マローボーン家の掟の紹介:2017年スペイン,アメリカ映画。イギリスからアメリカの田舎に移住した家族でしたが、なぜか父はいません。母の死後、残された兄弟は家で見えない何かに怯える日々を送りますが、その理由は父の恐ろしい過去の犯罪にあり、ストーリーが進むにつれてその謎が明らかになります。『マローボーン家の掟』は見えない何かに怯える兄弟の対立と愛を描いた映画、ホラー映画というよりはストーリーの展開を楽しむ内容です。かなり細かく作られた映画なので注意深く見ることが必要、時系列をよく理解することが大事です。
監督:セルヒオ・G・サンチェス 出演:ジョージ・マッケイ(ジャック)、アニャ・テイラー=ジョイ(アリー)、チャーリー・ヒートン(ビリー)、ミア・ゴス(ジェーン)、マシュー・スタッグ(サム)、カイル・ソーラー(ポーター)、ニコラ・ハリソン(ローズ)、トム・フィッシャー(父親)、ほか
映画「マローボーン家の掟」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マローボーン家の掟」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マローボーン家の掟の予告編 動画
映画「マローボーン家の掟」解説
この解説記事には映画「マローボーン家の掟」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マローボーン家の掟のネタバレあらすじ:起・アメリカに移住する家族、母の死と謎の銃撃事件
1968年、イギリスからアメリカに移住したマローボーン家の母ローズは4人の子どもたち、10代後半のジャック(ジョージ・マッケイ)、ジェーン(ミア・ゴス)、ビリー(チャーリー・ヒートン)と幼いサム(マシュー・スダック)を新しい家に連れていきますが、父はなぜかいません。ローズは過去と決別し、新しい人生がここで始まると言います。子どもたちはアメリカの田舎の生活を楽しみ、アリー(アニャ・テイラー=ジョイ)という同世代の女性が兄弟の友達になります。その後、ローズの健康は悪化し、年上のジャックに子どもたちの世話を頼みます。そして、ローズは自分の死を、ジャックが法的に大人になり契約書などにサインできる21歳まで兄弟以外には秘密にするように言います。
1969年、母の死から6ヶ月後、黒服の誰かがマローボーン家に発砲し、ジェーンは絶叫、ジャックを呼びます。
(映画はこの銃撃から6ヶ月後のストーリーになります。)
サムは幽霊に怯え、ビリーは銃を持ち、ジャックもなにかの襲来に怯えるように布を部屋にかぶせます。ジャックは天井の上、屋根裏部屋の何かの存在を異常に気にします。
マローボーン家の掟のネタバレあらすじ:承・アリーとジャックの愛、父の亡霊に怯える兄弟
ジャックは家を出て自転車で、図書館で働くアリーに会いに行きます。弁護士のポーターは大きな弁護士事務所で働くことが内定し、アリーに恋愛感情を抱きますが、アリーはジャックとキスし、恋愛関係にあります。ジャックはポーターに会いますが、アメリカの新居の手数料200ドルと書類に母ローズのサインを要求します。兄弟は困りますが、死んだ父の残した金を思い出します。ビリーは家の近くの洞窟に行き、父の残したイギリスポンドのお金の入った箱をみつけます。ジェーンは父の残した金を使うことを不安がりますが、ジャックの指示でローズのサインを偽造する練習をします。
翌日、ポーターはジャックの家を訪れます。金を渡すジャックですが、イギリスポンドの現金でなく小切手で払えと言い、母ローズのサインを契約書に要求します。ジャックは家に行き、ジェーンは母の名前で偽造のサインを契約書にします。ポーターは中に入り、家の殺風景な光景に驚きますが、母がすでに死んでいることには気づかず、契約書に納得して帰ります。兄弟は家の権利を得たことでパーティを楽しみますが、サムは幽霊の存在を感じます。兄弟は怯え、サムとビリーは父のお金を使ったから父の幽霊が出たと感じ、ビリーはお金の箱を煙突から屋根裏に落とします。アリーとジャックは浜辺でデート、キスをしますがポーターは遠くから見て妬みを感じます。ジャックが家に帰ると兄弟はジャックだけが家の外でアリーと楽しんでいると、怒りをみせ兄弟喧嘩になります。
マローボーン家の掟のネタバレあらすじ:転・絶望の兄弟、父は屋根裏部屋で生きている?
サムは死んだ母の家に忍び込み、家族のアルバムを見ますが、父の昔の殺人の新聞記事を読み「おばけだ」とつぶやきます。突然サムが倒れ、ジャックを呼びます。兄弟は父は犯罪者とはいえ、何らかの弔いをしないので亡霊が出るのではと話します。ポーターはアリーを旅行に誘いますが、ジャックを愛するアリーは拒絶します。ポーターはジャックと兄弟の父の殺人の新聞記事を見て、父が逃走中と知ります。
兄弟の家ではジェーンは屋根裏部屋で動物を見ますが、人の手が出てきて動物は死に、ジェーンは動転します。ポーターは契約書のサインをチェックし、ジェーンによる偽造と見抜きます。ポーターは次の就職先の弁護士事務所から電話を受け、事務所に投資しないと内定を取り消すと言われます。ポーターは弁護士事務所への投資用の金を探していると、昔の新聞記事から、兄弟の父が大金を盗み10,000ポンドが消えているのを知ります。ジャックが家に帰るとポーターがいます。ポーターは偽造サイン契約書の詐欺の件を非難し、金を要求します。ジャックは詐欺がバレたかと絶望的になります。
ビリーはお金のため屋根裏部屋に父の金の箱を探しに行きますが、誰かに捕らえられます。ビリーは血まみれになり逃げますが、父は屋根裏で鳩やネズミを食べ、雨水を飲んで生きていると信じます。兄弟は喧嘩になりますが、ジャックは頭がおかしくなり倒れます。ジェーンは兄弟に「アリーに父の件の真実を話して助けを求めよう」と提案します。
マローボーン家の掟の結末:父の亡霊の真実、兄弟の運命、アリーの恋愛の結末
アリーは兄弟に不安を感じ、兄弟と遊んだ森に行きますが、そこでジャックが書いた日記を見つけます。アリーは日記を読み始めると兄弟の父の謎を理解し始めます。
(映画は6ヶ月前の銃撃シーンにもどります)
母の死後6ヶ月後、黒服の男の父が兄弟の家に発砲します。ジャックは兄弟を密室に隠し、父は10,000ポンドの金が目的と考え、お金の箱を渡そうとし、洞窟まで行きます。しかし、父は金には満足せずジャックを殺害しようとし、お金の箱は洞窟に落ちます。乱闘になる二人、父はジャックを倒し、兄弟の家に向かい、父は兄弟の隠れる密室へ行きます。なんとか息を吹き返したジャックは家に向かいます。父は3人を殺したようで、死体に毛布をかけます。3人が殺されたと感じたジャックは銃で自殺しようとします。しかし、兄弟の声を聞き、ジャックは彼らを探します。ジャックは兄弟3人の亡霊に会い、想像の世界で彼らとコミュニケーションを始めます。ジャックは屋根裏部屋に父を閉じ込めます。
(6ヶ月前のシーンの終了)
アリーは日記を読み終わり、兄弟の家に向かいます。アリーが家で見たものは死んだ3人が生きているかのようにコミュニケーションするジャックの姿でした。アリーはジャックを心配しますが、ジャックはアリーを追い出します。アリーは家の中をさまよい兄弟3人の死体を見つけ、お金を取りに家に来ていたポーターも見つけますが、彼は瀕死の状態です。アリーは、屋根裏部屋から出て来た父に見つかります。父に殺されかけるアリー、しかし、ジャックが父を銃で殺します。
事件から数週間後、アリーはジャックの精神科医と会います。精神が病み、想像の世界で兄弟とコミュニケーションするジャックに、医師は彼と別れることを勧め、記憶を消し去る薬を与えます。しかし、アリーはジャックの家に行きます。アリーが美しく装飾した家で、ジャックは幸せな表情で寝ています。アリーは記憶を消す薬を棚にしまい、いつまでもジャックが兄弟は生きていると信じる思い出を消さないようにします。兄弟の写真を見るジャックは幸せにあふれています。
以上『マローボーン家の掟』のあらすじと結末でした。
母が生まれ育ったアメリカの片田舎に引っ越してきた訳あり一家の真実とは……ジャンル分けするならホラーですが、そこまで怖くありません。本質は兄弟愛がテーマのヒューマンドラマです。父親代わりに一家を支える長兄とヒロインの淡い恋は甘酸っぱく、海岸や野原を美しく撮った大自然の描写はノスタルジーに満ちています。終盤のどんでん返しは切なくてたまりません。人形を弟妹に見立て寝かせるシーンでは涙がこみあげてきました。視聴後はしみじみと余韻を噛み締められます。