野性の夜にの紹介:1992年フランス映画。35歳でエイズに倒れたシリル・コラールの自伝的作品。愛を知らない男性が、エイズに感染したことで愛に目覚めていく恋愛ドラマ。カメラマンでバイセクシャルのジャンは、不誠実な関係を渡り歩いた結果エイズ・キャリアとなった。そんなある日、魅力的な少女ローラと出会う。2人は情熱的に愛し合うが、ローラが心からの愛を望む一方で、ジャンは男性の恋人サミーとも関係を続けていた。ジャンは傷つけ合う愛と死の恐怖に苛まれ、希望を得ようともがき苦しむ。
監督:シリル・コラール 出演者:シリル・コラール(ジャン)、ロマーヌ・ボーランジェ(ローラ)、カルロス・ロペス(サミー)、コリーヌ・ブルー(ローラの母)、クロード・ウィンター(ジャンの母親)ほか
映画「野性の夜に」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「野性の夜に」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
野性の夜にの予告編 動画
映画「野性の夜に」解説
この解説記事には映画「野性の夜に」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
野性の夜に のネタバレあらすじ:運命的な恋
舞台は1986年3月、モロッコ。カメラマンのジャンは、観光客になったつもりで多くの街を訪れカメラを回していました。翌月、パリに戻って来た彼は病院でエイズの検査を受けます。結果は陽性でした。ジャンはバイセクシャルで、大勢の人間とセックスしてきたことが仇となったようです。そんなある日、ジャンがカメラ・テストを担当するオーディションに17歳の少女が現れました。彼女の名前はローラ。ジャンはすっかり夢中になってしまい、後日彼女を呼び出して交際をスタートさせました。しかし自分がエイズ・キャリアだとなかなか言い出せません。打ち明けようとしてははぐらかす日々を過ごし、ついにエイズのことを黙ったままローラを抱いてしまったジャン。友人に相談すると、勇気を出して打ち明けるべきだと説得されました。そこでジャンはローラの18歳の誕生日に、自分がエイズ・キャリアであると明かします。ローラは驚き、大きなショックを受けました。「恐ろしい人ね」と拒絶するローラ。裏切りに涙を流しながらも、彼女はジャンのそばを離れませんでした。コンドームを使おうとするジャンを制し、セックスに溺れます。
野性の夜に のネタバレあらすじ:充足と崩壊
ローラはジャンを深く愛していましたが、エイズへの恐怖を振り払うことも出来ず、次第に精神のバランスを崩していきます。娘を心配するローラの母はジャンと会ってみますが、彼の不誠実な態度に嫌悪感を示しました。ローラに苦言を呈しますが、彼女はお節介だと言って馬鹿にするように笑います。激怒した母親はローラをアパルトマンから締め出してしまいました。ローラはジャンの部屋で過ごすようになり、2週間は喧嘩もなく楽しく暮らしていた2人。しかしローラは移り気なジャンに不満を覚え始めます。ある夜、パーティーに参加したジャンは、ラグビー選手のサミーを見つけキスを交わしました。彼はジャンの「男性の恋人」です。それを見たローラは激怒し、喚いてサミーを店から追い出してしまいました。そしてジャンのことも罵倒します。ローラはひたむきな愛をジャンに求めますが、ジャンはそれが窮屈でなりません。傷つけ合うだけの関係になった2人は、しばらく冷却期間を置くことにしました。ローラはニースにいる祖母の家へ向かいます。ジャンは忍び寄る死の影に怯え、それを理解してくれないローラに苛立ちを募らせていました。その反動で彼女から離れた途端、男漁りを始めます。一方、サミーは「アンドレの館」と呼ばれる場所に出入りしていました。娼館のような場所で、被虐趣味のあるアンドレを喜ばせられれば好きな女を抱けるというのです。殴れと言われるまま、アンドレを殴り続けるサミー。気分が悪くなって出て行こうとすると、ピエールと名乗る国民戦線の党員に声をかけられました。そのままジャンを訪ねた彼は、しばらく一緒に住むことにします。
野性の夜に のネタバレあらすじ:狂っていくローラ
ローラがニースからパリに戻って来ました。彼女は笑顔でジャンの部屋を訪ねますが、ドアを開けたのはサミーです。ジャンは外出中でした。ローラはサミーを敵視して出て行くよう詰め寄ります。しかしサミーは聞く耳を持たず、帰宅したジャンも含めて3人で食卓を囲みました。そんなある夜、サミーはピエールの手下といざこざを起こし、殴り合いの大喧嘩を繰り広げました。ボロボロの顔で帰宅した彼は、ジャンに「愛してる」と囁きます。ジャンは日毎に濃くなる死の恐怖に耐えられず、突然暴れ出すことが多くなりました。かつて関係を持っていた女性がジャンを介抱してやると、帰宅したローラが嫉妬で喚き散らします。母親のアパルトマンに戻ってもローラの精神状態は安定せず、毎日毎日何本もジャンに電話をかけ続けました。呪いの言葉を吐き続けるローラに、彼女の母親はたまらず受話器を取り上げます。するとローラは尋常ではない様子で暴れ出すのでした。
野性の夜に のネタバレあらすじ:それぞれの変化
ローラからの電話、どこか冷たい態度のサミー、病状の悪化。ジャンは全てのことが憂鬱で、絶望感に苦しめられていました。そんな時、ローラからエイズの検査を受けたと電話がかかってきます。結果は陽性で、彼女は人殺しとジャンを詰りました。投身自殺を図って騒ぎを起こしたローラはついに入院することになります。「ずっとそばにいて」と訴えるローラにジャンは首を振り、2人はキスをして別れました。しばらく治療を受けたローラは健康的な明るさを取り戻し、ジャン以外の恋人も手に入れます。そしてエイズの検査も、陽性だと思い込んでいたことが分かりました。ジャンは改めてローラを愛しく思い、抱きたいと囁きます。しかしローラは拒否しました。飽きれば他に目移りするジャン。ローラにはそれが耐えられないのです。
野性の夜に の結末:愛に目覚めた男
ある夜、ジャンはピエール達に囲まれ暴行を受けているサミーを見つけました。ジャンは咄嗟にナイフで自分の手のひらを切り、「俺はエイズだ」と言ってピエールに迫ります。滴る血液を見たピエールはサミーを解放しました。サミーと別の方向に車を走らせたジャン。彼はローラに手紙を書き、いつか手を繋いで歩けるようになりたいこと、人生の希望になって欲しいことを伝えます。後日、ジャンはポルトガルへ1人旅立ちました。雑多な町と自然に触れ、心から湧き出る愛をローラに電話で伝えます。ジャンが水平線に沈む夕日をじっと見つめ、「生きている」と感じてこの映画は終わりを迎えます。
以上、映画「野性の夜に」のあらすじと結末でした。
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