機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポートの紹介:1998年日本映画。国民的アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズのOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品で1996年から1999年にかけて展開された『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の劇場版作品であり、ガンダム20周年記念作品のひとつです。シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』と同時期の“一年戦争”の時代を舞台に、地球・東南アジア戦線で活動した地球連邦軍・第08MS小隊の戦いを描いた本シリーズ、本作はジオン軍スパイとの疑いをかけられた主人公シロー・アマダの軍歴を連邦から派遣された情報官が振り返るという構成で、シリーズの前半を振り返る総集編的な作品となっています。
監督:加瀬充子 原作:矢立肇、富野由悠季 声優:檜山修之(シロー・アマダ)、井上喜久子(アイナ・サハリン)、優希比呂(ミケル・ニノリッチ)、藤原啓治(エレドア・マシス)、小山茉美(カレン・ジョシュワ)、玄田哲章(テリー・サンダースJr.)、西村ちなみ(キキ・ロジータ)、永井一郎(ジダン・ニッカード/イーサン・ライヤー(二役))、榊原良子(トップ)、中嶋聡彦(デル)、梅津秀行(アス)、藤本譲(コジマ)、高島雅羅(アリス・ミラー)ほか
映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」解説
この解説記事には映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
機動戦士ガンダム第08MS小隊ミラーズリポートのネタバレあらすじ:起
宇宙世紀0079年。地球連邦からの独立を宣言したジオン公国と地球連邦との間に勃発した「一年戦争」はますます混迷の度合いを深めていました。
地球・東南アジア戦線。地球連邦軍極東方面軍所属機械化混成大隊(通称:コジマ大隊)配下の第08MS小隊はジオン軍が極秘裏に開発している巨大モビルアーマー・アプサラスの捕獲作戦に臨んでいました。
シロー・アマダ少尉(檜山修之)・・・第08MS小隊の若き小隊長。地球連邦軍がRX-78ガンダムの量産型として開発したモビルスーツ・RX-79(G)陸戦型ガンダムのパイロットも兼務する。
ミケル・ニノリッチ伍長(優希比呂)・・・シローと同時期に第08MS小隊に配属された新兵。普段はサポートメカ・ホバートラックの操縦要員兼ガンナーを務めるが、時として陸戦型ガンダムに乗ることがある。
エレドア・マシス伍長(藤原啓治)・・・第08MS小隊の隊員でホバートラックの索敵を担当するが、先の戦闘で負傷し入院したためアプサラス捕獲作戦には不参加。
カレン・ジョシュワ(小山茉美)曹長・・・第08MS小隊の紅一点である古参隊員で陸戦型ガンダムのパイロット。
テリー・サンダースJr.軍曹(玄田哲章)・・・シローと同時期に第08MS小隊に配属された歴戦のベテラン軍人。陸戦型ガンダムのパイロットやホバートラックの索敵を担当する。
キキ・ロジータ(西村ちなみ)・・・地元住民ゲリラの一員で、第08MS小隊の協力者でもある民間人少女。
作戦中、アプサラスの攻撃を受けそうになったミケルの陸戦型ガンダムを庇い、シローの陸戦型ガンダムはビームサーベルを手にアプサラスに突進しましたが右腕を破壊されてしまいました。その時、「離れなさい。死にたいのですか」とどこか聞き覚えのある女性の声を聞いたシローはアプサラスにしがみつき、そのまま谷底へと転落していきました―――。
―――10日後、連邦軍情報部所属の女性将校アリス・ミラー少佐(高島雅羅)は回収されたアプサラスの残骸の確認のためコジマ大隊の基地を訪れました。アプサラスの前には手錠をかけられたシローが連れ出されていました。ミラーは部下のジェイコブ(広瀬正志)にシローの手錠を外すよう命じ、シローから当時の状況を聞き出そうとしました。シローがアプサラスと共に行方不明になってから十数時間後に救助されるまでの空白の時間、シローの行動に不審な点がみられたというのです。
連邦軍の上層部はシローは実はジオン軍のスパイであり、連邦軍の機密事項である新型の陸戦型ガンダムをジオン軍に引き渡すためにアプサラスに接触したとの疑いを抱いていました。シローは「バカへてる」と否定しましたが、ミラーはシローに飲ませたコーヒーに自白剤を混ぜており、シローは「俺“たち”は吹雪の中にいました」と証言させられました。ミラーは第08MS小隊の仲間から聞き出した、ジオン軍の女パイロットのアイナ・サハリン(井上喜久子)について事情を問い始めました―――。
機動戦士ガンダム第08MS小隊ミラーズリポートのネタバレあらすじ:承
―――それはシローが宇宙から地球に赴任する際、アイナと交戦した時にさかのぼります。艦艇の残骸の中で撃ち合いになったシローは弾切れを起こしたアイナの身柄を確保しようとしましたが、アイナは投降を拒否しました。それでもシローは負傷したアイナの応急手当をし、「今は敵も味方もない状況だろ?」と二人で宇宙空間から生還しようと呼びかけました。やがてアイナはジオン軍に救助されましたが、これがシローとアイナは互いの立場を超えて惹かれ合うようになったきっかけでした。
第08MS小隊がアプサラス捕獲作戦に乗り出した時、アプサラスのテストパイロットをしていたのは何とアイナでした。シローとアイナはまさかの再会を果たしましたが、アプサラスは機体のバランスを崩して山岳地帯の谷底に墜落しそうになりました。シローは「死ぬのも生きるのも二人一緒だ。常に希望はある」とアイナを励まし、陸戦型ガンダムのスラスター推力でアプサラスを支え、何とか崖の一歩手前で不時着することに成功しました。しかし、機体が限界に達していた陸戦型ガンダムは崖から転落、間一髪で脱出したシローは吹雪の雪原に取り残されてしまいました。
死を覚悟したシローはそのまま雪原で眠り込んでしまいました。シローの脳裏には、かつてコロニーに赴任していた際にジオン軍の毒ガス兵器で命を落とした一般市民の姿が浮かんでいました。
意識を取り戻したシローは、助けてくれたアイナに思わず掴みかかってしまいました。アイナはシローの手が凍傷にかかったと告げてなだめました。我に返ったシローは「俺はジオンが憎い。なのに、宇宙で出逢った日から君の事が忘れられないんだ。たとえ君がジオンで恋人がいたとしても・・・」と語り、アイナは「私には恋人はいません。あなたが連邦の人でも私の答えは・・・」とシローにキスをしました。
シローは陸戦型ガンダムのビームサーベルで雪を溶かし、湯を沸かすことを思いつきました。シローとアイナは一緒に湯につかり、凍えた体を温めました。それから二人は満天の星空を見上げ、アイナは「私たちはこの世に残った最後の男と女なら良かったのに・・・」と呟きました。シローが「またきっと逢えるよな」と返すと、付近では連邦軍とジオン軍が激しい空中戦を繰り広げていました。シローは「教えてくれ、これが戦争なら俺たちはどうしようもないのか」とアイナに問いかけました。
程なくしてアプサラスは連邦軍に発見されましたが、アイナはアプサラスを自爆しました。その後、シローは物陰からジオン軍に救出されるアイナの姿を見つめていました―――。
―――シローの話を聞き終えたミラーは「もし君が彼女を始末していたらアプサラスは無傷で回収できたはずだ。君は一度ならず二度までも目の前の敵を見逃した」とシローを咎めました。シローは「俺はただ無益な人殺しをしたくなかっただけだ」と反論しましたが、ミラーはシローがアイナに惚れてしまったことを見抜いていました。シローは「俺は彼女を愛している」と素直に認めました。
機動戦士ガンダム第08MS小隊ミラーズリポートのネタバレあらすじ:転
シローがミラーに話したことは全て録音されており、シローはスパイ容疑で軍法会議にかけられることとなりました。基地内ではシローがスパイだとの噂が流れており、第08MS小隊の隊員たちも情報部から事情聴取を受けていました。しかし、ミケル、カレン、テリーはシローの無実を信じており、シローの「絶対に誰も死なせない」との口癖を思い起こしていました。
ミケルはキキがシローの置かれている現状を知ったら驚くだろうと口にしました。キキはシローに淡い想いを寄せているのですが、アプサラス捕獲作戦でミケルはシローが「アイナ」と口にしているのを聞いてしまっていたのです。カレンとテリーはこのことは決して誰にも言うなとミケルに忠告しました。
その頃、シローは軍法会議の席で「敵にも良い人間はいます。分かり合えるんです。この愚劣な戦争でのただひとつの希望です」と発言しましたが、上層部からバカにされ失笑されました。独立機械化連隊長のイーサン・ライヤー大佐(永井一郎)から「今の君に敵を討つことはできるのかね?」と問われたシローは「自分にもまだ分かりません」と口をつぐみました。シローは処分が決定するまでの間、自室にて謹慎処分が言い渡されました。
自室に戻ろうとしたシローの前にミラーが現れ、「ご高説、楽しませてもらったよ」と声をかけてきました。続けてミラーは「かつて君と同じく“敵とだって分かり合える”と言ってた者がいた。そいつは敵に情けをかけたばかりにまんまと付け入られ、気付いた時にはあの世にいたってさ」とシローの考えを牽制し、「敵の女を信用するな。女を使うのはジオンの常套手段だ。君は新米が陥りやすい“病”に侵されている」と忠告しました。
そんな時、キキの住む村にジオン軍敗残兵のトップ少尉(榊原良子)、デル軍曹(中嶋聡彦)、アス伍長(梅津秀行)からなる3機のザク部隊がやってきました。トップらは村人たちに食糧を分けてくれるよう要求してきました。
一方、バーでくすぶっていたミケル、カレン、テリーは昼間っからだらけきっている連邦兵のひとりからキキの村にジオン軍が入ったことを知らされました。しかし、コジマ大隊はキキの村人の大半を占めるゲリラを助ける必要はなく、出撃命令を下すことはありませんでした。ミケル、カレン、テリーはキキを助けたい一心ですぐさま謹慎中のシローにこのことを報告し、シローは軍規違反を承知のうえで独断で出撃を命じました。何かと第08MS小隊に協力してくれる補給中隊長ジダン・ニッカード大尉(永井一郎(二役))が大隊長命令書を偽造してシローたちを助け、「正面突破だけが人生じゃない。時には世間を味方につけることも大事なんだ」と助言しました。
カレンとテリーは対戦車砲を装備した陸戦型ガンダムで遠方で待機、シローとミケルは徒歩で村に潜入し、通信網を確保したのちミケルはホバートラックに待機することにしました。その頃、キキはジオン兵たちに食事を用意していましたが、アスはキキに乱暴な扱いをしたために村人のゲリラにロケットランチャーで乗機のザクIIのコクピットごと撃たれて死亡しました。
これを機に、キキの父でゲリラのリーダー格であるバレスト(広瀬正志)はザク部隊に攻撃を命じましたが、ハレストは逃げようとしたデルのザクIIのスラスター噴射に巻き込まれて命を落としました。
キキを救助したシローは女子供に脱出を、戦える者たちにザク部隊を川へ逃がすよう指示しましたが、ザク部隊への復讐に燃える村人たちは「連邦の甘ちゃんに何がわかる」と徹底抗戦を貫くつもりでした。それでもシローはジオン兵を助ける決心をし、自らのロケットランチャーやカレンとテリーの陸戦型ガンダムのビームライフルで2機のザクを転倒させました。
シローはジオン兵に助命と引き換えの投降を呼びかけましたが、村人たちはシローの制止を聞かずにジオン兵を殺そうと大挙してきました。恐怖に怯えるトップは対人兵器を使用して村人たちを殺傷したため、シローはやむなく涙を流しながらトップの乗るザクIのコクピットを撃ち抜きました。
機動戦士ガンダム第08MS小隊ミラーズリポートの結末
シローの謹慎中の軍事行動および公文書偽造は連邦軍上層部を激怒させ、大隊長のコジマ中佐(藤本譲)は厳罰は免れないとしましたが、シローは今回の行動は正当だったと主張しました。コジマは敵部隊殲滅の功を認め、シローと第08MS小隊に汚名返上のチャンスとしてジオン軍の領域内に降下し、基地の位置を突き止めるという任務を与えました。これは帰還できる確率はわずか38%という非常に危険な任務であり、コジマは断った場合は銃殺刑に処すと宣告しました。
第08MS小隊は任務を受け入れ、退院したばかりのエレドアを加えて準備を始めました。エレドアは復帰早々最前線送りという状況に愚痴をこぼし、他の隊員たちも文句を言いつつ作業にあたっていましたが、隊員たちが目にしたのはミラーに銃を突きつけられているシローの姿でした。
ミラーはシローの指揮官としての優秀さを認めつつも、ジオンはテロリスト集団であり人の皮を被った獣だと主張、ジオンを殺し尽くすよう迫りました。シローはそれでも自分の考えは変わらないと告げ、ミラーはシローをスパイ呼ばわりしました。シローはジオンを皆殺しにすることなどできないと反論し、この戦争が終わるまで自分のやり方で戦うと宣言しました。
シローはミラーが先日語った、敵に情けをかけて裏切られたのはミラー自身であることを見抜いていました。そしてシローは仲間たちに「俺たちは殺し屋部隊じゃない。敵だって人間。犠牲は最小限に留め、そのうえで任務を全うし、必ず生きて帰ってくるんだ」と呼びかけました。仲間たちは全員シローに敬礼しました。
動揺するミラーは引き金を引きましたが、銃弾はシローの頭を逸れました。シローは自分の考えが正しかったことを証明してみせると誓い、ミラーは「見上げた覚悟だな。貴様が敵に回したのはこの世界そのものだぞ」と警告しました。シローは「8小隊、出撃!」と号令すると輸送機で戦地へと飛び立ちました。ミラーはただ飛び立つ輸送機を見つめるのみでした。
以上、映画「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート」のあらすじと結末でした。
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