呪怨の紹介:2002年日本映画。呪怨の一番最初の映画作品。奥菜恵など当時の出演俳優陣が若い。俊雄や伽耶子、佐伯家にまつわる最初のビギニングストーリーといえる。
監督:清水崇 出演者:奥菜恵(仁科理佳)、伊東美咲(徳永仁美)、上原美佐(遠山いづみ)、津田寛治(徳永勝也)、松田珠里(徳永和美)、田中要次(徳永雄治)、松山タカシ(子役)(佐伯俊雄)、藤貴子(佐伯伽耶子)
映画「呪怨」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「呪怨」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
呪怨の予告編 動画
映画「呪怨」解説
この解説記事には映画「呪怨」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
呪怨のネタバレあらすじ:起
大学生の仁科理佳は福祉センターでボランティアをしています。ある日、仕事で担当者と連絡が取れなくなり、急きょ、上司に頼まれて理佳は一人でその老女、徳永幸枝の訪問介護へ行くことになったのでした。幸枝は誰に対しても心を閉ざしたように口を利かず、無反応な人物でもありました。部屋は泥棒が入ったかのような散らかり具合です。ふと、幸枝が漏らしてしまった跡の床を拭いていると、黒いしみが出来ていました。理佳は不審に思いましたが特に気に留めることなく、幸枝の代わりに家事をしてボランティアの仕事を続けました。2階の様子を見に行ったとき、和室のその部屋でがりがりと引っ掻く様な音を耳にして襖を開けると、小学校低学年ぐらいの少年と猫が押し入れに閉じ込められていたのです。慌てて幸枝にその事を問いただしますが、彼女は何も答えてくれない為、仕事先の福祉センターに電話しました。連絡を受けた福祉センターから電話がありますが、鈴木家の夫、徳永勝也の夫の妹、仁美からの留守電が含まれていました。2階の手すりから理佳を覗く少年は顔に傷跡があり、虐待を思わせる心配なところがありました。しかし、身なりはごく普通で理佳に名前を聞かれ、「俊雄」と答えるのでした。
呪怨のネタバレあらすじ:承
幸枝の様子を見に下へ降りた理佳ですが、幸枝の上にのしかかろうとする黒い影を見て失神してしまいます。上司が連絡の途絶えた理佳を心配して徳永家を訪ねます。放心状態で気絶した理佳と、既に息絶えた幸枝の姿を発見しました。警察に通報し、上司はその日職場の給湯室で不審死を遂げます。一方、警察官達は現場検証中に徳永勝也の携帯に電話をかけたところ、その着信が天井裏から聞こえた事を知り、駆けつけますが、徳永夫妻は息絶えていました。この家はかつて殺人事件が起きたいわくつきの家でした。佐伯剛雄が妻、伽耶子をカッターナイフで切り付けた後、数日後に路上で変死していました。彼らの間には6歳の一人息子の俊雄がいて、生き延びた彼は行方不明となっていたのです。それ以来、この家と関わった人達は謎の失踪や不審死を遂げていました。徳永夫妻もその被害者でした。認知症の疑いがある勝也の母、幸枝と共にこの夫婦は暮らしていましたが、先に妻の和美が白い子どもの霊に襲われ、帰宅した勝也が失神した妻を発見し、急いで携帯電話で救急車を呼ぼうとしますが、彼もまた、子どもの霊を目撃し、佐伯剛雄の霊に乗り移られてしまったのです。
呪怨のネタバレあらすじ:転
その日に留守電メッセージを入れた勝也の妹の仁美が訪問しますが、憑りつかれた勝也は妻を二階の部屋に抱き抱えて隠してから挙動不審で妹を追い返します。数日後、仁美は勝也のことが心配になって電話をします。その直後、トイレにいた彼女は不気味な声を聞いてバッグのストラップを落としたまま逃げ去りました。急いで警備員に連絡をしてトイレの様子を見てもらいますが、モニターに映し出された警備員が黒い影に飲み込まれてゆく姿を見て慌てて帰宅します。ふと、勝也からの着信に気付いた仁美は彼が家まで来ていると連絡を受け、インターホンが鳴ってからドアを開け、彼の姿を発見して安堵しますが、勝也はいません。部屋で怯えながらテレビをつけるとテレビ自体もアナウンサーの顔が醜く歪み、更には仁美の布団の中にあの落としたはずのストラップがありました。そして、蒼白い顔をした女性の霊が仁美を引きずり込んでいくのでした。5年前に佐伯家の事件に関わった元刑事の遠山は妻と娘と静かにひっそりと暮らしていました。当時の事を他に知る者がいないという理由で刑事から佐伯家の事を聞かせてくれないかと言われます。彼の傍には無邪気に遊んでいた小学生の娘、いづみがいました。遠山はいづみに先に家に帰るよう促し、渋々協力することにします。警察署で徳永勝也の妹、仁美の会社の警備員が黒い不吉な何かに包まれて死を遂げたということで佐伯家にまつわる事が関わっているかもしれないので遠山が呼ばれたというわけです。遠山はモニターに映る霊と目が合ってしまい、発狂しように彼は佐伯家に灯油をまいて燃やそうとします。ふと、台所の向こうに灯りがついているのに気づくと、そこには高校生に成長した娘、いづみが友達とはしゃいでいました。おかしな幻影に戸惑う遠山ですが、その直後、伽耶子に襲われます。遠山は玄関にやってきた刑事2人に助けを求めますが、彼らも伽耶子の霊の存在に気付き、三人は半狂乱になります。2人の刑事の行方は不明ですが、遠山は自宅で自殺を図ったのです。
呪怨の結末
高校生のいづみは修学旅行の帰りに友達と好奇心で幽霊屋敷と呼ばれている空き家へ行ったことがありました。学校にて、出来上がった修学旅行の写真にいづみの姿が写っていないことを心配した彼女の友達が担任に頼んで写真を現像してもらいます。
いづみはその後、登校拒否をするようになり、心配した友達2人がいづみは部屋に引き籠って窓に目張りをしていたのです。そして何かに以上に怯えて混乱状態でした。修学旅行の帰りに一緒にいた友達が何かに襲われて巻き込まれたけれど、自分は怖くなって一人逃げてきたことを訪ねてきた友達に話します。その後、パニックを起こし、カーテンを閉めるよう2人に激しく訴えました。帰り道にいづみの友達はいづみの母から「主人もね(いづみの父)家で自殺する前にいづみと同じ状態だった」と不安を煽るようなことを伝えられました。担任に現像してもらった写真を見返した2人はいづみの顔の部分が黒く変色しているのを見て脅えます。一方でいづみは夜に父の仏壇に手を合わせ、父の姿を見ます。そして、中から出てきた佐伯伽耶子の霊に仏壇の中へと引きずり込まれてしまいました。理佳は入院もしましたが、何とか回復し、学生時代の同級生の真理子と再会します。小学校教師となった真理子は担任する児童と連絡が取れない事を理佳にこぼします。真理子と会ったカフェで理佳は俊雄と猫の霊を見て驚きました。その夜、真理子は家庭訪問へ向かいましたが、担当する児童の親と連絡が取れないと理佳に電話します。電話口から不吉な猫の泣き声と真理子から児童の名前が俊雄という事を聞いた理佳は慌ててその家を訪問します。理佳は佐伯一家の霊に無残にも命を奪われてしまいました。
――決して逃れることの出来ない理不尽な恐怖。
呪怨という映画を簡単に表すのであれば、この言葉が最も相応しいかと思います。
大体のホラー映画において、怪奇現象に苛まれるのには何かしらのトリガーを引くことによります。
行ってはいけない禁忌の地、やってはいけない降霊術、事故や事件が起こった場所で面白可笑しく騒ぎ立てる、皆さまもご存じの観てはいけないビデオテープ……。
呪怨に登場する「家」も入ってはいけない場所でした。
しかし、この家はうっそうとした山の中や、立ち入り禁止の無人島に建っているわけではありません。
ごく普通の民家であり、ごく普通の住宅街にあり、そしてこの家にとある家族が住んでいるところに、主人公が仕事で訪れることから物語は始まります。
どことなく感じる「家」への違和感。住んでいる住人へ感じる何か。
じわじわとした不気味さを味わう間もなく、人が容赦なく死に、消えていく。
そしてそれらの恐怖は、他の登場人物たちに視点が切り替わることにより濃密に加速していきます。
この映画の恐ろしいところは、登場人物によってはたった一度家に踏み入れた人や、家に入ってすらいない人も強烈に呪われてしまうところです。某ホラー映画のように七日間という猶予はありません。運なのか、怨霊の采配か、次の日には呪い殺されてしまう人もいます。また、家に踏み入ってなくとも、家に入ってしまった別の人物の家族や、何かしらの関係者だったばかりに、この凶悪な呪いの餌食になる人もいるのです。良い人も嫌な人もなく、等しく非情に。
足掻く間もなく、やがて誰もが恐ろしい恐怖に呑まれるように姿を、命を、無残に奪われていきます。
怨霊伽耶子とその息子の俊雄やすべての元凶となった事件の経緯、「家」に巻き込まれた登場人物たちの詳しい内面の変化などについて、書籍版に詳細に書かれているので、映画だけでは物足りない方ぜひ、そちらの一読をおすすめいたします。