ミストの紹介:2007年アメリカ映画。平和な田舎町が突然謎の濃霧に包まれた。霧の中から現れる未知の怪物に人間は次々襲われていく。異常事態に突き落とされた住人達はやがて秩序や判断力を失い、人間同士の争いにまで発展してしまう。あまりにも救いの無いラストが話題を呼び、公開当初から現在に至るまで注目を集め続けるSFパニックホラー。
監督:フランク・ダラボン 出演者:トーマス・ジェーン(デヴィッド・ドレイトン)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(ミセス・カーモディ)、ローリー・ホールデン(アマンダ・ダンフリー)、アンドレ・ブラウアー(ブレント・ノートン)、トビー・ジョーンズ(オリー・ウィークス)、ネイサン・ギャンブル(ビリー・ドレイトン)ほか
映画「ミスト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミスト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ミスト」解説
この解説記事には映画「ミスト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミストのネタバレあらすじ:謎の濃霧
舞台はアメリカのとある田舎町。激しい嵐に襲われ、自宅で仕事をしていたデヴィッド・ドレイトンは妻ステファニーと息子ビリーを連れ地下室に避難しました。翌朝、外に出てみると町全体が大きな被害を受けていました。湖の向こうには異様なほど濃い霧が立ちこめています。デヴィッドは食料等を調達するため、車でスーパーマーケットへ向かうことに。同行者はビリーと、普段からあまり折り合いの良くない隣人ブレント・ノートンです。店は大勢の客でごった返していました。その内にパトカーや救急車が通り過ぎ、周囲は次第に物々しい雰囲気に。すると鳴り響くサイレンを背に、鼻血を出した男が「霧の中に何かいるぞ!」と叫んで店に駆け込んで来ました。その「何か」に人間が襲われているというのです。男の警告を無視した数人が外に出ると、もうもうと広がる濃霧が周囲を包みました。霧の中へ消えた人間の悲鳴が響き、強い揺れが一帯を襲います。店内に残り様子を見ることにした買い物客達。ところが、1人の女性が家で留守番をしている子どもが心配なので、誰か家まで送ってくれと言い出します。応じる人間は誰もいません。失望した彼女は制止も聞かず、霧の向こうへ歩いていきました。デヴィッドは不安の中泣き出すビリーを抱きしめます。
ミストのネタバレあらすじ:霧の中の怪物
デヴィッドは毛布を探して倉庫に足を踏み入れました。煙を上げる発電機を停止させると、暗闇の中で物音がします。外から何かがシャッターを押し破ろうとしているのです。デヴィッドは慌てて店内に戻り、店員のオリー・ウィークスを始め数人に今の出来事を話しました。倉庫に入った数人の男達は発電機の不具合を直すためシャッターを開けようとします。デヴィッドは制止しますが、男達はデヴィッドを臆病者と嘲笑しシャッターを開けてしまいます。すると隙間から霧と共に謎の触手が侵入し、シャッターを開けた青年ノームに襲い掛かります。触手の内側に生えているトゲがノームの肉を抉ります。何とか助けようとしましたが、ノームは霧の中へ連れ去られてしまいました。シャッターを閉めた後の倉庫内には、斧で叩き落とした触手の一部が残っています。デヴィッド達は霧の中の怪物について他の客にも知らせ、協力してバリケードを築きました。
ミストのネタバレあらすじ:怪物との戦い
狂信的なことで有名なミセス・カーモディが、これは神罰で今夜怪物が襲いに来ると喚き散らします。そんな彼女を白眼視する買い物客達。特に未だ怪物の存在に懐疑的なノートンは、ここから脱出すべきだと提案します。数人がそれに賛同し、説得出来ないと悟ったデヴィッドは彼らの内1人の腰にロープの一端を巻きつけます。どこまでが安全な距離なのか確かめようとしたのです。ノートン達は霧の中へ消えていきます。しばらくは順調に進んでいたロープが突然止まり、直後に凄まじいスピードで引っ張られます。何とかロープを止めようと奮闘するデヴィッド達。やがて反応の無くなったロープを引き戻すと、男の下半身だけが戻って来ました。恐怖に震える町に日没が迫ります。電気が復旧しないので、別バッテリーで照明を作りました。すると店のガラスに奇妙な虫が張りつきます。その見たこともない巨大な虫は、光に吸い寄せられるように次々と集まって来ます。更に鳥のような生き物まで現れ、衝突されたガラスにはヒビが入ります。緊張が最高潮に達した店内に、ついにガラスを破って未知の生命体が侵入しました。パニックになる買い物客。オリーが銃で、デヴィッドはモップに火をつけて応戦し、何とか怪物を撃退します。恐怖と混乱から、カーモディに賛同する人間が現れ始めました。
ミストのネタバレあらすじ:失われた秩序
怪物の襲撃で死亡者や怪我人が続出しました。デヴィッドは負傷者を助けるため、数人の有志と一緒に隣にある薬局へ薬を取りに行きます。静まり返った薬局内では、人間の遺体が蜘蛛の糸で吊るされていました。まだ息のあるMPを発見し救出しようとすると、彼はしきりに謝罪の言葉を口にします。苦しむ男の体内から無数の蜘蛛が這い出します。更に巨大な蜘蛛も現れ戦いが始まりました。命からがらスーパーマーケットへ戻ったデヴィッド達でしたが、犠牲者を増やしただけの結果に終わりました。MPの謝罪が気になったデヴィッド達は、軍が何か事情を知っているのではと考え、店内にいた軍人から話を聞き出そうとします。カーモディの信者達に脅された軍人は「アローヘッド計画」について話し始めました。米軍は別の次元について研究しており、何らかの事故でその異次元と世界が繋がった結果怪物が現れたのではないかと説明します。カーモディに扇動された信者達は軍人をナイフで刺し、贖罪と称して彼を外に放り出してしまいます。デヴィッド達は必死に止めようとしましたが、軍人は皆の目の前で怪物の餌食になりました。その夜、ビリーは「怪物に僕を食べさせないで」と懇願し、デヴィッドは固く約束するのでした。
ミストの結末:惨劇の後の地獄
夜が明け、デヴィッド達はカーモディに支配されたスーパーマーケットからの脱出を図ります。しかしそれを見越していたカーモディと信者達に囲まれ、怪物への生贄としてビリーを差し出せと脅されます。当然拒否するデヴィッド達との間で乱闘が起こります。皆を守るため、オリーがカーモディを射殺。そのまま外に走り出した一行はデヴィッドの車を探しますが、オリーを始め数人の仲間が怪物の犠牲になってしまいます。車に乗り込めたのはドレイトン親子を含め5人だけ。ゆっくり車を発進させたデヴィッドは自宅に向かい、怪物の犠牲となったステファニーの遺体を発見します。嘆き悲しむデヴィッドでしたが、霧を抜けられるかもしれない希望にかけて車を進めます。怪物が闊歩する町は荒れ果て、生存者も見当たりません。そしてついにガソリンが尽き、大人達は生還を諦めました。脱出の際拾ったオリーの銃の残弾は4発。ビリーとの約束を胸に、デヴィッドは車中の4人を射殺します。そして外に飛び出し、怪物に向かって自分を襲えと喚きます。声に応じるように霧の向こうから現れたのは、米軍の戦車でした。呆然とするデヴィッドの横を、避難者を乗せたトラックが通り過ぎます。子どもが心配だからとスーパーマーケットから出て行った女性も子どもと一緒に救助されていました。怪物が駆除される中デヴィッドは座り込みます。ほんの少しタイミングが違っていれば、ビリー達は死なずに済んだのです。愛する息子を手にかけ、しかも自分だけが生き残ってしまった絶望にデヴィッドは絶叫します。町を覆っていた霧が晴れ、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画ミストのあらすじと結末でした。
「ミスト」感想・レビュー
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霧の中に怪物が現れるという映画です。怪物は最後まで正体不明で、外部に出るのを恐れる人間たちの疑心暗鬼を描いています。危機的状況でこそ人の本質は現れるというか、胸糞悪いキャラクターが非常に多かったです。ラストも後味が悪いというか決してハッピーエンドではなく、だからこそ考えさせられる映画だと思います。色々と言われることもありますが、個人的には悪くなかったです。
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この映画は世界で一番後味の悪い映画だと思います。しかし、この映画はビリーを殺してしまうときから、とても気分が上がります。そこからだけでも見たほういいです。
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想像を絶する結末を迎える映画です。
あまりにも救いようのないラストに、見終わった直後はこれまでに味わったことのない後味の悪さを感じます。
しかし、なぜ主人公がこのような結末を迎えたのかを考えてみると、主人公達が行った行動は本当に正しかったのかわからなくなります。
映画を見ている間はどう考えても主人公達が正義であり、狂信者のカーモディ達は悪だと感じていました。ただ、映画の結末から振り返ると、主人公達の行動は皮肉にもすべての犠牲の要因ではなかったのではないかとも思えるのです。
それでも、主人公の行動から学べることがあるのだとしたら、決して自らの手で希望の道を断ってはならないということではないかと思います。
人によっては賛否が分かれる映画ですが私は大好きです。謎の化け物に襲われるということだけでなく、非日常によって人間の内面までが暴かれるさまが見事です。普段なら絶対信じないような迷信でも非日常的な状況なら簡単に信じてしまうところがこの作品の良さだと思います。作品のラストについても非常に大好きです。詳細は伏せますが、よくある洋画作品では絶対にやらない結末です。特にキリスト教圏ではタブーとなっていることだけに主人公のとった行動が「それ見たことか」と教訓じみて描写されていることも原作者が称賛しただけあり素晴らしいです。