たかが世界の終わりの紹介:2016年カナダ,フランス映画。自分はもうすぐ死ぬという事実を伝えるために、12年間疎遠だった家族に会いに行くことを決めるルイ。なぜ死ぬのか、なぜ12年もの間、家族を遠ざなくてはならなかったのか多くは語られない。だが、この来客によって平穏だった家族は不安の中へ陥れられることになる。原作はジャン=リュック・ラグラスの戯曲『まさに世界の終わり』。印象的な映像のみならず、心揺さぶる物語や音楽に新世代のカルチャーアイコンとして評価され、カンヌ国際映画祭では審査員特別グランプリを獲得。
監督:グザヴィエ・ドラン 出演: ギャスパー・ウリエル(ルイ)、レア・セドゥ(シュザンヌ)、マリオン・コティヤール(カトリーヌ)、ヴァンサン・カッセル(アントワーヌ)、ナタリー・バイ(マルティーヌ)、ほか
映画「たかが世界の終わり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「たかが世界の終わり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
たかが世界の終わりの予告編 動画
映画「たかが世界の終わり」解説
この解説記事には映画「たかが世界の終わり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
たかが世界の終わりのネタバレあらすじ:起
空港からタクシーに乗り込み、ルイは実家へ向かいます。目的は、自分の死を家族へ告白すること。その表情は重く暗いながらも、決意と覚悟がうかがえる様子です。一方、ルイの到着を待ちわびている母は、ゲイは青を好むと言いながら濃いブルーのアイシャドーに、同じ色のマニキュアを塗っています。幼い頃にルイが出ていきそれまでにほとんど思い出のなかった妹のシュザンヌは、慣れないメイクで飾り待ちきれない様子です。女性陣が浮足立つ中、兄のアントワーヌだけが皮肉を投げ無関心を装っています。タクシーが到着すると、すぐさまシュザンヌはルイに抱きつきます。シュザンヌの子供の記憶しかないルイは少々戸惑いぎこちない様子です。ルイは初対面の兄嫁カトリーヌに静かに挨拶をし、母は2人が初対面なことにおおげさに驚く。連絡をくれれば空港に迎えに行ったのにと、同じ話を繰り返す母にアントワーヌはいらだちをぶつけます。あわただしい挨拶が終わり、家族はサロンへと向かいます。必要以上に騒々しく、不安定な会話は続いていきます。
たかが世界の終わりのネタバレあらすじ:承
人と話すことが苦手な兄嫁カトリーヌは、空気を壊さぬように様子をうかがいながらルイに子供の話をします。ルイも控えめな話し方のカトリーヌに親近感を見出している様子で、お互い家族の溝を埋めていく努力をしていました。でも、それを壊したのはアントワーヌ。カトリーヌに「ルイが退屈しているのが分からないのか」と蹴散らし、シュザンヌの派手な服装とメイクをけなし言い合いが始まってしまいます。喧嘩を見つめるルイとカトリーヌ。視線を交わすとカトリーヌはルイの瞳の奥の何かに気付きます。空気を和ませたいカトリーヌは、アントワーヌとの子供に“ルイ”と名付けた理由を語りはじめます。ところが、いつの間にかゲイであるルイは生涯子供が持てないかのように話してしまっていることに気付き、また空気は重くなってしまいます。シュザンヌはルイを自分の部屋へ誘い、都会で人気作家として成功したルイの雑誌や新聞の記事の切り抜きを誇らしげに見せます。照れるルイに向かって、シュザンヌはふと真顔で聞くのです。「どうして帰ってきたの?」と。核心をついた質問に自ら「妊娠でもしたの?」とおどけて話をそらしてしまうシュザンヌ。それで会話は途切れてしまいました。
たかが世界の終わりのネタバレあらすじ:転
ガレージでルイと二人きりになった母はついに切り出します。「なぜ引っ越し先の住所を教えないのか」と。でも、聞いたそばから別に理由を聞きたいわけではないことに気付いたかのように、「あなたのことは理解できない。それでも愛してる」と付け加え、香水を服にかけると、ルイに嗅いでみてと言い抱きしめるのです。ルイは打ち明けるチャンスなのに、いざとなると言葉が出てきません。ルイのこわばった表情に気付いた母は「元気でよかった」と話を変えてしまい、一番恐れていることを知っているかのように「今日は泣いたり、告白するような日なんかじゃないわ」とほほ笑むのです。テラスでの昼食の席、このまま家族の幸せな時間をすごせるはずでしたが、やはりアントワーヌはそうさせませんでした。シュザンヌを口悪く罵り、口論が激化してしまい、ついにシュザンヌは席を立ってしまいます。母はアントワーヌをとがめ、残されたルイとカトリーヌはやりきれない様子です。ルイは、懐かしい自分の部屋へと逃げ込みます。置かれていたベッドに身を寄せ、子供のころに通じ合っていたピエールを思い出します。淡く儚い思い出に心を奪われそうになった瞬間、呼びにきたカトリーヌの声で我に返ります。
たかが世界の終わりの結末
たばこを買いに行くアントワーヌに付き添うルイ。車中、空港での出来事を延々と語り、いつまでも本題に入らないルイにアントワーヌが「なぜ帰ってきた?でも俺はそんなこと知りたくない」と怒りを爆発させてしまう。追い打ちをかけるかのように、兄からピエールの死を聞かされ、ルイは精神的に追い詰められすぐに帰ることを告げます。言いたいけれど言えないルイ、聞きたいけれど聞けない家族。そのまま母のデザートを囲み白々しい会話は続いていきます。遂にルイは言うのです。実は話がある、と。まず兄と妹に、これまで12年もの間、留守にしたことを丁寧に謝罪し、仲直りの言葉を伝えます。そして、死を告げようとしたその時、さえぎるかのようにアントワーヌが突如として、帰れ!とルイを追い出そうとするのです。身勝手とも取れるアントワーヌの行動に、母も妹も怒りだし、家族は大混乱になってしまいます。ただルイをじっと黙って見つめるカトリーヌ。気持ちを見通すかのようにルイに向かって小さく首を振ります。時刻を知らせる壁時計から1匹の小鳥が現れ、部屋を飛んでいきます。ルイはカトリーヌにだけわかるように、そっと自分の口に人差し指をあて、何も見なかったことにして黙っててくれと言わんばかりに去ってしまいます。ルイが去ったことに気付かない家族の喧噪な声が部屋に響きます。床にはさっきまで飛んでいたはずの小鳥が、命絶え横たわっていました。
以上、たかが世界の終わりのあらすじと結末でした。
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