あいつと私の紹介:1961年日本映画。石坂洋次郎の同名小説を、本作がスキー場での骨折事故から半年ぶりの完全復帰作となる石原裕次郎を主役に据えて映画化した青春ドラマです。安保闘争に揺れる1960年代を舞台に、裕福ながらも家庭複雑な環境に育った大学生と同級生の女子とのひと夏の恋を描きます。1976年には主演に三浦友和を据えて再映画化しているほか、1963年・1967年・1986年の3度に渡ってテレビドラマ化もされています。
監督:中平康 出演者:石原裕次郎(黒川三郎)、芦川いづみ(浅田けい子)、宮口精二(黒川甲吉)、轟夕起子(モトコ・桜井)、吉永小百合(浅田ゆみ子)、酒井和歌子(浅田たえ子)、中原早苗(野溝あさ子)、吉行和子(元村貞子)、笹森礼子(加山さと子)、伊藤幸子(金森あや子)、小沢昭一(金沢正太)、滝沢修(阿川正男)、渡辺美佐子(松本みち子)ほか
映画「あいつと私」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あいつと私」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「あいつと私」解説
この解説記事には映画「あいつと私」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あいつと私のネタバレあらすじ:起
ここは都心から離れた専明大学。明るく自由な校風のこの大学では、高野教授(浜村純)の授業で学生たちがお小遣いをどう使うか発表していました。
学生たちがそれぞれの使い道を発表するなか、無邪気で大らかな黒川三郎(石原裕次郎)は「月3万円で夜の女を買った」などと発言してしまい、女学生たちに吊るしあげられてプールに落とされてしまいます。
女学生にいじられる三郎に、家が近くだというクラスメイトの浅田けい子(芦川いづみ)が父・金吾(清水将夫)の服を貸してあげると申し出てきました。けい子の家族は金吾以外全員女(母・まさ子(高野由美)、妹・ゆみ子(吉永小百合)、妹・たえ子(酒井和歌子)、妹・ふみ子(尾崎るみ子))であり、自宅に招かれた三郎を歓迎してくれました。
三郎はけい子に「君はお小遣いも使わないで何が楽しみなのかな?」と聞いてみたところ、けい子は色んな人に会えるから学校に行くのが楽しみと答えました。
けい子から家族のことを尋ねられた三郎は自宅に彼女を招き入れました。三郎の母は有名な美容師のモトコ・桜井(轟夕起子)で、父・甲吉(宮口精二)はモトコのマネージャーみたいなことをしているのです。モトコは最初の結婚相手の姓を職業上のネームとして使っており、写真家の園城寺(庄司永建)という愛人がいました。驚くけい子に、三郎は「僕は小さい時から人生に対して寛大であるように訓練されているんだ」と気にする様子もありませんでした。
モトコが園城寺を家に入れることに不快感を示す甲吉に、モトコは「パパはもっと広い気持ちをお持ちになったら? あの人はうちのために役に立ってるじゃない? 私が愛してるのはパパだけ。パパと私は一緒のお墓に眠るのよ」と言ってのけました。けい子にとって三郎の両親は型にはまっていない個性的な二人に写ってみえました。
あいつと私のネタバレあらすじ:承
1週間後。女学生たちは退屈しのぎに安保反対のデモに参加しようか話し合っていました。けい子は学校の単調さに耐えて行くことも一つの生き方だとたしなめますが、女学生たちはデモ参加に乗り気でいました。
そんな時、同級生の加山さと子(笹森礼子)が、来月にも学校を辞めて4年付き合った人と結婚すると言い出しました。けい子たちがさと子を祝福している時に、三郎が親友の金沢正太(小沢昭一)と一緒に現れました。さと子の結婚式の日、密かにさと子に惚れていた正太は三郎に嘆き節をこぼしました。
その後、三郎、けい子、正太は成り行きで安保反対のデモに参加したのち元村貞子(吉行和子)の下宿へ行きました。しばらくして貞子の同居人である金森あや子(標滋賀子)がボロボロになって戻ってきました。あや子は男と飲んだ後にいいようにもてあそばれたといい、口論になった貞子とあや子を三郎は制して「しっかりしろよ。君はもっとしっかりした人生観を持っていたはずじゃないか」と諭しました。
翌日、正太は昨晩は驚いたとけい子に言い、三郎は「あや子が昨夜のことを“狂犬に噛まれた”と思うようになるには彼女が自活するしかない。そうすりゃ自分に自信が持てるようになる」と持論を述べました。けい子は三郎に「男と女は恋人や夫婦同士になってもいつまでもちょっぴり敵らしいと思う心は残っているわしいわね」と語りました。
あいつと私のネタバレあらすじ:転
やがて夏休みに入り、三郎は自分の車にけい子、正太、あさ子らを乗せてドライブに出発しました。一行は東北地方を廻ったのちに軽井沢の黒川家の別荘に到着しました。
その夜、別荘にモトコが用事のついでにと園城寺と弟子の松本みち子(渡辺美佐子)を連れてやってきました。みち子はけい子に三郎のことは何でも知っていると語り、けい子は三郎のみち子に対するぎこちない態度が気になりました。
みち子がモトコや園城寺と共に別荘を去った後、けい子は三郎にみち子はどういう人なのか、三郎もみち子に何か隠し事をしているのではないかと問い詰めました。三郎は子供の頃から恋愛や仕事で多忙なモトコから面倒をみてもらえず、思春期を迎えた頃に性欲のはけ口としてモトコからみち子を紹介されたのです。三郎はみち子とはそれっきりの関係だと言いますが、ショックを受けたけい子は別荘を飛び出してしまいます。
けい子を追いかけた三郎は汚い男だと罵られながらも「君がそんなオセンチとは知らなかったな。じゃあなぜあんなことを聞いたんだ? 俺の傷口を突っついたのはどこのどいつだい? バカにすんな」と言いながら強引にけい子にキスをしました。
あいつと私の結末
新学期になり、三郎はけい子をモトコの誕生パーティーに招待しました。パーティーの最中、モトコの旧友で今ではアメリカでホテルを経営している阿川正男(滝沢修)が現れ、20年ぶりの再会となったモトコは思わず言葉を失いました。
さらには会場にあや子が現れ、驚くけい子にあや子は三郎の仲介で今では池袋の店で職を得たことを語りました。けい子は何だか不愉快な気持ちになっていると、後継者がいないという阿川が三郎をアメリカに連れて行ってホテル学の勉強をさせたいと申し出てきました。
モトコは三郎がいなくなったら寂しくて死んでしまうと猛反対しますが、三郎は「どうして僕の意見を聞かないんだ」と怒り、甲吉も行かせてあげればと言ってきました。
その夜、モトコは酒を飲みながら、けい子に今まで明かしていなかった事実を打ち明けました。実は三郎は甲吉との子ではなく、阿川との子だったのです。モトコは優秀な血統の子を残そうとして阿川を選んだといい、甲吉はそのことを知っているのかもしれないけども、自分以上に三郎を愛してくれているのだと語りました。
モトコは三郎には真実を打ち明けてはいないと言いますが、三郎は二人の会話を聞いてしまっていました。むしゃくしゃした三郎は阿川と腕相撲対決してわざと負け、阿川の「腕相撲に勝ったから言うんじゃないが、昨夜の僕の提案をよく考えてくださいよ」との言葉に考え込みました。
翌日、アメリカに行くのかと聞く甲吉に、三郎は「僕はどこにも行きませんよ」とはぐらかしながら、けい子と婚約したことを明かしました。けい子は驚きながらも喜びを隠せませんでした。
以上、映画「あいつと私」のあらすじと結末でした。
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