モンスターの紹介:2003年アメリカ,ドイツ映画。実在した連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの衝撃の半生を、本作が監督デビュー作となるパティ・ジェンキンス監督(『ワンダーウーマン』など)が映画化した実録ドラマです。本作で主人公を演じたシャーリーズ・セロンは徹底的な役作りに励み、迫真の演技でアカデミー主演女優賞やゴールデングローブ賞などを受賞しました。
監督:パティ・ジェンキンス 出演者:シャーリーズ・セロン(アイリーン・ウォーノス)、クリスティーナ・リッチ(セルビー・ウォール)、ブルース・ダーン(トーマス)、リー・ターゲセン(ヴィンセント・コーリー)、アニー・コーリー(ドナ)、プルイット・テイラー・ヴィンス(ジーン)、マルコ・セント・ジョン(エヴァン)、マーク・マコーレイ(ウィル)、スコット・ウィルソン(ホートン)、ケイン・ホッダー(囮捜査官)ほか
映画「モンスター」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「モンスター」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
モンスターの予告編 動画
映画「モンスター」解説
この解説記事には映画「モンスター」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
モンスターのネタバレあらすじ:起
1986年、アメリカ・フロリダ。13歳の頃から娼婦をしているアイリーン・ウォーノス(シャーリーズ・セロン)は、ヒッチハイクをしながら男に体を売る日々に疲れ果て、自殺をも考えるようになっていました。彼女の手元にあったのは拳銃とわずか5ドルの所持金だけでした。死ぬ前に5ドルを使い切ろうと思いついたアイリーンは近くのバーに入りましたが、そこは同性愛者が集うゲイバーでした。
アイリーンはこのバーで、レズビアンであるセルビー・ウォール(クリスティーナ・リッチ)に声をかけられました。アイリーンは自分は同性愛者ではないとしてこの場を立ち去ろうとしましたが、引き留めてきたセルビーと話し合ううちにすっかり意気投合して飲み明かしました。セルビーとの出会いで一転して自殺を思いとどまったアイリーンは彼女が居候するドナ(アニー・コーリー)一家の家に誘われました。
自分が同性愛者であることで親から疎まれていたセルビーは、同性愛の治療を強制される形でこのフロリダにやってきたのであり、親の友人であるドナの元に預けられていました。セルビーもまたアイリーン同様に世間に対する疎外感を味わっていたのですが、ドナはアイリーンが娼婦であることを知るやセルビーにアイリーンと付き合うことを固く禁じてきました。
ドナの家を追い出されたアイリーンは、唯一の理解者であるトーマス(ブルース・ダーン)から、倉庫を彼の善意で借りて寝床とし、右腕を骨折していたがために職にも就けないセルビーのためにも自分が身体を張って金を稼ぐ決心をしました。
モンスターのネタバレあらすじ:承
アイリーンとセルビーは急速に惹かれ合っていき、愛し合うようになっていきましたが、二人の関係はドナの息子に見られてしまい、アイリーンとセルビーはこの町を出て二人で他所の土地に移り住むことにしました。
路上で客引きをしていたアイリーンはヴィンセント・コーリー(リー・ターゲセン)という男を拾いますが、彼女はDV癖のあるヴィンセントに森の中に連れて行かれて凄まじい暴力を受けてレイプされてしまいました。そしてアイリーンは自らの命を守るためにヴィンセントを射殺しました。これはアイリーンが初めて犯した殺人であり、彼女の人生を大きく変えることとなりました。
傷の手当をし、ヴィンセントの車を奪ったアイリーンはセルビーと共に旅立とうとしましたが、ドナとその夫はアイリーンには近づくなとセルビーを説得しました。しかし、既にアイリーンと行動を共にすることを決心していたセルビーはドナの説得を振り切り、アイリーンとセルビーは車で町を離れ、行きずりのホテルに宿を取っては好きなことだけをして過ごしました。
しかし、所持金も底を付いてきたことから、アイリーンはセルビーと一緒に暮らすためにも娼婦から足を洗って堅気の仕事に就く決意をしました。ところが、学歴も資格もなく、前科持ちであるアイリーンは中々仕事にありつくことができず、セルビーは生活苦のあまりアイリーンに不満をぶつけるようになっていきました。
モンスターのネタバレあらすじ:転
自ら手にかけたヴィンセントの事件が一向に解決の気配がないことを新聞の記事で確認、ひとまず安堵したアイリーンは、思い切ってセルビーに人を殺したことを告白しました。何とかセルビーの心を繋ぎ止めたアイリーンは、結局娼婦稼業を続けることにし、客として取った児童性愛者のウィル(マーク・マコーレイ)を殺して車と金銭を奪い、ホテルに戻ってセルビーと愛し合いました。
念願の一軒家を借りることに成功したアイリーンはセルビーと楽しい日々を過ごす一方、売春を隠れ蓑として犯罪に手を染め続けていました。そんなある日、セルビーはアイリーンが殺した男から奪った車を勝手に乗り回し、アイリーンは彼女の勝手な行為に憤慨しながらも留守番ばかりしているセルビーを遊戯施設に連れて行ってあげました。
ところがある日、アイリーンを車に乗せて運転していたセルビーは、誤って民家の庭先に突っ込む事故を起こしてしまい、焦ったアイリーンは車を捨てて家に戻りました。その後、セルビーはこの車がアイリーンが客を殺して奪ったものであることを知り動揺しましたが、アイリーンは警察の捜査の手がまだ自分には及んでいないことを強調して、自分の行いを正当化しました。しかし、その頃からアイリーンはこの家を引き払うことを考え始めていました。
ある日、アイリーンは車に拳銃を積んでいたエヴァン(マルコ・セント・ジョン)という男を林の中に連れて行って殺害しました。ところが、殺したエヴァンは警官であり、この頃からアイリーンが犯してきた連続殺人事件の捜査は次第に進展を見せるようになっていきました。
モンスターの結末
セルビーが事故を起こした民家の住民の目撃証言により、アイリーンとセルビーの似顔絵が作成され、この似顔絵をテレビで見たセルビーは自分も捜査対象となったことに深く恐れを抱きました。もはや自分が逮捕されるのも時間の問題だと悟ったアイリーンは覚悟を決め、セルビーにこれまでの罪を白状して泣きじゃくりました。
アイリーンはセルビーに金を渡して故郷行きのバスに乗せ、ひとり酒場で酔い潰れていたところを囮捜査官(ケイン・ホッダー)らに逮捕されました。
拘置所に入れられたアイリーンはセルビーから電話がかかってきたことに喜びますが、アイリーンが渡した金の件をはぐらかされたことから、何やら異変を感じ取りました。実はセルビーは警察との司法取引に応じており、二人の通話の内容は警察によって録音されていました。
アイリーンはセルビーのために全ての罪を被り、保身に走ったセルビーは法廷の証言台でアイリーンを指さして彼女の罪を証言、自らは起訴を免れました。
愛する者に裏切られ、もはや生きる意味も気力も完全に見失ったアイリーンは、決してセルビーを恨む素振りは見せませんでした。
やがてアイリーンは死刑判決を受け、判事や陪審員を罵倒しながら法廷を後にしました。この時を最後に、アイリーンとセルビーは二度と会うことも話をすることもありませんでした。
アイリーンの死刑が執行されたのは、判決を受けてから12年後の2002年10月9日のことでした。
以上、映画「モンスター」のあらすじと結末でした。
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