたことから命を狙われるようになり、信子と洋子の身を守るため、あえて別れを切り出したことを明かしました。信子はイェルコと会えないことが彼の愛情だったと振り返り、洋子は自分自身の境遇と重ね合わせていました。その後、洋子はリチャードと結婚して子供をもうけ、蒔野も早苗と結婚して一児の父となりました。
マチネの終わりにの結末
4年後の2018年。
祖父江はこの世を去りました。早苗と共に葬儀に参列した蒔野は、是永から祖父江の追悼アルバムへの参加と復帰コンサート開催を要請されました。マドリッドでの失態以来、4年も表舞台から遠ざかっていた蒔野でしたが、奏の励ましもあり、師匠への想いを胸に再起することを決めました。その頃、洋子はリチャードや息子と裕福な暮らしをしていました。しかし、いまだに洋子が蒔野と惹かれ合ったことを根に持つリチャードは堂々と愛人の存在を見せつけ、嫌気が差した洋子は彼との離婚を決意して再就職活動を開始しました。しかし、離婚調停の結果、息子の親権はリチャードに渡ることになり、洋子は1ヶ月に1回しか息子に会えないことになりました。
2019年。
蒔野はギターの練習に必死に取り組み、レコーディングも無事に終わりました。早苗は実家に帰省すると嘘をついてニューヨークに飛び、蒔野がデビューコンサートを開いた会場を復帰コンサートの場にするため関係者と交渉しました。その後、4年前の出来事以来、罪悪感を抱き続けていた早苗は洋子に会いに行き、完成したばかりの祖父江追悼アルバムのCDを手渡すと、4年前の偽メールは自分が仕組んだことであることを白状しました。早苗は日本の蒔野にもメールで真実を明かし、強い衝撃を受けた蒔野はガラスコップを握り潰して流血してしまいました。
5ヶ月後の2019年11月。
幸いにも怪我の治った蒔野は復帰コンサートのためニューヨークへと出発しました。既に蒔野との別れを決意していた早苗は、今度こそ本当に実家に帰ると告げ、「“蒔野さん”。私のことは気にしないで。好きなようにして」と送り出しました。
その頃、洋子は既に愛人と新しい暮らしを始めていたリチャードに会い、息子との束の間の一時を過ごしていました。リチャードたちが帰った後、祖父江追悼アルバムを聴いた洋子はブックレットに記載された蒔野のメッセージ「音楽を愛するあなたへ。今日の悲しみが明日の幸せによって変えられますように」が自分に向けられたものであることを悟り、コンサート会場へと向かいました。その足取りはいつもはマイペースな洋子にしては珍しく軽いものでした。
蒔野はかつてデビューを飾った思い出のコンサートホールでの復帰コンサートに臨み、これまでのブランクを払拭する完全復活を見せつけて満員の観客を大いに沸かせました。蒔野は公演後にセントラルパークの池の周りを散歩しながら観客が大切な友人に会えることを願うと語り、「マチネの終わりに特別な曲を演奏します」と言うとセットリストになかった『幸福の硬貨』のテーマ曲を披露しました。客席には洋子の姿がありました。
コンサートを終えた蒔野はセントラルパークでファンからのサインに応じていたところ、池の向こう側に洋子の姿を確認しました。二人は6年の想いを埋め合うかのように互いに微笑み合いました。
以上、映画「マチネの終わりに」のあらすじと結末でした。
思いは誰にも邪魔されない 私もたった数ヶ月しか職場で一緒だったドクターと6年ぶりに会い、お互いの想いを確信しました 巡り合わせってあるんですね