夜の訪問者の紹介:1970年フランス,イタリア映画。フランスのリゾート地で妻子とともに暮らすアメリカ人の男の元に、ある日突然謎の男たちがやってくる。捨てたはずの過去に翻弄されるサスペンス・アクション。
監督:テレンス・ヤング 出演:チャールズ・ブロンソン(ジョー)、リヴ・ウルマン(ファビエンヌ)、ジェームズ・メイソン(ロス)、ジル・アイアランド(モイラ)、ミシェル・コンスタンタン(ホワイティ)、ルイジ・ピスティッリ(ファウスト)、ヤニック・ド・リュール(ミッシェル)、ジャン・トパール(カタンガ)、ポール・ボニファ(医者)、ほか
映画「夜の訪問者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「夜の訪問者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
夜の訪問者の予告編 動画
映画「夜の訪問者」解説
この解説記事には映画「夜の訪問者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
夜の訪問者のネタバレあらすじ:謎の訪問者
フランスのコートダジュールで暮すアメリカ人ジョーは、所有するクルーザーで観光客相手の商売で収入を得ていた。
ある晩、妻ファビエンヌと自宅にいたジョーの元に脅迫電話がかかってくると同時に、何者かが家に侵入する。
その男ホワイティはジョーの過去をよく知る男だったが、もみ合いの末、ジョーはホワイティを殺害する。ファビエンヌはホワイティとの関係をジョーに問いただす。
夜の訪問者のネタバレあらすじ:追ってきた過去
朝鮮戦争従軍時に上官への暴力で服役中、ジョーは軍の武器を密売し、同じく投獄されていたロス大尉とその部下であるファウスト、ホワイティと出会う。
運転の腕を買われたジョーは脱獄計画に加わるが、手引きをした傭兵カタンガが警官を殺害したことに反発した彼は単独で逃走、ロスらは再び捕らえられたのだった。
ジョーがファビエンヌとともにホワイティの遺体を処分して家に戻ると、そこにはロス、ファウスト、カタンガの3人が待ち受けていた。彼らはジョーの持つクルーザーを密輸に使うことで、復讐より借りを返させようとしていた。
夜の訪問者のネタバレあらすじ:反撃
ファビエンヌを人質に取られたジョーは、カタンガと共に取引の場所へクルーザーを走らせるが、寸前でカタンガを眠らせ港へ戻る。
キャンプに参加していた娘ミシェルを迎えに行ったジョーだったが、既にミシェルも人質に取られたあとだった。
そこでジョーは空港へ向かい、大金を持参したロスの愛人モイラを迎えに来ていたファウストを出し抜いてモイラを誘拐し、人里離れた小屋に金とともに監禁する。
夜の訪問者のネタバレあらすじ:仲間割れ
家に戻ったジョーはモイラを監禁したことを話し、ロスに妻子の解放を要求する。ロスは妻子と部下を引き連れ、ジョーにモイラの監禁場所まで案内させる。
小屋に着いたところでジョーは妻子を逃がそうとするが、カタンガが乱射した銃弾でファウストが死に、ロスも被弾、重症を負い手当てが必要なため、ジョーはモイラとともに街から医者を連れてくることになる。
ロスは金を持ち逃げしようとするカタンガに銃を向け、ファビエンヌはロスが意識を失わないよう介抱を続ける。それでもいよいよ力尽きたと悟ったロスは、カタンガの隙をついてファビエンヌとミシェルを逃がすが、その後をカタンガが執拗に追っていた。
夜の訪問者の結末:再び消し去った過去
ようやく街から医者を連れ戻ったジョーは、逃げ出したファビエンヌたちを助け出すが、追いついたカタンガに再び拘束される。
目的の場所までクルーザーで連れて行くよう迫られたジョーは船上で照明弾をカタンガに撃ち込み、火だるまになったカタンガは金と共に海へ落ちる。
港へ戻ったジョーはファビエンヌ、ミシェルとともにパリ際で賑わう街の中へと入って行った。
以上、映画「夜の訪問者」のあらすじと結末でした。
“チャールズ・ブロンソンが絶頂期にテレンス・ヤング監督と組んで主演したサスペンス・アクション「夜の訪問者」”
この映画「夜の訪問者」は、チャールズ・ブロンソンがフランスに渡り、ルネ・クレマン監督と組んで大ヒットさせた「雨の訪問者」、次いでイタリアで主演した「狼の挽歌」の後に、「007シリーズ」のテレンス・ヤング監督と組んで主演したサスペンス・アクションで、その後、テレンス・ヤング監督とは、三船敏郎、アラン・ドロンという世紀の顔合わせを果たした「レッド・サン」でも組んでいます。
この映画の原作は、SF作家として有名なリチャード・マシスンのスリラー小説「COLD SWEAT(冷や汗)」の映画化作品で、南フランスの港町で釣り船の船主をしているジョー(チャールズ・ブロンソン)は、7年前に結婚した妻ファビエンヌ(リヴ・ウルマン)と娘のミシェールと平和に暮らしています。
彼は観光客相手に沖釣用の船を出すのが商売で、ある夜、突然、ひとりの男が現われ、ジョー一家に不吉な黒い影を投げかけます。
この男は、実はジョーがかつて加わった脱獄事件に関係があり、その一味が麻薬を運ぶために、ジョーの船が必要だと言って来ます。
一味のボスのロス(ジェームズ・メイソン)は、先手をとってジョーの妻と娘を人質にしますが、ジョーは家族の危機に苦悩しながらも、彼らと敢然と戦い、妻子を守るという、いかにもタフガイ、ブロンソンにぴったりのはまり役を好演しています。
娯楽映画の職人監督テレンス・ヤングは、「暗くなるまで待って」で盲目のオードリー・ヘップバーンを危機に追い込むサスペンス映画の傑作を撮っていましたが、この映画では、昔の仲間に人質として奪われた妻と娘を、悪戦苦闘しながら救い出すヒーローを、ブロンソンの個性をうまく活かして、スリルとサスペンスのツボを押さえた、うまい演出を見せていると思います。
プロンソンのトレードマークの”口ひげ”、黒いTシャツに青いズボン、白いスポーツ・シューズというラフなスタイルと、身軽な体のこなしなど、まさにブロンソンの魅力がいっぱい詰まっています。
ブロンソンが最も脂が乗りきって、快調にスター街道を突っ走っていた頃の作品だけに精彩があり、生き生きとしたアクション演技を見せていたと思います。
そして、この映画で特筆すべきなのが、ブロンソンの妻役として、世界的な芸術監督のイングマール・ベルイマン監督の映画の常連で、数々の演技賞に輝く、「叫びとささやき」「秋のソナタ」などの演技派の名女優リヴ・ウルマンが出演している事です。
リヴ・ウルマンが彼女のフィルモグラフィーの中で、このようなアクション映画に出演するのは、非常に珍しく、そういう意味でも、この映画はリヴ・ウルマンの熱烈なファンとしては、実に貴重な作品と言えます。
また、悪役として出演している、イギリスの名優で、かつて007ジェームズ・ボンドシリーズの原作者イアン・フレミングが、ジェームズ・ボンドを演じる俳優として強力に推薦したという、ジェームズ・メイソンが、憎々しい悪役を渋く演じていて、彼が登場して来るだけで、画面が引き締まってくるから不思議です。