誰よりも狙われた男の紹介:2013年アメリカ,イギリス,ドイツ映画。ドイツの諜報機関に所属するギュンター・バッハマンはイスラム過激派として指名手配されている密航者を、重要な情報提供者を得るために利用する。全ては「世界を平和にする」ためだった。ジョン・ル・カレ原作の、ハンブルクを舞台とするほろ苦い結末のスパイ映画。主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの生前にプレミア公開されたが、一般劇場公開は彼の没後になった。
監督:アントン・コービン 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン(ギュンター・バッハマン)、レイチェル・マクアダムス(アナベル・リヒター)、ウィレム・デフォー(トミー・ブルー)、グリゴリー・ドブリギン (イッサ・カルポフ)、ホマユン・エルシャディ(アブドゥラ博士)、ニーナ・ホス(イルナ・フライ)、ダニエル・ブリュール(マキシミリアン)、ロビン・ライト(マーサ・サリヴァン)そのほか
映画「誰よりも狙われた男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「誰よりも狙われた男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
誰よりも狙われた男の予告編 動画
映画「誰よりも狙われた男」解説
この解説記事には映画「誰よりも狙われた男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
誰よりも狙われた男のネタバレあらすじ:チェチェンからの密入国者
ドイツの港湾都市ハンブルクに、ロシアからの密入国者イッサ・カルポフが現れる。ギュンター・バッハマン率いるテロ対策チームの一員マキシミリアンが、イッサの存在に気づく。
父がロシア人、母がチェチェン人のイッサはイスラム過激派であるという容疑をかけられ、指名手配されていた。路上生活を経てイッサは、トルコ人レイラの買い物の荷物を運ぶのを手伝ったことがきっかけで、レイラと息子の青年メリクのアパートにやっかいになる。
ギュンターのチームはいち早くイッサの居場所を突き止めるが、あえて彼を泳がす。公安当局内でギュンターに批判的なモアはイッサの逮捕を主張するが、ギュンターや部下のイルナ・フライはイッサが過激派であるということについても疑っていた。
かつてベイルートにもっていた情報網をCIAのせいで失ったギュンターはアメリカを嫌っているが、ベルリンのアメリカ大使館から視察に来たCIA要員マーサ・サリヴァンはギュンターの方針を支持する。
メリクは旧知の人権派弁護士アナベル・リヒターをイッサに紹介する。ドイツへの亡命を希望するイッサの体に残るロシア人による拷問の跡を見て、アナベルは彼を信用する。
アナベルはイッサの依頼で銀行家のトミー・ブルーに接触する。イッサはトミーの父が2年前に死んだイッサの父に書いた手紙をもっていた。
イッサの父は組織犯罪で得た金の資金洗浄をトミーの父にまかせ、1000万ユーロを超えるその金は銀行の秘密口座にある。だがイッサはチェチェン人・イスラム教徒というアイデンティティーを強くもち、母をレイプして自分を生ませた父を憎んでいた。
誰よりも狙われた男のネタバレあらすじ:ギュンターの狙い
トミーはアナベルをホテルのロビーに呼び、イッサが身分を証明するある物をもってくればお金を下ろすことができると言う。だが、アナベルが去った後にロビーを出たトミーを、ギュンターたちが拉致する。
銀行に査察を入れると脅され、トミーはギュンターの協力者にされる。マイクロフォンを身体に忍ばせてイッサの本人確認のために、レイラとメリクのアパートを訪れるが、トミーはイッサの刑務所にいた前歴やパスポートをもたないことに難癖をつけ、イッサの父の金の引き渡しには同意しなかった。
ギュンターが本当に狙っているのは慈善事業家アブドゥラ博士。彼は高潔な人物だが、寄付金の一部がある海運会社に流れ、その金がテロリストの手に渡っているようだった。ギュンターは既にアブドゥラの息子で学生のジャマールを情報提供者に引き込んでいた。
アブドゥラの件についてCIAのサリヴァンは、ギュンターに一緒に組もうと呼びかけるがギュンターは断る。ギュンターはイッサとアブドゥラを結びつけることを思いつく。
誰よりも狙われた男のネタバレあらすじ:アナベル監禁
夜、トミーはアナベルが職場から出るのを待って声をかけ、イッサが預金を下ろすことに同意すると告げる。だがアナベルはトミーの急な翻意に疑問をもつ。そして別れ際の「身辺に気を付けた方がよい」ということばが気になる。
アナベルはイッサを誰も使っていないアパートに移し、髭もそらせる。レイラとメリクはイッサがアパートを去った後、モアの命令で逮捕される。
ギュンターは、いったんはイッサの行方を見失うが、間もなくアナベルを拉致する。監禁したアナベルをギュンターとイルナ・フライが代わる代わる説得する。抵抗したアナベルだったが、イッサを過激派として逮捕しようとする勢力からイッサを守るために、しぶしぶギュンターに協力することにする。
アナベルがイッサを隠れ家のアパートの屋上に導いてハンブルクの夜景を見せているうちに、ギュンターのチームは室内に盗撮・盗聴設備を整えた。
誰よりも狙われた男のネタバレあらすじ:大物に迫る
イッサはトミーの銀行の秘密口座にある父の汚い金には関心を失っていたが、ギュンターはアナベルに、金を得て善いことに使えばいいとイッサをだまさせる。
続いてトミーがアブドゥラを訪問する。ドイツで微妙な状況にある青年が、父の訳ありの遺産の一部がチェチェンの病院や学校に渡るという条件で寄付することを希望していると説明する。寄付額の大きさにアブドゥラは驚く。
翌日、ジャマールの運転する自動車でアブドゥラはハンブルクに行き、トミーのオフィスでトミー、アブドゥラ、アナベル、そしてイッサが一堂に会す。アブドゥラは慎重にイッサと二人きりで話して、イッサ本人の善意を確認してからトミーに寄付先のリストを渡す。
ギュンターとイルナはヘリコプターでベルリンに飛び、内務大臣主宰の会議でアブドゥラを情報源にして、もっと大物を釣りあげるという彼のプランを話す。イッサは放免すると言う。モアから批判が上がったがプランは承認される。
同席していたCIAのサリヴァンから情報源を長期的に使う意義を問われたギュンターは「世界を平和にする」と答える。それは以前、自分たちの仕事の意義についてギュンターに問われたサリヴァンが答えた言葉だった。
誰よりも狙われた男の結末:想定外の展開
秘密口座の金が下ろされ寄付が決定される日、アナベルはギュンターから受け取ったパスポートをイッサに渡す。代わりにイッサは母の形見をアナベルに与える。
ジャマールの運転で銀行に行ったアブドゥラは、イッサ、アナベル、トミーが見守る中、寄付する団体ごとの書類に次々とサインしていく。しかし、一つだけ送金先をギュンターの予想通り、アルカイダの隠れ蓑である海運会社に替えた。
後は、渋滞にはまって行けないと嘘をついたジャマールの自動車に代わって、ギュンターが運転するタクシーにアブドゥラを乗せ、拉致した彼を情報源に仕立てるはずだった。
ところがタクシーが公安当局の自動車にぶつけられ、アブドゥラとイッサが連行されてしまう。モアとサリヴァンの裏切りだった。
アナベルはうなだれ座り込み、部下たちはギュンターにかけることばもない。ギュンターは自動車で一人その場を離れるのだった。
以上、映画「誰よりも狙われた男」のあらすじと結末でした。
ギュンターがおじさんだけどかっこ良すぎる。
スパイ映画にしては派手なアクションとかもないけど思惑が交錯してリアルぽくてそこが面白い。
影で平和を作るおじさん達の生き様最高。