クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男の紹介:2021年イギリス, アメリカ映画。スコットランドで生まれ育った青年、アランはロックスターになることを夢見ていたが、保守的な父親と衝突してばかり。地元の友人とロンドンに飛び出したアランは仲間とクリエイション・レコーズを設立した。レーベル運営はトラブル続きだったが、アランの才能により次々と人気バンドを世に送り出し、クリエイションはイギリスを代表するレーベルに成長した。しかし、運営のプレッシャーや家庭問題から次第にアランは追い詰められていく。1990年代にロック・シーンを席巻したブリット・ポップ。その中心にいたオアシス、プライマル・スクリーム、ティーエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなど人気バンドを送り出し、「世界で最も成功したインディーレーベル」と言われたクリエイション・レコーズを設立したアラン・マッギーの自伝を原作とした作品。
監督:ニック・モラン 出演:ユエン・ブレムナー(アラン・マッギー)、スーキー・ウォーターハウス(ジェマ)、ジェイソン・フレミング(キング・タッツの店長)、トーマス・ターグーズ(ディック・グリーン)、マイケル・ソーチャ(ジョー・フォスター)、メル・レイド(エド・ボール)、ジェイソン・アイザックス(ラルフ)、レオ・フラナガン(青年期のアラン・マッギー)ほか
映画「クリエイション・ストーリーズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クリエイション・ストーリーズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「クリエイション・ストーリーズ」解説
この解説記事には映画「クリエイション・ストーリーズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男のネタバレあらすじ:起
アラン・マッギーは悪夢に襲われていました。
ここはイギリスから米国LAへ向かう飛行機の中。クリエイション・レコーズの創設者として華々しい成功を収め名声を手にしたはずのアランでしたが、その表情はなぜか鬱々としていました。何が自分をここまで追い込み、不安な気持ちにさせるのか。それすら分からず漠然とした暗闇を浮遊しているようでした。
LAについたアランはホテルの部屋でコカインをキメると、取材を待つ音楽ライターのジェマの前へと現れました。
ゆっくりと自分の半生について語り始めたアラン。
それはロックをひたすら愛したがゆえに、波乱に飲み込まれてしまった男の人生でした。
クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男のネタバレあらすじ:承
アランはスコットランドのグラスゴーで生まれ育った内気な青年でした。夢はマーク・ボランやデヴィッド・ボウイのようなロックスターになること。TVで流れていたセックス・ビストルズにどっぷり感化されバンドをやることを決意しました。
しかし保守的で気が荒い父親はロックを毛嫌いし、パンクメイクをするアランに暴力をふるいました。母親だけがアランの味方でした。
そんなある日、アランはロック好きなふたりの青年ボビー・ギレスピーと、アンドリュー・イネスと出会います。ロック魂に火がついたアランはイネスとロンドンへ引っ越し、ラフィン・アップルというバンドを結成して音楽活動をスタートさせました。
しかし、音楽だけでは食べていくことができず、アランは鉄道会社へ就職して恋人のイヴォンヌと結婚。仕事で稼いだ金を軍資金にファンジンと呼ばれるファンマガジンを発行してクラブを始めました。
そして、クラブに出演していたテレヴィジョン・パーソナリティーズに出会うと、バンドを売り出すことに興味を持ち始めます。
やがて、テレヴィジョン・パーソナリティーズのメンバー、ジョー・フォスターをはじめとする友人たちとクリエイション・レコーズを設立しました。
クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男のネタバレあらすじ:転
自ら演じるよりアーティストのマネージメントや裏方のほうが向いていることに気付いたアランは、ジーザス&メリーチェインの売り出しに成功しました。レーベルはみるみる発展していき、旧友のボビーが結成したバンド、プライマル・スクリームがロックとダンス・ミュージックを融合させた「スクリームマデリカ」を発表すると、クリエイションはイギリスを代表とするレーベルとなっていきました。
1990年代に入るとエレクトロニクスを多用したアシッド・ハウスが流行。アランはハウスやドラッグに夢中になり、レーベルのオフィスでは毎日にようにパーティが繰り広げられました。レーベル経営は常に綱渡り状態。さらにはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが「ラブレス」の制作に大金を費やしたことが引金となり、破産寸前まで陥っていました。
そんな中、実家のグラスゴーからロンドンに戻る途中、列車に乗り遅れたアランがふらりと立ち寄ったクラブ、キング・タッツである無名のバンドが演奏をしているのを聴いて衝撃が走りました。そのバンドはオアシス。アランは彼と即サインを交わします。全てをかけてオアシスを売り出し、オアシスは瞬く間にブリット・ポップの頂点へと昇り詰めました。
オアシスのブレイクによりレーベルは息を吹き返し、金も名声も手に入れたアランでしたが、その一方で、最愛の母の死や結婚生活の崩壊、レーベル経営のプレッシャーからは逃れるこができず、ありとあらゆるドラッグに身を沈めていきました。そして、ついにLAのホテルで錯乱し倒れてしまいます。
クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男の結末
人への恐怖から一歩も外へ出ることができなくなったアランを仲間や家族が支えました。そんな時、労働党という新たな世界への挑戦が彼を奮い立たせます。セックス・ビストルズの仕掛け人であるマルコム・マクラーレンのロンドン市長立候補を全面的に支え、再びロック魂が戻って来たかに思えました。
しかし、近づくほどに見えてくる組織の闇の一面。アランの政治への関心はマクラーレンの立候補辞任とともに失ってしまいました。
その後、トークショーに出演したアラン。彼を待つのは、以前LAで彼を取材したジェマ。当時駆け出しだった彼女は、様々な大物アーティストへの取材で成功を収め、番組を持てるまでになっていました。トークショーは、アランがいくつかの質問に答えたあとに、彼の功績を紹介する内容のはずでした。
しかしVTRが回ると「クリエイションはどこで誤ったのか」とアナウンスが流れ始めます。アランを非難するようにも取れる内容に彼は取り乱していきます。「今すぐ止めてくれ!」そう叫ぶアランでしたが、カメラは回り続けます。しかし、ふとアランは冷静になります。
「すまない。続けてくれ」
成功と破滅の先に立ったアランは気付きました。
自分を支配する大きな権力への反抗心こそが、自らを成功に導いたということに。そしてその大きな権力の中心にあったのは、父親の存在だったのです。
後日、アランは実家を訪れました。息子が帰ってきたことに気付かない父親はヘッドフォンで音楽を聴いていました。そしてオアシスの曲を口ずさんでいたのです。ずっと音楽を否定し続け息子を認めなかった堅物の父親の初めて見る光景でした。アランはテーブルにそっと父の日のメッセージカードを置くと、何も言わずに家をあとにしました。
以上、映画「クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男」のあらすじと結末でした。
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