刺青の紹介:1966年日本映画。質屋の娘・お艶は手代の新助と添い遂げるために駆け落ちをした。しかしお艶の背中一面に女郎蜘蛛の刺青(いれずみ)が彫られたとき、彼女の魔性が目を覚ました…。増村保造・若尾文子コンビの傑作の一つで、4Kデジタル復元版が2020年に上映されました。脚本は新藤兼人。谷崎潤一郎本人が自分の処女作だとしている短編「刺青」と、同じ谷崎の短編「お艶殺し」を基にしている。
監督:増村保造 出演者:若尾文子(お艶)、長谷川明男(新助)、山本学(清吉)、佐藤慶(芹沢)、須賀不二男(権次)、藤原礼子(お滝)内田朝雄(徳兵衛)、毛利菊枝(新助の母)、ほか
映画「刺青」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「刺青」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
刺青の予告編 動画
映画「刺青」解説
この解説記事には映画「刺青」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
刺青のネタバレあらすじ:起・女郎蜘蛛を彫る
今日は親類の不幸で両親が出かけ、他の店の者は早く眠らせた。質屋の娘・お艶は、手代の新助と駈け落ちする。お艶の結婚相手は決まっていて駆け落ちするより他に二人が添い遂げる方法はない。
迷っている新助は、雪の舞う橋の上で帰りましょうと言うがお艶は承知せず、船頭・権次の営む船宿へ行く。権次はお艶と新助には、お艶の両親と話をつけてあげると言いながら、お艶の両親にはお艶と新助を捜すと言って小金をもうけていた。
何日もお艶と新助はろくに食べ物も取らず、愛欲の日々を送る。そんな時に船宿の奥の賭場の博打を見物するお艶の美貌に徳兵衛という男が目をつける。そして徳兵衛の下で働いている刺青師清吉は、彼女の着物の下からのぞいている素足の肌の美しさに心を惹かれる。
新助が不在の時に、権次がお艶を犯そうとする事件があり、権次の女房・お滝は腹を立てる。そこで、徳兵衛にお艶を売り飛ばし、新助は殺してしまえと定まる。土砂降りの晩、外で権次の手下の三太と酒を飲んで酔っ払った新助。帰りに三太は新助を刺し殺そうとするが、逆に三太の方が殺されてしまう。
その間に、お艶は縛られて徳兵衛の家の蔵の中に閉じこめられる。清吉がお艶に眠り薬をかがせ、夢見てきた最高の肌の背中一面に、男を食い物にする女郎蜘蛛の刺青をほどこした。目覚めたお艶に清吉は鏡を二つ使ってその刺青を見せる。
刺青のネタバレあらすじ:承・権次の最期
海の側の小屋である実家に行った新助は両親に最後の別れをする。一目お艶に会ったら自首するつもりだった。二カ月間捜して見つけたお艶は、今は芸者染吉と名を改めていた。美貌で芸事もできる彼女は次々と男を食い物にして金を儲け、徳兵衛への借金も既に返し、自分の家をもって奉公の少女を置いて暮らしていた。
ある日、権次のお座敷に行く。お艶のためにお滝を追い出すつもりだと言う権次に、いっそ殺しなさいとそそのかす。新助に再会したお艶は自首を許さない。再び愛欲の生活が始まる。
お艶が新助を連れて権次の船宿に行くと、権次はお滝を殺したところだった。新助はお艶が仕向けるままに権次を殺してしまう。その顛末を隠れて見ていたのは清吉だった。清吉は自分の彫った女郎蜘蛛に恐れをなし、徳兵衛にもう刺青師はやめると話す。
刺青のネタバレあらすじ:転・徳兵衛の最期
徳兵衛がお艶を呼び出す。お艶が惚れたと見せかけた男の前に徳兵衛が現れ、男から金をゆするということを繰り返して二人は大もうけしていた。
今度の徳兵衛のターゲットは八百石の旗本・芹沢だった。お艶が芹沢の領地の屋敷に行き、そこへ徳兵衛が現れる手はずになるが、お艶は新助にも芹沢の屋敷の裏口に行くように言う。だが、徳兵衛が現れて二百両を要求した時、彼らの魂胆を知った芹沢は手討ちにすると言って徳兵衛に斬りつける。
お艶は傷を負った徳兵衛を連れて逃げるが、途中で、剃刀で徳兵衛を殺そうとする。徳兵衛が反撃すると新助が現れ、太い木の枝で徳兵衛を何度も打って殺してしまう。そしてこの顛末もまた、木陰から清吉が目撃していた。
刺青の結末:女郎蜘蛛の最期
江戸に戻ったお艶に昼間からお座敷がかかる。客はよりによって芹沢だった。お艶をどうしても自分のものにしたい芹沢は二百両を用意していた。徳兵衛が殺されたことを知らないからとはいえ、いっそ俺の寝首をかいてみろと言う豪胆な芹沢が気に入り、お艶は彼に体をまかせる。
お艶が朝帰りする。奉公の少女に親孝行をしろと休暇を出した新助。二人で上方に行ってやり直そうと言う新助のことばに耳を貸さないお艶。芹沢だけでなく他の男たちと関係をもって肥しにしてきたことを告白する。
お艶を殺して自分も死のうと新助はお艶に刃を向ける。しかし、自分を殺してもいいわと言って新助を油断させたお艶が、逆に新助を刺し殺してしまう。私じゃなく女郎蜘蛛がやってんだよと弁解する。
そこに現れた清吉にお艶は、二百両で死体を処分してくれと言う。清吉は女郎蜘蛛の刺青を見せてくれと条件を出す。お艶がはだけた背中の女郎蜘蛛を見つめた後、清吉は女郎蜘蛛に刃を突き刺す。
清吉はわが身にも刃を突き立て、新助、お艶、清吉の死体が折り重なるのだった。
以上、映画「刺青」のあらすじと結末でした。
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