エル ELLEの紹介:2016年フランス映画。黒覆面の男にレイプされたミシェル。犯人は彼女の周囲にいる。独力で身を守ろうとするミシェル。『トータル・リコール』や『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェンによる危険なヒロインの物語。フランス映画ながら、イザベル・ユペールは第89回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた。
監督:ポール・ヴァーホーヴェン 出演者:イザベル・ユペール(ミシェル)、ローラン・ラフィット(パトリック)、アンヌ・コンシニ(アンナ)、シャルル・ベルリング(リシャール)、ビルジニー・エフィラ(レベッカ)、ジョナ・ブロケ(ヴァンサン)、ほか
映画「エル ELLE」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エル ELLE」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
エル ELLEの予告編 動画
映画「エル ELLE」解説
この解説記事には映画「エル ELLE」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エル ELLEのネタバレあらすじ:起
ビデオゲーム制作会社社長のミシェル(イザベル・ユペール)は昼間に自宅に侵入してきた黒覆面の男にレイプされてしまう。しかしレイプ犯が去った後、彼女は落ち着いて掃除を始め、バスタブに体を沈める。警察には通報しない。訪問してきた息子のヴァンサン(ジョナ・ブロケ)は母の顔の傷に気づくが、自転車で転んだと嘘をつく。
翌日、何事もなかったかのように出社した会社では、試作段階の新作ゲームに文句をつけるが、ヒット商品を手掛けてきたゲームデザイナーのキュルトからは「文学や出版畑からゲーム業界に移ってきたあなたに何がわかる」といった批判をされる。
母親の住むアパートに行くと母は年若い恋人ラルフと過ごしていた。母は刑務所にいるミシェルの父の仮釈放の申請についての話をする。父は40年前に些細なことから27人の隣人と犬猫を惨殺し、事件後、父と物を燃やしていた少女ミシェルの映像がテレビに流れた。それ以来ミシェルは父を憎み、警察も嫌っていた。
レイプ犯からと思われるEメールが届き出す。男は彼女の近くにいる。初めてミシェルが事件のことを他人に告げたのは、元夫の作家リシャール(シャルル・ベルリング)、会社の共同経営者のアンナ(アンヌ・コンシニ)、彼女の夫のロベールとの会食の席だった。
アンナとは同じ病院で子供を産んで以来の親友。アンナの子は死産だったためにヴァンサンを実の子のように思っていた。ロベールとミシェルはアンナに隠れてセックスをする間柄だった。
エル ELLEのネタバレあらすじ:承
モンスターがミシェルをレイプするCG動画が全社員に送付される事件が起こり、ミシェルはレイプ犯が社内にいるのではと疑い、忠実な社員のケヴィンに射撃を教わると共に、社員のコンピューターを極秘に調査するように依頼する。
一方、家の前に不審な自動車が停まっているので、ミシェルは自動車の窓ガラスを叩き割り、中の男に催涙スプレーをかける。しかしそれは話を聞いてミシェルを心配したリシャールだった。
やがてヴァンサンの恋人ジョジーが、ヴァンサン自身が産まれた病院で出産する。ミシェルやアンナたちが祝福に訪れるが、赤ん坊の黒い肌から、父親はヴァンサンでなくヴァンサンの友人であることが明らかだった。
一方、ミシェルは、かつての父親の事件の映像に刺激されてCG動画をケヴィンが作成したことを知る。社内にレイプ犯がいる可能性は薄くなった。
ミシェルの家の向かいにはパトリック(ローラン・ラフィット)と、信心深いレベッカ(ビルジニー・エフィラ)の若い夫婦が住んでいた。ミシェルの家の前にいた不審者をパトリックが追いかけたという日以来、ミシェルはパトリックが気になる。
エル ELLEのネタバレあらすじ:転
レベッカとクリスマスの飾りつけをするパトリックを双眼鏡で眺めながらミシェルは自慰にふける。そしてクリスマス・パーティーに夫婦を招待する。
他にはヴァンサンとジョジー、ロベールとアンナ、リシャールと恋人でヨガ教師のエレーヌ、母とラルフがパーティーに出席する。母はラルフとの婚約を発表するが、脳梗塞で倒れてしまう。救急車の中で娘に父に会うように言った後でこん睡状態になり、病院で亡くなるのだった。
強風の吹き荒れる日、パトリックが雨戸を閉めようと言ってミシェルの家に来る。雨戸を閉めながら体を近づける二人。
ある夜、ミシェルの家に黒覆面の男が再び侵入する。もみ合ううちにミシェルは賊の手に傷を負わせ、男が痛がるすきに覆面をはぎ取る。なんとそれはパトリックだった。
ミシェルは意を決して刑務所へ、仮釈放を認められなかった父の面会に行く。だがそこで知らされたのは、前夜に娘の面会を知らされた父が、その朝にシーツで首をつって自殺したということだった。ミシェルは父の亡骸と面会する。
帰りの車中、父の死を知ったマスコミからの電話がミシェルにかかってくる。すると森の中の道で自動車の前にシカが現れ、よけようとしたミシェルは自動車を木にぶつけ、足にけがをする。
友人に次々と電話をかけるが、留守電ではなかったのはなんとパトリックだった。駆け付けたパトリックは自動車からミシェルを出し、サッカー選手時代の経験を生かして応急手当をする。
エル ELLEの結末
失業したヴァンサンはジョジーにアパートを追い出されてしまう。ミシェルとヴァンサンは買い物中に会ったパトリックの家で夕食をすることになる。レベッカは巡礼のためにスペインに行っていた。ヴァンサンが酔いつぶれてから、地下室に案内されたミシェルはレイプを模倣するようにパトリックとセックスをする。
ミシェルの会社では新作ゲームの完成を祝うパーティーが開かれる。昔からの仲間に加えてパトリックも招かれた。リシャールはエレーヌと別れたと言う。ミシェルは、既にロベールの浮気に気づいていたアンナに、自分がその相手だったことを告白する。
ミシェルはパトリックの自動車で帰る。自動車の中でミシェルは、自分たちの関係が不健全であることを話す。家に入ったミシェルを再び黒覆面をしたパトリックが襲う。抵抗するミシェル。すると、先に家に帰っていたヴァンサンが棒で黒覆面の後頭部を強打する。頭を割られたパトリックは死んでしまうのだった。
ミシェルは引っ越しするレベッカと言葉を交わす。レベッカは自分には信仰があるから大丈夫と言い、パトリックは心を病んでいたと言う。そこに寄りを戻したヴァンサンとジョジーが来た。
ミシェルは父と母の墓参りをする。そこへアンナがやって来る。アンナはロベールと別れていた。アンナはミシェルの家に引っ越して一緒に住もうかという話になるのだった。
以上、映画「エル ELLE」のあらすじと結末でした。
事件の犯人よりも被害者の方が恐ろしいと思ってしまう映画。全てを受け入れる主人公の精神力がすごすぎる。
登場人物のいろんなストーリーが絡み合って飽きずにずっと見てられる。
一番怖かったのは信心深い隣人の妻が夫のやってる事を全て知ってたのではと思えるシーン。主人公よりもヤバいかも…