バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。の紹介:1988年フランス映画。犬の視点で人間の闇を描く異色のサイコ・サスペンス。独居老人ドヴィルの家で暮らすブルテリア犬のバクステールは、偏屈で退屈な彼女を嫌っていた。向かいに住む若い夫婦に引き取られたいと思ったバクステールは、ドヴィルを階段から落として殺害してしまう。晴れて若夫婦に引き取られたものの、夫妻に赤ん坊が誕生すると彼らも理想の飼い主ではなくなった。赤ん坊を殺害しようとして失敗したバクステールは、今度は1人の少年に引き取られる。バクステールは、彼こそが待ちわびていた飼い主だと期待するのだが。
監督:ジェローム・ボワヴァン 出演者:リーズ・ドラマール(マルグリット・ドヴィル)、ジャン・メルキュール(アンドレ・クッツォ)、ジャック・スピエセル(ミシェル・フェレール)、フランソワ・ドリアンクール(シャルル)、カトリーヌ・フェラン(フロランス・モレル)ほか
映画「バクステール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「バクステール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
バクステールの予告編 動画
映画「バクステール」解説
この解説記事には映画「バクステール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
バクステールのネタバレあらすじ:ブルテリア犬の独白
1980年代のフランス。ブルテリア犬のバクステールは、常々人間と一緒に暮らしたいと考えていました。彼らの不思議な行動を理解し、学びたいと思っていたのです。
そんな彼の初めての飼い主は、1人暮らしの老婦人マルグリット・ドヴィルでした。彼女の娘夫婦が誕生日にプレゼントしたのです。犬を飼ったこともないドヴィルはバクステールを持て余し、怯えている様子でした。そんな彼女をバクステールも嫌いましたが、表向きは従順なペットの振りをします。ドヴィルはバクステールに何も命令せず、してもつまらないことばかりで、バクステールにはそれも不満でした。
そんなある日、道路の向かい側の家に若い夫婦が越してきます。明るく官能的な妻に対し快楽を覚えたバクステールは、以降夫婦の夜の営みを感じ取り想像することが楽しみになりました。ところが誤って階段から落ちたドヴィルが怪我をしてしまい、それがきっかけで彼女は家に引きこもるようになります。
ドヴィルはバクステールを溺愛し、常に一緒にいようとしました。庭に出ることも、向かいの家を見ることも禁止されたバクステールは苛立ちを募らせます。そしてある日、バクステールはドヴィルを階段から落として殺害しました。
バクステールのネタバレあらすじ:幸せな日々とその終わり
ドヴィルにアプローチを続けていた老人アンドレ・クッツォが彼女の遺体を発見し、葬儀が行われました。ドヴィルの娘フロランス・モレルは母と不仲だったこともあり、バクステールを引き取ろうとしません。フロランスの頼みもあり、バクステールは向かいの若夫婦に引き取られることになりました。
バクステールは大喜びし、しばらくは幸せな日々が続きます。しかし夫妻に赤ん坊が誕生したことで、幸せに亀裂が入りました。妻は赤ん坊にかかりきりでバクステールを構わなくなり、夫の心は少しずつ妻から離れていきます。バクステールは夫妻に裏切られたと感じ、2人の目を盗んで赤ん坊を庭の池に落としました。
死んだと判断し何度も吠えると、夫妻が慌てて駆けつけます。バクステールの目論見は失敗し、赤ん坊は無事に助かりました。夫妻はバクステールに感謝しますが、妻は同時に恐怖も感じます。自分を怖がるようになった彼女にバクステールは失望しました。
そして理想の飼い主に思いを馳せます。「いつか僕のような人間に会えるだろうか」「愛も恐怖も知らない人間に」と。
バクステールのネタバレあらすじ:理想の飼い主
やがて若夫婦はバクステールを手放す決断をしました。次に飼い主になったのは、シャルルという名のまだ幼い少年です。バクステールはまた誕生日プレゼントになりました。シャルルは今までの飼い主と違い、バクステールを可愛がることも恐れることもありません。常に厳しく命令し、バクステールを支配しました。
命令され従順になることに、バクステールは初めての快感を覚えます。シャルルはヒトラーに傾倒し、スクラップ置き場に地下壕に似せた秘密基地を作っていました。そこでバクステールに厳しい訓練を課し、軍用犬と同じように育てます。
そんなある日、スクラップ置き場でシャルルは1人の少女に出会いました。ヒトラーの妻エヴァ・ブラウンにどこか似ている彼女とシャルルは惹かれ合います。一方のバクステールは、少女の飼い犬が発情期だったこともあり、シャルルの前で思わず交尾してしまいました。欲望に勝てなかった自分を恥じたバクステールは、強さをシャルルに証明しなければならないと考えます。
バクステールはスクラップ置き場に現れた野良犬と戦い、相手を噛み殺しました。シャルルは「いい子だ」とバクステールを撫でます。しかしそこには僅かな恐怖が生まれていました。
バクステールのネタバレあらすじ:新しい命
やがて少女の飼い犬がバクステールの子どもを出産しました。少女の父親が激怒しているため、子犬達はシャルルが秘密基地で預かることにします。バクステールは子犬を自分の子どもだと理解出来ていないようでしたが、本能的に彼らを守らなければと感じました。
そんなある日、シャルルのクラスメイトが秘密基地に侵入します。シャルルはバクステールに、クラスメイトを殺せと命令しました。しかしバクステールは動きません。理由の無い殺しはしないのです。その隙にクラスメイトは逃げ出し、激怒したシャルルはバクステールを何度も痛めつけました。バクステールはシャルルのことを信用出来なくなります。
それから3日間水も食べ物も与えられなかったバクステールは、ついに逃げ出すことを決意しました。ふと、バクステールはスクラップ置き場の土の下から自分と同じ匂いを感じ取ります。急いで掘ってみると、子犬達の死体が埋められていました。土にシャルルの匂いが残っています。バクステールは、シャルルが子犬達を殺したのだと気付き怒りに震えました。
バクステールの結末:シャルルの命令
スクラップ置き場にやって来たシャルルは、寄って来ないバクステールに怒りを覚えます。苛立った彼はバクステール目掛けて斜面の上からゴミを投げつけました。するとシャルルは足を滑らせ、バクステールのところまで落ちてしまいます。
バクステールは殺意を顕にしてシャルルに牙を剥こうとしました。しかし恐怖に引きつったシャルルの命令に体は従ってしまいます。バクステールが大人しくなると、シャルルは棒で何度も何度もバクステールを殴りました。
やがてバクステールが絶命した頃、シャルルの両親が駆けつけます。シャルルは父親にすがりつき、バクステールに殺されそうになったと訴えました。心配する両親に連れられ、シャルルはその場を後にします。
シャルルを案じる両親ですが、上手くいっている訳ではありませんでした。父親はシャルルの担任教師と浮気しており、家族の会話はめっきり減っています。シャルルはドヴィルの家に侵入し、2階の窓から若夫婦の家を繰り返し覗いていました。
もし両親が死亡したり、家が火事になったりした時は、きっと自分のことは若夫婦が愛してくれるだろうと考えます。彼らはバクステールのことすら愛してくれたのだからと。シャルルが向かいの家を見つめ続け、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する