昼顔の紹介:1967年フランス映画。ジョゼフ・ケッセルの原作を元に鬼才ブニュエルが主婦売春という題材を扱った問題作。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。ブニュエル晩年の、フランス製作作品の中でも傑作となった。
監督:ルイス・ブニュエル 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(セブリーヌ)、ジャン・ソレル(ピエール)、ジュヌヴィエーヴ・パージュ(アナイス)、ミシェル・ピッコリ(アンリ)、フランソワーズ・ファビアン(シャルロット)、ほか
映画「昼顔(1967年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「昼顔(1967年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「昼顔(1967年)」解説
この解説記事には映画「昼顔(1967年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
昼顔のネタバレあらすじ:起
田舎の並木道を進んでくる馬車。そこにはピエールとセブリーヌの若い夫妻が乗っています。仲睦まじく話をしていた彼らですが、突然ピエールが凶暴になり、セブリーヌを森の奥へ連れてゆき、縛り上げます。そして御者2人に背中を鞭打たせ始めるのです。しかも御者の1人は彼女をレイプし始めます。
昼顔のネタバレあらすじ:承
そこでカットが変わり、夫婦の寝室へ。今までのことは全てセブリーヌの幻想だったことが分かります。彼女には性的欲求不満がありました。やがて雪山にスキーに行った2人は、友人のアンリとその夫人と会います。セブリーヌはアンリが自分を見る様子が気に入りません。その時は何事もなくパリに戻る2人。友だちのルネに会ったセブリーヌは、彼女たち共通の友人である女性が今売春宿で働いていることを知ります。そしてテニスクラブで再びアンリと会った彼女は、彼からその売春宿の住所を知らされます。
昼顔のネタバレあらすじ:転
衝動に駆られるまま、その住所を訪ねるセブリーヌ。女主人アナイスと話がつき、早速そこで働くことになります。酔っぱらいのだらしない中年男がその最初の客でした。嫌悪感から最初は部屋を出てしまうセブリーヌですが、やがてその嫌悪感が快感に変ってゆきます。二重生活の始まりでした。2度目の客はマゾヒストで、セブリーヌは別の娼婦に変わってもらい、そのプレイぶりをのぞき穴から見ます。彼は女に足で踏みつけられて快感を得ていました。次の客は逞しい体つきの東洋人。セブリーヌは彼とは寝ました。
昼顔の結末
こうして主婦と娼婦という2つの役割をセブリーヌは問題なくこなしてゆくのですが、やがて破局が訪れます。若いチンピラのマルセルが客となり、セブリーヌに惚れてしまったのです。彼の執着心に恐れを感じ、セブリーヌは娼婦をやめます。しかし、彼女の家を突き止めたマルセルは夫のピエールを狙撃。自らは警察に追跡されて死にます。病院に運ばれたピエールは何とか命をとりとめますが、下半身不随でほとんど植物人間に等しい状態に。セブリーヌはそんな彼の世話を甲斐甲斐しく焼くのでした。
最近製作された上戸彩主演の邦画ではなく鬼才ルイス・ブニュエル監督お決まりのフランスブルジョア家庭の裏側をアイロニーたっぷりに描いた作品。実姉フランソワーズ・ドレアックが情熱的で人間らしい魅力を持っているのに対し、カトリーヌ・ドヌーヴは端正すぎる容姿からかどこか人工的でまるで人形のようで、その妖しい魅力が倒錯した本作にとてもうまく効果している。