映画「ゴーストランドの惨劇」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ゴーストランドの惨劇の紹介：2018年フランス,カナダ映画。今は亡き祖母の家に、母と姉のヴェラと共に向かったベスは、引っ越しの後、二人の男に襲われました。16年後、ベスはホラー小説家で成功し、家族と幸せに暮らしていました。一方母と暮らすヴェラから帰って来て！と電話をもらったベスは、気になって家に帰りました。母に会い、姉のヴェラに会った頃から、16年前の惨劇が再び始まりました…という内容のフランス発の過激ホラー映画です。現実と妄想がミックスされて不思議な世界観を持つストーリーで、トーチャーポルノと呼ばれる監禁拷問ものでフランスならではの作品となっています。
監督：パスカル・ロジェ 出演者：クリスタル・リード（ベス）、アナスタシア・フィリップス（ヴェラ）、エミリア・ジョーンズ（10代のベス）、テイラー・ヒックソン（10代のヴェラ）、ミレーヌ・ファルメール（母親ポリーン）ほか
この解説記事には映画「ゴーストランドの惨劇」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
10代の姉妹のヴェラ（テイラー・ヒックソン）とベス（エミリア・ジョーンズ）は、母親のポリーンの運転する車で、今は亡き祖母の家に向かっていました。ホラー小説家になりたいベスは、自分の書いている小説のくだりを母に聞かせました。母ポリーンはいい内容だとベスを褒めますが、ヴェラは逆にベスをけなしました。
直線の道を走っていると、後ろからクラクションを鳴らしながら大型のキャンピングトラックが迫って来ました。トラックは追い抜きざまに手を挙げました。ベスと母ポリーンも手を挙げて答えました。その後、ショップに立ち寄ったベスは、5人家族惨殺事件について書かれている新聞を見つけ、興味深く読みました。
祖母の家につくと古い人形がいっぱい並べられていました。やがて片付けが始まりました。ベスは初潮を迎えました。自分の血を見たベスは卒倒しそうになりました。母がかけつけて介抱していると、ヴェラが「血を見て倒れるようでは、ホラー小説家にはなれない」と言い放ちました。母はヴェラを叱りました。ヴェラは妹のベスばかり可愛がる母にきつくあたりました。そしてベスに「自分の荷物を早く片付けろ」と怒鳴りつけました。
突然、大男が家に入って来てベスに突進しました。もう一人女装した男も入って来て、ヴェラを取り押さえようとしていました。二人の娘を守るため、母ポリーンは大男にタックルしました。大男がひるんだすきに、ナイフを持った女装した男に飛び掛かりました。母はベスに「今のうちに逃げなさい」と叫びました。
16年の年月が経ち、ベス（クリスタル・リード）は夫と幼い子供を持ち、ホラー小説家になっていました。新しく出した『ゴーストランドの惨劇』が人気で、テレビ出演をしてインタビューを受けました。ベスは自分の体験があって書けたものだと話しました。
自分の放送を夫と一緒に見ていると、電話が鳴りました。それは姉のヴェラ（アナスタシア・フィリップス）からでした。ヴェラは「早く帰って来て！」と叫び、電話は切れました。かけ直しても電話は通じず、夫に「見に行ってくる」と言って家を出ました。事件後も、あの家に母ポリーンとヴェラは暮らしていたのでした。
家に着くと、優しい母ポリーンが迎えてくれました。姉のヴェスは見当たりませんでした。母に様子を聞くと、ベスは精神状態がおかしく、地下室に一人籠っていると言いました。恐る恐る地下室に行くと、顔を腫らしたヴェラがいました。何かに怯えて泣くヴェラをベスは抱きかかえました。
その後、ヴェラの叫び声を聞き、見に行くとヴェラはベッドに縛られていました。その後ヴェラは、自分の顔や体を殴りつけ、ベスに「ママは殺されたのよ」と言いました。ベスは母ポリーンが女装した男に腹を刺され、首をかき切られて殺される風景を思い出しました。
そして気が付くとベスはヴェラと一緒に地下室に監禁されていました。定期的に大男と女装した男がやって来ました。厚い化粧をされたうえ、人形の服を着せられてレイプされる毎日でした。なにかあると暴行を受け、ベスの顔も腫れ上がっていました。ベスは隙を見て大男を痛めつけ、ヴェラを連れ出し、家から逃げ出しました。丁度パトカーが通りかかると、ベスは「あのトラックがやってくる」と言いました。背後にトラックが来ました。二人の警官は射殺されベスとヴェラはトラックに乗せられ、祖母の家に連れ帰されました。
ベスは出版記念パーティーにいました。出席してくれたホラー小説家の大物から『ゴーストランドの惨劇』は傑作だと褒められました。遂に自分の夢がかなったベスの目の前を、ヴェラが走り抜けました。ヴェラを探すベスを母親ポリーンが引き止めました。ベスに「どうしてもあっちの世界に行くの？」と聞きました。ベスは「行く」と言って、ヴェラのいる扉の向こうに飛び込みました。
大男を痛めつけて、ヴェラに何かしようとする女装した男に襲いかかりました。しかしベスは反撃にあい、格闘していると大男が起き上がり、向かってきました。その時、警察官が踏み込み、大男を射殺しました。そして女装した男に銃口を向けて制止しますが、聞かないため射殺しました。救急車に乗せられたベスは救急隊員と話しをしました。ベスは小説を書くのが好きだと言いました。
あの事件後、母ポリーンは殺されトラックの二人に監禁されたベスとヴェラでしたが、その間にもベスはホラー小説家になる夢を追い、自分の理想を妄想化していたのでした。
以上、映画「ゴーストランドの惨劇」のあらすじと結末でした。
正反対の双子の姉妹を襲う惨劇にドキドキしました。主人公のベスは怪奇小説家・ラヴクラフトを敬愛するちょっと地味で根暗な文学少女、姉のヴェラはそんな妹を小馬鹿にする生意気娘。序盤で母子や姉妹の関係性が巧みに描写されてから衝撃の展開、覚悟していたほどグロテスクなシーンはありませんが真実が明らかになった時の虚脱感には呆然とします。全編ゴシックテイストな雰囲気で、屋敷を埋め尽くす人形の不気味な存在感は特筆に値します。過酷な現実と甘美な虚構が錯綜するサイコホラーとしても完成度高いです。