IT/イット “それ”が見えたら、終わり。の紹介:2017年アメリカ映画。ホラーの帝王、スティーヴン・キング原作による1986年のベストセラー小説「IT –イット-」。1990年にTVドラマシリーズ化されて人気を博し、今回が二度目の映像化で、初の劇場版となる。監督は、ギレルモ・デル・トロにその才能を見出され、「MAMA」(2013)で長編映画デビューを飾ったアンディ・ムスキエティ。もともとスティーヴン・キングの小説の大ファンだというムスキエティは、90年版よりさらにホラー度をアップさせながらも、原作のイメージを損なうことなく、よりスタイリッシュな“IT”像を作り上げた。アメリカの小さな田舎町で、子供ばかりが失踪する謎の事件が多発。弟が行方不明になっている少年ビルは、仲良しの友人達と共に事件の真相を突きとめようとする。ストーリーの鍵を握るITを演じるのは、スウェーデン出身の若手俳優ビル・スカルスガルド。90年版では「ロッキー・ホラー・ショー」(1975)のティム・カリーが不気味なITを演じているが、見比べてみるのも面白い。
監督:アンディ・ムスキエティ 出演者:ジェイデン・リーバハー(ビル)、ビル・スカルスガルド(ペニーワイズ)、ジャクソン・ロバート・スコット(ジョージー)、ソフィア・リリス(ベバリー)、ジェレミー・レイ・テイラー(ベン)、フィン・ウォルフハード(リッチー)、ジャック・ディラン・グレイザー(エディ)、ワイヤット・オレフ(スタンリー)、チョーズン・ジェイコブス(マイク)、ニコラス・ハミルトン(ヘンリー)ほか
映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」予告編 動画
映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」解説
この解説記事には映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」ネタバレあらすじ:起
1988年10月のある雨の日。アメリカ・メイン州の小さな町、デリーで悲劇が起こります。風邪を引いて寝込んでいた13才の少年ビル(ジェイデン・リーバハー)は、7才の弟ジョージー(ジャクソン・ロバート・スコット)のために紙のボートを作ってやります。雨に濡れても大丈夫なようにワックスを塗り、完成した“ジョージー号”。
大喜びしたジョージーは黄色いレインコートを着込み、ボートを持って雨の中、外へと飛び出して行きます。ビルは吃音症を抱えており、言葉がスムーズに出てきません。一人で遊びに出た弟を、不安げな表情で見つめていました。
ジョージーが水たまりの上に浮かべたボートは、雨風の勢いを受けて滑るように進んで行きます。一生懸命に後を追うジョージーでしたが、ボートは道路の排水溝の中に落ち、一瞬で見えなくなりました。慌てたジョージーが排水溝を覗き込むと、暗闇の中に浮かび上がったのは二つの目玉。驚いたことにピエロです。
ピエロは“ペニーワイズ”と名乗り、「ボートを返してほしければ手をお出し」と言います。ジョージーが手を伸ばした途端、恐ろしい形相に変貌したペニーワイズがジョージーの腕を食いちぎります。悲鳴を上げたジョージーはそのまま排水溝の中へと引きずり込まれ、たちまち姿を消します。降りしきる雨の中、道路は赤い血に染まっていました。
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」ネタバレあらすじ:承
翌年の6月。弟ジョージーの失踪から立ち直れないまま、ビルは夏休みを迎えていました。ビルの仲良しの同級生は、ひょうきん者のリッチー(フィン・ウォルフハード)、ユダヤ人のスタンリー(ワイヤット・オレフ)、喘息持ちのエディ(ジャック・ディラン・グレイザー)です。
四人はいつも一緒にいますが、学校一の不良ヘンリー(ニコラス・ハミルトン)とその仲間達からいじめの標的にされています。デリーに引っ越してきたばかりの転校生ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)もまた、ヘンリーから目をつけられている一人でした。友達もできず、図書館で本ばかり読んでいるベンですが、たまたま話しかけてきた少女ベバリー(ソフィア・リリス)に一目ぼれ。彼女への想いを美しい詩にして絵葉書にしたため、名前を書かずにこっそり送ります。しかし、ベバリーもまた孤独な心を抱えていました。父親から虐待を受けていることを誰にも言えずにいたのです。
ある日のことビルは、リッチー、スタンリー、エディと共に下水道探検に来ていました。排水溝に消えたジョージーが、川へとつながる下水道にいるかもしれないと考えていたのです。ジョージーは見つかりませんでしたが、不良のヘンリーに追われたベンが逃げ込んで来て、ビルのグループに加わります。ところが、ベンを追って来たヘンリーの仲間の一人、パトリックがペニーワイズに襲われて姿を消します。
その後、ビル達のグループにさらにベバリーが加わり、“ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)”が誕生します。偶然にも彼らは皆、ペニーワイズが仕掛ける恐ろしい幻影に悩まされていました。ベンやエディは不気味な男に追い駆け回され、スタンリーは絵画に描かれた女に襲われます。ベバリーの家ではバスルームから大量の血が噴き出し、ビルもジョージーの姿に化けたペニーワイズを目にします。
そんなルーザーズ・クラブにもう1人、新たなメンバーが加わりました。黒人だという理由でヘンリーに暴力を振るわれていたマイク(チョーズン・ジェイコブス)です。マイクもまた、ペニーワイズの姿を目撃して怯えていました。
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」ネタバレあらすじ:転
図書館でデリーの町の歴史を調べていたベンは、この小さな町で子供の失踪事件や謎の災害が多発していることを知ります。奇妙なことに、子供の失踪事件は全て27年ごとに起きていました。ルーザーズ・クラブのメンバーはビルの家に集結し、プロジェクターでデリーの旧市街地の図面を調べます。ジョージーが消えた場所の下水道は、町はずれの古い井戸の家に繋がっていました。
その時、プロジェクターが映す壁のスクリーンに、恐ろしいペニーワイズの姿が現れます。「“IT(それ)”が僕らを狙っている」。そう確信したビルは、ペニーワイズと闘うことを決心。自転車に乗って井戸の家へと向かいます。仲間達も不安を抱きながらビルの後を追い、恐る恐る井戸の家に足を踏み入れます。
ペニーワイズはさまざまな姿となってビル達に襲いかかり、床を踏み外したエディは腕を骨折します。過保護なエディの母親はかんかんになって怒り、二度と息子に近づくなとビル達に言い放ちます。リッチーやスタンリーもまたビルを責め、仲たがいしたまま彼らの夏休みが過ぎて行きます。
8月に入ったある日、ペニーワイズはヘンリーの心に憑りつきます。ヘンリーは、威圧的な警官の父親を憎んでいました。彼はペニーワイズにささやかれるままナイフを取り出すと、ソファーでうたたね中の父親を刺殺します。
一方、ベバリーも虐待を繰り返す父親についに怒りが爆発。便器の蓋で殴り殺しますが、直後にペニーワイズに連れ去られてしまいます。ベバリーが井戸の家にいるに違いないと考えたビルは、仲間達と一緒に自転車を走らせます。ところがそこに現れたのはヘンリーで、井戸の中に下りようとしていたマイクと取っ組み合いになります。
ひと足先に井戸に下りていたビルは、暗闇にジョージーの姿を見つけ、驚いて後を追います。ベバリーは、これまで行方不明になった大勢の子供達と一緒に空中に浮かんでいました。意識のないベバリーにベンがキスをし、ベバリーは目覚めます。
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」結末
ビルはついにジョージーと向き合います。黄色のレインコート姿のジョージーは、おうちへ帰りたいと言って泣いています。ビルも堪えきれずに涙ぐみますが、「お前は偽物だ」と言ってジョージーの頭を撃ち抜きます。崩れ落ちたジョージーは、たちまちペニーワイズの姿に戻りました。子供達は力を合わせてペニーワイズに襲いかかりますが、ペニーワイズはビル1人を羽交い絞めにして、連れ去ろうとします。ペニーワイズが欲しているのは、子供達の“恐怖”でした。
恐怖をむさぼることで、長い眠りにつけるのだと言うペニーワイズ。しかし、ルーザーズ・クラブの仲間達にもはや恐怖はありませんでした。恐れることなく勇敢に立ち向かってくる子供達にペニーワイズはたじろぎ、井戸の中に逃げ込みます。ペニーワイズの体が砕け散り、井戸の奥底へ消えて行きました。
空中に浮いていた行方不明の子供達の体が、静かに地面に降り立ちます。ジョージーのレインコートがぼろぼろになって落ちているのを見つけ、泣き出したビル。そんなビルに仲間達が寄り添うのでした。
そして9月。夏が終わろうとしています。ル-ザーズ・クラブが再び集合しました。果たしてペニーワイズは本当に死んだのか。27年後、またあの悲劇が繰り返される可能性はあるのか。ビルが言います。もしもITが死んでいなかったら、再びここに集まると約束しよう。手のひらをガラスで傷つけ、血の誓いを立てたルーザーズ・クラブ。
一人、また一人と家に帰って行き、最後は二人きりになったビルとベバリー。ベバリーは、ポートランドに住む叔母の家で暮らすと言います。ビルとベバリーは別れのキスをし、ベバリーもかすかに微笑んで去って行きました。
画面には「IT 第1章」と表示され、最後にペニーワイズの不気味な笑い声が響き、物語の続きを予感させて終わります。
以上、映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のあらすじと結末でした。
続編の映画「IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり。」(2019年11月1日公開)のネタバレあらすじはこちら
「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」感想・レビュー
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ピエロって風貌だけでも怖いのに、なぜか子供に人気で不思議でしたが、この映画を観ると、子供達はみんなピエロがトラウマになると思います。私もなりました。ただ、不思議なホラーと言うより、itに狙われる子供達がそれぞれ現実世界で恐れているものを抱えていて、itとの闘いを通じてそれを克服していく様子が内容的に深く、感動しました。恐れている「それ」こそが「it」なのだと・・・。スティーブン・キングらしい、スタンド・バイ・ミーみたいな子供達の冒険映画的な要素もあったのがよかったです。
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すみません、私はホラーが苦手なのですが上映中はめちゃくちゃ笑ってしまいました。日本にはピエロ=恐怖の象徴という印象が無いからかもしれませんが某ハンバーガーチェーンのキャラクターだと思うと確かにちょっと怖いかも。この2017年版のITは演出というか魅せ方が凄く上手で、私にとっては恐怖と笑いのミックスになっていて最後まで目が離せなかったです。でもうーん、その倒し方でいいのかな?と思ったり。観終わった後に「あの場面でこう来るんだろうな〜と思ったら本当にそうでその演出がこうで良かったよね!」と私は友人と盛り上がりました(笑)
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最高です! でも私的には、 ビルとベバリーの関係も気になってます! 次、第2章が気になりますね!!
ストーリーの舞台に設定されていて原作者のスティーブン・キングがこよなく愛する、メイン州の夏の風景が味わい深かったです。思春期特有のコンプレックスに思い悩んでいる少年少女たちの苦しみや、残酷ないじめや虐待のシーンには胸が痛みました。「負け犬」の烙印を押されてしまった主人公たちが、自分自身の心の中に潜んでいた恐怖に打ち勝つことによって成長していく姿が感動的でした。