永遠(とわ)の語らいの紹介:2003年ポルトガル,フランス,イタリア映画。父親とのバカンスを過ごすために船旅についた母と娘、文明の痕跡をたどりながら、ある夜不思議な夕食の席へ招かれる。95歳の現役監督でポルトガルの巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラによる地中海文明を散策する旅。彼の人生観をギリシャやエジプトなどの美しい歴史的観光地の映像を通して描かれる。
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演:レオノール・シルヴェイラ(ローザ・マリア / 母)、フィリッパ・ド・アルメイダ(マリア・ジョアナ / 娘)、ジョン・マルコヴィッチ(ジョン・ワレサ船長)、カトリーヌ・ドヌーヴ(デルフィーヌ)、ステファニア・サンドレッリ(フランチェスカ)、イレーネ・パパス(ヘレナ)、ほか
映画「永遠の語らい」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「永遠の語らい」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「永遠の語らい」解説
この解説記事には映画「永遠の語らい」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
永遠の語らいのネタバレあらすじ:起・バカンスを楽しみにする母と娘
歴史学者のローザ=マリアと娘のマリア=ジョアナは、パイロットの夫とバカンスを過ごすためにインドのボンベイへ、ポルトガルから客船に乗っていく事にした。歴史学者のローザ=マリアは娘にエンリケ王子の話やバスコ・ダ・ガマの話を聞かせた。マルセイユ、セウタなど停泊地に降りてはその街に残る歴史を見て回った。ナポリでは少し足を延ばしてポンペイとヴェスヴィオ山、ギリシアではアクロポリスや古代の劇場、そしてイスタンブールではアヤ・ソフィアを見学した。
カイロでピラミッドとスフィンクスを見ながら、ローザ=マリアを娘に文明とは何か、そしてモーセの話を語って聞かせていると、俳優のルイス・ミゲルがやって来て、ナポレオン時代のエジプトの話しと、スエズ運河ゆかりのホテルへ彼女達を案内した。
永遠の語らいのネタバレあらすじ:承・バベルの塔とディナー
ある夜、食堂で夕食を取っていると、船長と、三人の女性が席に着いていた。彼女達は皆有名人で、フランス人の女優で独身主義者のデルフィーヌ、モデルだったイタリア人のフランチェスカ、舞台女優で歌手でもあるギリシア人のヘレナだった。アメリカ人の船長も含め、彼らはそれぞれ自分たちの言葉でしゃべり、理解しながら不思議な表現方法をしているとその会話を楽しんだ。
英語は文明の礎にはならなかったけど、今では世界を言語で世界を植民地化し、ギリシア人しか喋らないギリシア語は消えつつあるけれど、文明の発祥地としては永遠に語り継がれていく。永遠に続く文明は無いけれど、消えた文明は歴史の中に残る。けれど、アラブの原理主義者は無知さから多くの本を焼いた。アラブ世界と欧州には壁あり、欧州が常に先を行くばかりに、アラブ世界は自分達の宗教に頼るしかないと、悲しい人間の歴史だと語った。
彼らの食卓を娘のマリア=ジョアナは楽しそうだと言って見ていた。やがて、運河を抜けた船は紅海へ入った。
永遠の語らいのネタバレあらすじ:転・夕食への誘い
デッキでローザ=マリアが娘と話していると、彼らの話すポルトガル語に興味を持った船長に夕食に誘われた。ローザ=マリアはやんわりと断ったが、船長は気を悪くした風ではなかった。
イエメンのアデンのバザールで、ローザ=マリア娘に青いワンピースを買った。その夜、食堂で船長はマリア=ジョアナにバザールで買った人形をお土産に渡した。ローザ=マリアは彼らの不思議な会話の中に入ると、ヘレナがギリシア人もポルトガル人も世界を旅した民族で、ポルトガル語は遥かブラジルに渡り、一方ギリシア語は広がる代わりに欧州言語の語源として残っている言う話をした。船長が、ヘレナに歌を一曲歌ってくれるように頼み、快く引き受けたヘレナが歌っていると、船員がやって来て、船長を呼んだ。何を話しているかわからないまま歌は終わり、拍手と共に戻って来た船長もヘレナに拍手を送った。
永遠の語らいの結末:突然の旅の終わり
船長は食事の席に戻ると、寄港地でテロリストに時限爆弾をつけられているのが見つかった、解体が難しいので、船から避難してもらうように非常ベルを鳴らすので、部屋で救命胴衣を着てデッキで待機するように彼女たちに行って去って行った。その後、間を開けず非常ベルが鳴り下船指示が流れ食堂からは誰もいなくなった。
一度はマリア=ジョアナとデッキへ向かう列に並んだローザ=マリアだったが、マリア=ジョアナが人形を取りに船室へ戻ってしまう。彼女を連れて再びデッキに戻ると、夜の海に非常用のボートがすべて降ろされ、船に置き去りにされてしまっていた。船員の呼びかけで二人を残している事に気がついた船長は飛び込むように叫ぶが、間に合わず、目の前で船は爆発した。
以上、映画「永遠の語らい」のあらすじと結末でした。
永遠の語らいのレビュー・考察:永遠の中に残された母と娘
ローザ=マリアとマリア=ジョアナの母娘は、文明のあとを辿り、インドのボンベイに辿り着く前にその旅路を終えてしまった。彼らがたどった「文明」は全て滅び歴史として語り継がれている物ばかり。唯一異なるのが最後によったイエメンのアデンのバザール。その地に関しては、滅びた文明の話は出てこない。作中で言うところの「アラブ世界」は滅ぶことなく今も続いている。滅んだ文明を辿り終え、アラブ世界という新しい文化圏に入った途端に命を落としたのはなんとも皮肉に思えてならない。
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