永遠と一日の紹介:1998年ギリシャ,フランス,イタリア映画。ギリシャの港町テッサロニキを舞台に、重病を患った詩人と難民の子供との出会いを軸に“人生の旅の一日”および“死への絶望と希望”を現在・過去・未来といった時系列の錯綜や現実・旅・夢などを独自の手法で紡いだ文芸作品です。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞しています。
監督:テオ・アンゲロプロス 出演者:ブルーノ・ガンツ(アレクサンドロス)、イザベル・ルノー(アンナ)、アキレアス・スケヴィス(少年)、ファブリツィオ・ベンティヴォリ(詩人ソロモス)、デスピナ・ベベデリ(母)、イリス・アジアントニウ(カテリーナ)、エレニ・ゲラシミドゥ(ウラニア)、ヴァシリス・シメニス(ニコス)ほか
映画「永遠と一日」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「永遠と一日」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「永遠と一日」解説
この解説記事には映画「永遠と一日」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
永遠と一日のネタバレあらすじ:起
ギリシャの港町テッサロニキ。孤独な老人アレクサンドロス(ブルーノ・ガンツ)は重病を患ったために翌日から入院することになっていました。入院の前夜、アレクサンドロスはかつて親友と共に夏の海を泳いだ少年時代の1936年頃の夢を見ていました。
夢から覚めたアレクサンドロスは家政婦のウラニア(エレニ・ゲラシミドゥ)に別れを告げ、窓際に立つと、あるクラシックの曲を流しました。すると、それに応じるかのように向かいのアパートの一室から同じ曲が流れてきました。
アレクサンドロスは愛犬を連れて散歩に出かけ、3年前に死別した亡き妻アンナ(イザベル・ルノー)への想いを馳せていました。街では難民の子供たちが道ゆく車の窓拭きをして生計を立てており、アレクサンドロスは警察に追われていた子供たちの中で逃げ遅れた一人の少年(アキレアス・スケヴィス)を匿いました。アレクサンドロスの車の窓を拭いてくれた少年は一言も語らなかったものの、最後には笑顔を見せました。
永遠と一日のネタバレあらすじ:承
アレクサンドロスはポリカティキーアに暮らす娘のカテリーナ(イリス・アジアントニウ)の家を訪れ、彼女にアンナの遺した手紙と愛犬を託しました。手紙にはアンナが“私の日”と呼んでいた日付が記されており、聖マリアの日にカテリーナを出産した時の心情などが綴られていました。
アレクサンドロスはカテリーナに手紙を読んでもらいながら、遠き日の思い出に浸っていました。しかし、カテリーナの夫ニコス(ヴァシリス・シメニス)は愛犬の引き取りを拒否したばかりか、翌日にもアレクサンドロスが少年時代から暮らしてきた思い出の海辺の家を売りに出すと告げてきました。
アレクサンドロスは立ち寄った薬局で偶然にも窓拭きの少年を見かけました。少年は人身売買の男たちに連れ去られてしまい、後を追ったアレクサンドロスは手持ちの全財産を払って少年を人身売買の男たちから救い出しました。
アレクサンドロスは少年を祖母が住むという故郷アルバニアに帰してあげることにしましたが、少年は何度も逃げ出そうとしました。アレクサンドロスは何とか少年を国境まで送り届けますが、そこは国境を越えられずに無残な死を迎えた亡命者たちの屍が転がっている異様な世界であり、恐ろしくなったアレクサンドロスは少年の手を引いてその場から逃げ出しました。
少年はセリムという仲間と一緒にギリシャに亡命してきたのであり、村に銃を持った連中が押しかけてきたことや、地雷源を進んできたことを話しました。
永遠と一日のネタバレあらすじ:転
アレクサンドロスとすっかり打ち解け合った少年は“詩人”について聞きたがってきました。そこでアレクサンドロスは、19世紀の詩人ソロモス(ファブリツィオ・ベンティヴォリ)について語り始めました。母型がギリシャ人ながらもイタリアで育ち、ギリシャ語が話せなかったソロモスは苦学の末にギリシャ語を習得、やがてギリシャを代表する詩人にまで上り詰めていったのです。
アレクサンドロスは愛犬をウラニアに託すことにし、少年と共にテッサロニキ港にやってきました。少年との別れが近づきつつあることを惜しむアレクサンドロスに、少年はソロモスがかつて人々から“言葉を金で買っていた”ように、自分も言葉を買ってくると言い出しました。アレクサンドロスは少年と言葉で遊びながら、亡きアンナとの思い出に浸っていました。
アレクサンドロスは偶然にも病院の担当医師とばったり出くわして我に返りました。一方の少年は難民の子供たちの情報で、浜辺にセリムの溺死体が打ち上げられていたことを知りました。アレクサンドロスは少年と共に遺体安置所に駆けつけ、廃屋で難民の子供たちと共にセリムを弔いました。
セリムの形見のスニーカーを燃やした少年は涙を流し、アレクサンドロスは亡き母(デスピナ・ベベデリ)が入院していた時のことを思い出していました。
永遠と一日の結末
少年は他の難民の子供たちと共にイタリア・ナポリやフランス・マルセイユにフェリーで密航することとなり、別れを惜しむアレクサンドロスは出発の時まで少年と共に海辺を走る循環バスの旅をすることにしました。
途中のバス停からは学生の楽団や、喧嘩はするものの仲のよいカップルなど様々な人たちが乗り合わせ、しまいにはあのソロモスまでもがバスに乗り込んできました。ソロモスは死があってこその美しい人生であると語り、バスを降りる際にアレクサンドロスから明日の時の長さはどれくらいかと尋ねられましたが何も語りませんでした。
真夜中になり、少年はアレクサンドロスとの別れを惜しみながら仲間たちと共にフェリーに密航して旅立っていきました。アレクサンドロスは信号が青になっても車を動かすことができないほど憔悴しきっていました。
翌朝、アレクサンドロスは空き家となった海辺の家に戻ってきました。アレクサンドロスはそこで再び“私の日”の続きを始め、アンナと再会して心を通わせ合いました。アレクサンドロスがアンナに明日の時の長さを尋ねると、アンナは「永遠と一日」と答えました。「すべては真実で、真実を待っている」と感じたアレクサンドロスは海に向かって少年から買った言葉の数々を叫んでいました。
以上、映画「永遠と一日」のあらすじと結末でした。
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