完全なる飼育 etudeの紹介:2020年日本映画。ノンフィクション作家・松田美智子の「女子高校生誘拐飼育事件」を原作とするエロティックドラマのシリーズ第9弾です。これまで男が女を「飼育」してきた歴代シリーズ作とはうって変わり、今回は女が男を「飼育」するという衝撃作となっています。元宝塚の月船さららと『仮面ライダーセイバー』の市川知宏がダブル主演を務め、シリーズの常連である竹中直人も出演しています。
監督:加藤卓哉 出演者:月船さらら(小泉彩乃)、市川知宏(篠田葵)、金野美穂(大原早苗)、寺中寿之(落合茂)、永井すみれ(今村直子)、松井るな、竹中直人(後藤田義政)ほか
映画「完全なる飼育 etude」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「完全なる飼育 etude」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
完全なる飼育 etudeの予告編 動画
映画「完全なる飼育 etude」解説
この解説記事には映画「完全なる飼育 etude」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
完全なる飼育 etudeのネタバレあらすじ:起
とある街の小さな劇場では、新作舞台『完全なる飼育』の公演初日をあと2日後に控えていました。この舞台を手掛けるのは、女性舞台演出家の小泉彩乃(月船さらら)。
彩乃は元々イギリス演劇界で名を馳せたのちに日本に凱旋帰国、前衛的な作風で日本演劇界の寵児として活躍してきましたが、ここ数年はすっかり観客動員数も伸び悩み、出演者を極限までサディスティックに追い込む厳しすぎる演技指導も俳優たちからは敬遠されていました。
彩乃は竹牢のセットが組まれたステージを前に苛立ちを隠せませんでした。実は彩乃の演出についていけなくなった主演の俳優が突如として降板、彩乃はすぐさま代役を決めるオーディションを開いたのですが、誰一人として適任者は現れませんでした。さすがの彩乃も遂に舞台を中止にしようかと諦めかけていました。
その時、「まだオーディション、間に合いますか?」と一人の男・篠田蒼(市川知宏)が彩乃の元に駆け込んできました。篠田は彩乃の大ファンだといい、ぜひともこの舞台で演技がしたいのでオーディションを受けさせて欲しいと懇願してきました。
彩乃はどうみても演技が上手そうではない篠田を追い返そうとしましたが、篠田は突然舞台に駆け上がったかと思うと『完全なる飼育』の主人公・安次郎のセリフを言い始めました。
完全なる飼育 etudeのネタバレあらすじ:承
さすがの彩乃も篠田に興味を持ちながらも、なお舞台は中止にする考えを崩していませんでした。篠田はそれでいいのかと彩乃に問いかけ、彩乃の久しぶりの新作の主演というまたとないチャンスを逃したくないと訴えました。
出演させてくれるなら何でもするという篠田の気迫に押された彩乃は、試しに裸になって3回回って「ワン!」と吠えるよう注文しました。篠田は一瞬戸惑いながらも意を決して言われた通りにし、彼の熱意を買った彩乃はしばらく演技を見てあげることにしました。
こうして篠田は主役として彩乃の熾烈な舞台稽古を受けることとなりました。『完全なる飼育』の舞台は江戸時代、藩主の娘であるヒロイン・菊姫を貧しい鍛冶職人の安次郎が拉致、監禁しているうちに二人の間には奇妙な恋愛感情が芽生えるというものでした。
彩乃は刀を持って逃亡する安次郎役の篠田の歩き方ひとつさえも「何かが足りない」と怒号を浴びせ、安次郎が人を殺す場面では緊張感を持たせるために自らの手を刃物で傷つけ、その血塗られた手を篠田の口に突っ込んで「もっと狂えよ」と挑発してきました。彩乃は自分の血の臭いにむせ返る篠田を見て、「それ、いいね。初めての殺しで血の臭いにむせる安次郎。これ使おう」と言い出しました。
それからも彩乃の容赦ない指導は続き、心の底から湧き上がる怒りを表現すべく、わざと篠田を殴って怒らせたり、菊姫を演じる大原早苗(金野美穂)との絡みにまで厳しく指導していきました。
完全なる飼育 etudeのネタバレあらすじ:転
物語の流れは、安次郎は妻の仇である菊姫を捕らえて竹製の牢に閉じ込め、自分の思い通りの女にするためにいたぶり辱めながら“飼育”するというものです。最初のうちは早苗を気遣いながらの演技をする篠田でしたが、彩乃はビンタひとつにしても情け容赦なくするよう迫り、安次郎が菊姫を強姦するシーンも本気でやるよう命じました。
舞台稽古もいよいよ大詰めを迎え、クライマックスシーンの演出となりました。これは安次郎がはたして本当に菊姫を自分のものにしたのかを試すシーンであり、安次郎は自分の首を縄にかけて台に上がるという危険を伴うものでした。もし菊姫が安次郎の女になったならば縄を解き、そうでなければ足元の台を取るであろうこのシーン、菊姫役の早苗は何もためらうことなく足元の台を取ってしまいます。
首を絞められた篠田はもがき苦しみ、早苗はそれを見て大笑いしました。もはや演技なのか現実なのかの境が全くわからなくなった極限状態の中、篠田は縄が切れたことで何とか九死に一生を得ました。
篠田の生死を賭けた気迫に改めて圧倒された彩乃は、やはり舞台は中止にしようと言い出しました。篠田はなおも舞台を続けるよう説得しますが、彩乃が一瞬の隙を見せたその時、豹変したかのように彩乃に襲いかかってきました。
完全なる飼育 etudeの結末
気を失った彩乃が目覚めたのは舞台の上でした。何が起こったのか未だに理解できないでいる彩乃に、篠田は彩乃こそが菊姫だと言い放ちました。物語の菊姫は城の中にいても誰一人として自分を理解してくれる者はおらず、彼女が救いを求めた先が安次郎だったのです。篠田は続けて、厳しすぎる指導からすっかり俳優たちから嫌われる存在となった彩乃もまた、実は観客に救いを求めていたのだと指摘しました。
もはや二人の立場は完全に逆転しており、篠田はまさに勝ち誇ったかのように舞台に寝転がっている彩乃を見下ろしました。そして篠田の口から告げられたのは、彩乃の指導に耐えきれずに自殺した俳優がこれまで何人もいたこと、何と篠田の恋人も自殺した俳優のひとりであることを暴露しました。
篠田は実際に自分自身も彩乃の地獄のような演出を受けてみて初めて死んだ恋人の気持ちが分かったこと、そして芝居の面白さも理解できたということを語り、それでもなお篠田の恋人の死を認めようとしない彩乃を羽交い絞めにすると「本当の気持ちを言ってくれ」と告げました。
彩乃は泣きながら死んだ篠田の恋人に謝り、篠田は「僕はあなたを許す」と声を絞り出すかのように言うと、本能の赴くままに彩乃を抱きました。
以上、映画「完全なる飼育 etude」のあらすじと結末でした。
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