愛と死の記録の紹介:1966年日本映画。『愛と死をみつめて』(1964年)のヒットを受けて企画された青春恋愛映画で、渡哲也と吉永小百合がダブル主演を務めています。原爆投下から20年以上が経った広島を舞台に、幼い頃に被爆した青年と若い女性との悲恋が描かれます。渡哲也はこの作品でブルーリボン賞の新人賞を受賞しています。
監督:蔵原惟繕 出演者:渡哲也(三原幸雄)、吉永小百合(松井和江)、中尾彬(藤井)、浜川智子(ふみ子)、垂水悟郎(和江の兄)、三崎千恵子(和江の母)、鏑木はるな(和江の義姉)、芦川いづみ(近所の娘)、佐野浅夫(岩井)、宇野重吉(恩師)ほか
映画「愛と死の記録」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「愛と死の記録」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
愛と死の記録の予告編 動画
映画「愛と死の記録」解説
この解説記事には映画「愛と死の記録」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
愛と死の記録のネタバレあらすじ:起
原爆投下から21年が過ぎた広島。中本総合印刷会社に勤める青年・三原幸雄(渡哲也)はバイクを運転していたところ、危うくレコード店で働く女性・松井和江(吉永小百合)を撥ねそうになり、和江の持っていたレコードを割ってしまいます。幸雄は同僚の藤井(中尾彬)から金を借り、レコードの弁償として和江に渡そうとしますが、彼女は受け取ろうとはしませんでした。
藤井には和江と同じレコード店で働くふみ子(浜川智子)という恋人がおり、藤井とふみ子は幸雄と和江を引き合わせてあげることにしました。藤井とふみ子は互いに申し合わせたうえで、幸雄と和江をそれぞれ自分の恋人だと嘘をついて紹介しました。
こうして知り合った幸雄と和江はたがいに惹かれ合うようになり、毎日のようにデートを重ねるようになりました。やがて二人はバイクで雨の中を旅行にでかけ、一度は幸雄の発言によって仲がギクシャクしかけたこともありましたが、それでも二人は急速に距離を縮めていきました。
愛と死の記録のネタバレあらすじ:承
やがて幸雄と和江は結婚を意識するようになりますが、両親のいない幸雄を親代わりとして面倒を見てきた職場の上司で製版班長の岩井(佐野浅夫)は二人の交際を知るや深刻な表情を浮かべました。実は幸雄は4歳の時に原爆投下により被爆し、両親を失った凄惨な過去があったのです。
岩井に引き取られた幸雄は原爆病を発病してしまい、原爆病院へ入院したものの4ヶ月で回復して隊員、岩井の世話で印刷会社の写真製版担当の職も得、体調が回復しつつあった頃に和江と出会ったのです。この時、幸雄は和江には自身の過去や原爆病のことは一切明かしませんでした。
しかし、岩井は幸雄と和江の結婚には反対の立場を取りました。幸雄はいつ再び発症するかわからず、命の保証もないこと、そして子供ができた場合の影響を考えるとどうしても結婚を容認するわけにはいかなかったのです。そしてそんなある日、幸雄は作業中に貧血を起こして倒れてしまいます。
愛と死の記録のネタバレあらすじ:転
その日の夜、何とか体調の戻った幸雄でしたが、和江には突き放すような冷たい態度を取ってしまい、放心したかのように彼女に別れを告げるとその場から走り去ってしまいます。
これも和江に本当のことを明かせない胸の辛さゆえの優しさでしたが、幸雄の態度に納得できない和江は数日後に彼の元を訪れました。幸雄は意を決して平和公園で和江に自分の背負った過酷な運命を語り始めました。
やがて幸雄は再び原爆病院に入院することとなり、和江はそれでも幸雄への愛を貫くことを決意、家族の反対を押し切って毎日のように入幸雄の看病を続けました。
和江は奇跡が起こることを願って黙々と千羽鶴を折り続け、まるで幸雄の妻のように献身的に尽くしましたが、幸雄の病状は良くなるどころか一層悪化するばかりでした。そして8月の末、幸雄は白血病により帰らぬ人となってしまいました。
愛と死の記録の結末
最愛の人を失った悲しみに打ちひしがれる和江は、原爆病院長(滝沢修)や母親(三崎千恵子)たちから早く幸雄を忘れて立ち直るよう慰められました。
数日後、和江は周囲の人々の目には見違えるように立ち直って表情も明るくなったかのように映りました。和江は家族からの新しい恋愛をするよう勧める話にも耳を傾け、弟には新しい自転車を買ってやりました。
そして和江は幸雄と初めて会った日に行った思い出の喫茶店「ばんび」で置物のばんびを譲り受けるとそれを病院長へと贈りました。置物の裏側には、幸雄と和江の名前が並んで書かれてありました。
そして幸雄の初七日の日、和江は幸雄の後を追うかのように睡眠薬を大量に飲んで自ら命を絶ってしまいました。新聞には小さく和江の死を知らせる記事が掲載されていました。そして和江の遺体はその死を嘆き悲しむ家族や友人の元へ静かに戻っていきました。
以上、映画「愛と死の記録」のあらすじと結末でした。
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