風の中の牝鶏(かぜのなかのめんどり)の紹介:1948年日本映画。小津安二郎の戦後第2作。夫の復員を待つ妻による売春という社会的問題を扱っている。陰鬱そのものでユーモアに乏しく、小津作品としては異例なドラマとなっている。キネマ旬報ベストテンでは7位に選出。
監督:小津安二郎 出演:田中絹代(雨宮時子)、佐野周二(雨宮修一)、村田知英子(井田秋子)、笠智衆(佐竹和一郎)、坂本武(酒井彦三)
映画「風の中の牝鶏」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「風の中の牝鶏」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「風の中の牝鶏」解説
この解説記事には映画「風の中の牝鶏」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
風の中の牝鶏のネタバレあらすじ:起
敗戦間もない東京の下町。警官がある家を訪問すると、家主が玄関先に出て、戸籍についての質問に答えます。雨宮時子という女性が子供と2人、間借りしていること。彼女はミシンの下請けをしていること。主人はまだ復員していないこと。それらを確認後、警官は帰っていきます。その頃、時子は息子の浩を連れて友人・井田秋子のアパートを訪れていました。着物を売る仲介を頼むためです。そのアパートには娼婦・織江もいて、時子たちとは違って贅沢な暮らしをしていました。その夜、時子がアパートに帰ってしばらくすると浩が高熱を出します。病院へ連れてゆくと急性大腸カタルでした。入院し、一夜明けると熱も下がり、峠は越します。
風の中の牝鶏のネタバレあらすじ:承
しかし、前納の必要のある10日分の入院費が手元にありません。切羽詰まった時子は、織江の元へゆき、その職場を紹介してもらいます。どうにか入院費は払えたものの、やはりいかがわしい行為に手を染めたという悔いは残りました。しかも翌日、織江から話を聞いた秋子がわざわざ訪ねてきて、体を売った件で時子を責めるのです。唯一の友人である秋子に無理な借金を頼めなかったと言われて、秋子本人も納得しますが、時子の悔いはさらに大きくなります。20日ほど経ち、浩を連れた時子が外出から帰ってくると、何の前触れもなく夫の修一が戦地から帰国。寝不足のため、2階で仮眠を取っていました。4年ぶりの再会を喜ぶ夫妻。しかし、息子が大腸カタルで入院したと知った修一が、「入院費はどうしたのか」と訊ねると、時子の表情は歪みます。
風の中の牝鶏のネタバレあらすじ:転
今まで夫婦間で隠しごとをしなかったため、彼女は苦しみながらも売春行為を告白。やむを得なかったとはいえ、不貞は不貞でした。修一はその日から自分でもどうしようもない苦悩に悩むことに……。昔の勤め先に復帰しても気が晴れず、帰宅すると時子に対しその売春宿の詳しい場所をしつこく訊ねます。時子を衝動的に抱いた後、彼は外へ飛び出し、延々と徒歩でその売春宿へ。織江からの紹介で来たと嘘をついて中へ入り、売春婦の1人を呼びます。しかし身の上話だけ聞くと、抱きもせずに金を払い、そこを飛び出してしまいます。
風の中の牝鶏の結末
川べりでボンヤリしていると、その売春婦が偶然昼飯を食べに来ました。彼女の手作りのおにぎりを食べて話をするうち、修一は彼女に職を紹介することを決意。同僚にその相談をします。その同僚には時子の件も話してありました。彼は「奥さんを許すべきだ」と修一を諭します。修一自身も理性ではそのつもりですが、どこか気持ちが許せないのです。やがてその夜帰宅した修一はまた外出しようとして時子と揉み合いに。そのことで時子は急な階段から転げ落ちてしまいます。それをきっかけに修一の気持ちは急にほぐれます。「もうそんなことは忘れよう」と自分に言い聞かせるように口にする修一。そんな彼に時子がすがりつきます。2人は固く抱き合ったまま、これからも結婚を共に続けることを誓うのです。
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