シチリアーノ 裏切りの美学の紹介:2019年イタリア,フランス,ブラジル,ドイツ映画。1980年代初頭。コーザ・ノストラパレルモ派の大物マフィア、ブシェッタが麻薬取引をめぐり対立していたコルレオーネ派との仲裁に失敗した。これにより冷酷なトト・リイナ率いるコルレオーネ派は、ブシェッタのブラジル滞在中を狙ってパレルモ派のメンバーを次々に抹殺。ブシェッタの息子ふたりも行方不明に。ブラジルで逮捕されたブシェッタはイタリアの司法当局に引き渡されると、マフィア撲滅に不屈の執念を燃やすファルコーネ判事から捜査への協力を求められる。堕落したコーザ・ノストラに失望していたブシェッタは、ファルコーネ判事に組織の情報を提供する。イタリアの巨匠マルオ・ベロッキオ監督81歳が実在の人物トンマーゾ・ブシェッタの数奇な人生の物語を描く。
監督:マルコ・ベロッキオ 出演:ピエルフランチェスコ・ファビーノ(トンマーゾ・ブシェッタ)、マリア・フェルナンダ・カンディド(クリスティーナ・ブシェッタ)、ファブリツィオ・フェラカーネ(ジュゼッペ ピッポ カロ)、ルイジ・ロ・カーショ(サルヴァトーレ・トトゥッチョ コントルノ)、ファウスト・ルッソ・アレジ(ジョヴァンニ・ファルコーネ)、ニコラ・カリ(サルヴァトーレ トト リイナ)、ジョヴァンニ・カルカーニョ(ガエターノ・バダラメンティ)、ブルーノ・カリエッロ(アルフォンソ・ジョルダーノ)、ヴィンチェンツォ・ピロッタ(ルチアーノ・レッジョ)、ゴフリード・ブルーノ(ステファノ・ボンターデ)、ガブリエーレ・チッチレッロ(ブシェッタの息子ベネデット)、パリデ・チッチレッロ(ブシェッタの息子アントニオ)、アレッシオ・プラティコ(ジュゼッペ ピーノ グレコ)ほか
映画「シチリアーノ 裏切りの美学」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シチリアーノ 裏切りの美学」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シチリアーノ 裏切りの美学の予告編 動画
映画「シチリアーノ 裏切りの美学」解説
この解説記事には映画「シチリアーノ 裏切りの美学」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シチリアーノ 裏切りの美学のネタバレあらすじ:起
1980年9月4日、シチリアの都市パレルモ。
麻薬取引をめぐって抗争が激化したコーザ・ノストラのパレルモ派とコルレオーネ派。とある豪華なパーティに停戦した2つのファミリーが集結しました。
表向きは穏やかにふるまっていたそれぞれの幹部でしたが、“新旧世界のボス”と呼ばれるパレルモ派の大物幹部トンマーゾ・ブシェッタは不穏な空気を感じていました。
ブシェッタはその日のうちに、前妻との息子たちアントニオとベネデットを、長年の親友でありパレルモ派のボスでもあるピッポ・カロに預け、現在の妻クリスティーナを連れ、海外ビジネスの拠点であるブラジルのリオデジャネイロへ向かいました。
ブシェッタの不吉な予感は的中しました。彼が不在の間シチリアでは、冷酷無比なトト・リイナ率いるコルレオーネ派がパレルモ派の主要メンバーを次々に残虐な手口で抹殺していったのです。
息子のアントニオとベネデットは行方不明。息子たちを託したカロとはなぜか連絡が取れません。なんと、こともあろうか対決するコルレオーネ派へ寝返ったのでした。ブシェッタもイタリアに戻る決断を迫られていました。
しかしそこへ突然リオデジャネイロの地元警察に踏み込まれ、ブシェッタは麻薬取引容疑で拘束されてしまいました。
シチリアーノ 裏切りの美学のネタバレあらすじ:承
1984年、ブラジルからイタリア政府へ身柄を引き渡されることになったブシェッタは、同年7月15日にローマに送還されました。
サン・ヴィターレ警察署で出会ったジョヴァンニ・ファルコーネ判事は、捜査への協力を迫られました。これに対してブシェッタは「私は改悛者でもなければ、密告者でも恥知らずでもない」とプライドで突き返しました。
ファルコーネ判事はマフィア撲滅に人生を捧げたような男でした。ブシェッタは判事の聴取を受けるうちに畏敬の念を抱くようになりました。さらには厳しい血の掟を守ってきたコーザ・ノストラが麻薬ビジネスで金儲けに堕落したことへの失望を告白するなど、判事に心を開いていきます。
その後コルレオーネ派から狙われて、からくも逃れたトトゥッチョ・コントルノも捜査協力者となり、ブシェッタは腹をくくり、組織の凶悪犯罪の詳細をファルコーネに伝えていきました。その供述から作られた調書は487ページにもおよびました。
シチリアーノ 裏切りの美学のネタバレあらすじ:転
これを機にイタリアでは全土にわたってマフィアが一斉に逮捕されました。コーザ・ノストラは司法当局に身を撃ったブシェッタへの報復として、組織に属さない彼の親族までも殺害しました。
1986年2月10日、コーザ・ノストラの幹部を裁く初公判が行われました。しかし野次や暴言が飛び交う法廷は大混乱となりました。
同年4月3日、検察側証人として初めて出廷したブシェッタは「コーザ・ノストラに入ったときの精神と今も変わらない。彼らこそ改悛者です」と述べ、法廷内に設けられた檻の中から憎悪の目を向ける被告のマフィアたちへ対決姿勢を示しました。この檻の中にはブシェッタのかつての親友でコルレオーネ派に寝返ったカロの姿もありました。
4月10日、ブシェッタはついにカロと直接対峙しました。
カロはブシェッタと知り合いではないとシラを切りましたが、ブシェッタもこれに厳しい口調で応戦。すべての証言を終えたブシェッタはファルコーネと固い握手を交わし、アメリカで保護されている家族のもとへ発ちました。
大裁判は結審しました。
被告たちには重罪が言い渡され、カロには禁固23年と罰金2億リラを宣告されました。
シチリアーノ 裏切りの美学の結末
1990年代初頭、ブシェッタはアメリカ当局に保護され、米国国内の隠れ家を転々として暮らしていました。それは買い物や食事に出かけても、常にコーザ・ノストラの報復の影におびえる生活でした。
1992年5月23日、撃的なニュースが飛び込んできました。
ファルコーネが高速道路に仕掛けられた爆弾によって殺害されたのでした。暗殺の首謀者コルレオーネ派の大ボス、トト・リイナはその翌年に逮捕されました。
その後、ブシェッタはアメリカ某所でトトゥッチョと会いました。彼もまたアメリカ当局に保護され車を売って細々と生計を立てていました。
トトゥッチョは復讐の機会を狙って、近々シチリアへ帰ろうとしていることを打ち明けました。
時はさかのぼり若かりし頃のブシェッタ。
16歳でコーザ・ノストラに入りボスに命じられた初めての殺しを何度も試みますが成し遂げられないブシェッタは相手の息子が結婚式で親元を離れたその夜、ついにミッションを達成しました。この名もなき男は月光がさす中庭でひとり、すでに死期を知っているかのようにゆっくり煙草に火をつけました。そして突然現れたブシェッタの凶弾を浴びて静かに息絶えたのでした。それは組織の倫理観を重んじた殺しでもありました。
裁判では338人が有罪判決。
その後ブシェッタは穏やかに過ごし、願っていた通りベッドの上で最期を迎えました。
以上、映画「シチリアーノ 裏切りの美学」のあらすじと結末でした。
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