あゝ決戦航空隊の紹介:1974年日本映画。特攻戦術の生みの親として知られる大西瀧治郎中将を『雲ながるる果てに』の鶴田浩二が演じる、スター多数出演の戦争映画。海軍きっての合理主義者だった大西は自らが採用した特攻戦術に呪われ苦悩し続ける。
監督:山下耕作 出演者:鶴田浩二(大西瀧治郎)、中村玉緒(大西淑恵)、池辺良(米内光政)、菅原文太(小園安名)、小林旭(児玉誉士夫)ほか
映画「あゝ決戦航空隊」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「あゝ決戦航空隊」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
あゝ決戦航空隊の予告編 動画
映画「あゝ決戦航空隊」解説
この解説記事には映画「あゝ決戦航空隊」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
あゝ決戦航空隊のネタバレあらすじ:新風特別攻撃隊誕生
昭和19年夏、日本はサイパン島を失い、戦局は完全に日本不利だった。フィリピンの攻防が太平洋戦争の次の焦点となる。
昭和19年10月、軍需省航空兵器総局総務局長大西瀧治郎中将が第一航空艦隊司令長官に転じてフィリピンに赴く。それに先立って大西に、もはや体当たり攻撃しか戦局打開の方法はないという意見が集まっていたが、厚木の第302海軍航空隊指令である小園安名はその酷い戦術を批判していた。
フィリピン、クラーク基地に姿を現した大西は第201海軍航空隊副長玉井浅一中佐、第一航空艦隊参謀猪口力平らに零戦に爆弾を積んで敵空母に体当たりする作戦を提案する。30分時間をもらった玉井は飛行士たちを集めて彼らの意向を問う。皆が体当たり攻撃に志願した。
体当たり部隊の隊名は神風隊(しんぷうたい)と定まる。大西は隊員を前にして「皆は自分の体当たりが無駄ではなかったか知ることができない。大西が皆の成果を見届けて必ず陛下にお知らせする。その上で改めて自分が皆に報告に行く」と誓う。大西は出撃を前にした若者たちと水筒の水を分け合い、彼らの故郷を尋ねる。
特攻作戦は大戦果を挙げたが、フィリピンでの作戦全体は失敗に終った。
あゝ決戦航空隊のネタバレあらすじ:統率の外道
第一航空艦隊司令部は台湾に移る。日本軍はますます劣勢になるが、フィリピン防衛のための特殊戦術だったはずの特攻攻撃は予想外の成功ゆえに、全軍に発令されるにいたった。大西は特攻を続けて最後に勝利をおさめようと訓示する一方、「特攻は統率の外道だよ」と自嘲する。空襲に苦しめられる関東地方の防衛に当たる第302航空隊を率いる小園は、上官の死を悔やむ飛行士に「302空は特攻隊ではない。命ある限り敵と戦うのが任務だ」と諭していた。
あゝ決戦航空隊のネタバレあらすじ:焦土の東京に帰る
昭和20年5月、大西は軍令部次長として帰国。空襲によって焼けた我が家の跡で妻、淑恵と再会し、焼け出されたご近所の人たちに軍の非力を詫びる。軍需物資を調達する児玉機関の児玉誉士夫は大西を「おやじ」と呼んで慕っていたが、中国から呼びよせられ、魚雷に使う銅の入手を助けた。
大西は厚木の第302航空隊を訪れ小園と二人で話し込む。小園は特攻を批判したが、命がけで戦っている若者たちのために徹底抗戦すべしと主張する。徹底抗戦支持という点で二人は意気投合する。
あゝ決戦航空隊のネタバレあらすじ:和平工作に抗して
若者たちに美しい死に場所を与えているのだと自分を納得させながら特攻の犠牲者の名を書写している大西に児玉から電話が入る。児玉は、ソ連が満州国境に軍隊を集めている、そして明日の最高戦争指導会議で和平の方向が決定されるという重大情報を手に入れたのだ。
出席資格のない最高戦争指導会議に乗り込んだ大西は海軍大臣米内光政に和平反対を主張する。米内は廊下に大西を出して非礼について叱責し、和平が陛下の意思であることを言う。特攻に散った英霊に報いたいという大西に対して米内はその精神論を批判する。和平が合理的だと言う米内に対して大西は開戦したことが合理的ではなかったと言う。二人の会話は平行線をたどった。
あゝ決戦航空隊のネタバレあらすじ:聖断
八月、ソ連は満州に侵入、アメリカは広島、長崎に原爆を投下。天皇はポツダム宣言受諾を決意する。小園は陛下が奸臣にだまされていると考え、叛乱を呼びかける。
大西は戦争継続のために最後の巻き返しを図るが思うようにはいかない。8月13日の夜、灯火管制で暗い部屋で迫水久常内閣書記官長に「国民も死んだ者も皆納得できる負け方があるのだろうか」と訴える。「特攻で死んだ者たちに誰が負けたと報告に行けますか」と涙を流す。
8月14日の御前会議で無条件降伏が決定される。戦いを続けてほしいという大西の願いはかなえられなかった。米内の説得で大西は抗戦を断念する。
あゝ決戦航空隊の結末:降伏の後
8月15日の深夜、大西は官舎で割腹自殺を図る。児玉が呼ばれる。大西は「部下との約束を果たした」と言う。この世を去る前に、厚木の航空隊の小園の軽挙妄動を抑えることを児玉に託す。
小園はマラリヤの高熱にうなされながらも、降伏を拒否して部下たちに自由意志による戦争継続を呼びかけていた。しかし、8月21日にとうとう、錯乱した小園は取り押さえられ海軍病院に監禁される。
厚木に米軍が進駐を始めた8月28日、小園は病室を脱走して屋根に上り降伏を批判する。彼方にいる天皇陛下にあなたは過ちを犯しましたと呼びかける。あなたの言葉で戦争を始めたのになぜ降伏するのかと。
この映画の感想を投稿する